ようこそ!奈良大学国文学科へ!!

奈良大学文学部国文学科の日々の出来事を綴っています。
特色ある授業の様子や、学生や教員の活動ををご覧ください。

講義中継・本と出版④

2010-01-20 17:01:33 | 授業をのぞいてみた
そしていよいよ、版木を刷り出したものと本との照合作業です。

版木は職人が一点ずつ彫ったものであり、彫りの個性や、使用中に生じた傷など、微妙に個性が残るのです。
写真を見比べると、本と刷りの間で欠けた個所が共通していることがわかります。

つまり今回使用した版木を使って、写真の「出雲物語」が出版されたことが確認できました。


この実習に参加することで、本の歴史や成り立ちを、生きた感覚としてとらえることができたように思いました。



講義中継・本と出版③

2010-01-20 16:48:58 | 授業をのぞいてみた
写真① いよいよ紙に墨をのせていきます。墨を「たんぽ」につけて、ひたすら叩く叩く。
これがまたかなりの体力勝負!そして繊細な神経が必要です。
うっかりしていると「はい、そこをもっと丁寧に!」と永井先生の細かい指導が飛びます。

写真② う、腕がちぎれる…。男性でも片手をささえないと辛いぐらいです。

写真③ 均等に文字や絵が浮き出してきたら、いよいよ版木と紙をはがします。すると…

写真④ 無事文字が浮き出していました。やれやれ…。 

この実習を通じて、江戸時代の出版や、それを研究することのの大変さがよくわかりました。

講義中継・本と出版②

2010-01-20 16:38:29 | 授業をのぞいてみた
さて、前置きはそれぐらいにして、ここからは実習作業を追いかけていってみましょう。

まず本日の課題である版木と本の一致を確認するためには、実際に版木を刷ってみる必要があります。

では、江戸時代にはどのように本が印刷されていたのでしょうか。
今回は拓本の要領で版木を刷りだしてみましょう。


写真① まず、先の版木に紙を巻くように置きます。

写真② そして、紙を霧吹きでまんべんなく濡らします。

写真③ 落ち着いたところで、今度は固く絞った布で押さえつけるようにして版と紙を密着させます。(実習生曰くパンをこねるような勢いで押すので、この時点で体力消耗だそうです)

写真④ 版木に密着した紙です。版の文字がはっきり浮き出しています。

講義中継・本と出版①

2010-01-20 16:16:56 | 授業をのぞいてみた
これまでもブログで紹介してきたように、奈良大学国文学科には多くの実地踏査や実習があります。
今回はその一つ、永井先生担当の「本と出版・実習」(月曜日・2時間目)の授業を、実況中継風にレポートしてみたいと思います。

この講義はタイトル通り本と出版の歴史をまなぶものです。ただし特筆すべきは「実習」の比率が非常に高いことです。
出版や本について学ぶ授業は多くの大学にありますが、それを実習を通して学べる学校は日本広しといえどもおそらくこの奈良大学国文学科ぐらいではないでしょうか。

ちなみに本日の講義テーマは、どの版木によって本が印刷されたのかを確かめるというものでした。
(版木の意味がわからない人は、このブログの永井先生の項目を振り返ってみましょう)

写真はその講義で使用された「出雲物語」とその版木です。
これらは江戸時代に作成・出版された「本物」ですが、授業では学生がこれを使用して実習します。

こんな歴史的な資料を普通に扱える授業って…なんて贅沢。