それは僕が「天使のようなお坊ちゃんですね。」と言われていたかもしれない、小学一年生の頃のことです。時は五月五日端午の節句近くの或る晴れた日。僕の通っていた小学校には中庭なんていう洒落た場所があって、そこに鯉のぼりが雄雄しくたなびいていました。さて女先生曰く、「さあ皆さん、お外へ鯉のぼりを見に行きましょう。」。言われて皆は行儀正しく中庭に集まりました。女先生さらに曰く、「鯉のぼりの歌を歌いましょう。」。皆は一斉に「屋根より高い鯉のぼりぃ~。」と歌い始めました。ところがそこに居た悪ガキ3人正義感あふれる子供達3名は「おかしいぞ、あの鯉のぼりは屋根より低いやんけぇ。」「そやそや低くなっとる。」「ホントのこと歌わんとあかんでぇ。」そして一斉に『屋根より低い鯉のぼりぃ~っ』と歌い始めたのでした。皆の耳目を集めたのは当然ですが、自分達は正しい事を言っているという自負から、気持ちの良い時を過ごしたのでした。さて・・・。学校が終わって家に帰るとくだんの女先生が家に来ていました。僕の母となにやら話をしていて、しばらくして帰っていきました。そして母曰く、「お前学校で鯉のぼりの歌で屋根より低いて歌とたんやて。」「歌とたで。しゃあかて屋根より低くかってんもん。」
「あほかお前は、高いゆう歌を違うに歌てどないすんねん!」「なんでやねん!お母ちゃんうそついたらあかん言うてたからホントのこと歌とたんやんけぇ!」「あかんあかん!高い言う歌は高いて歌わなあかんのやぁ!」。僕の母の有無を言わせぬ「あかんのや」攻撃の始まりまりでした。まあ『長いモノには巻かれろ』ということを母なりに教えたかったのかもしれません。「ありがとね」。そんな僕の母も鬼籍に入って数年が経ちました。皆さんはお母様に対してどの様な思う出がおありでしょうか。僕と同じく既に亡くされた方も、また「豪気堂々百まで生きるぜ」と言う方も色々な母親観があると思います。
まもなく母親の思い出をテーマにした映画が公開されます。「東京タワー」という映画で4月14日公開です。ストーリーは紆余曲折しながらも家族愛を感じていく青年のお話だそうで、言ってみればどこにでもありそうな、それだけに身近に感じられる映画だと思います。
興味のある方はサイトをチェック。
↓ ↓
http://www.tokyotower-movie.jp/
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