三島由紀夫の『仮面の告白』は1949年7月に河出書房から本人初の書き下ろし小説として刊行されました。内容は異常性愛の癖を持つ男の、出生から青年期に至るまでの性的体験を綴ったもので、当時は相当に話題になったそうです。
さて小説の題名が『薔薇の少年』ではなく『仮面の告白』としたところに三島がこの小説で伝えたかったテーマが見えてきます。それを一言で覆えば「秘匿性」と言えます。仮面を被る事により本人を特定できない、その時その人間の本当の姿が表せられる、そして自分が何を恐れて生きているかを知るのです。
発覚すれば社会的制裁を加えられる、それを恐れて犯罪に手を染めない。しかし、本人を特定できないのであれば行動する価値がある。そのように考える者が居てもおかしくありません。アマチュア無線の不法開設・プリペイド携帯電話やインターネットでの脅迫や詐欺。仮面(秘匿性)をもたせる法が増え、伴って犯罪も増えてきています。Web2,0というネットの双方向性を利用して犯罪を依頼する「闇の職業安定所」などというものや、自殺希望者を募集する「自殺サイト」なども現れるようになりました。今後、仮面を利用したさまざまな反社会的な出来事が発生する可能性は、高くなることはあっても低くなる事はないでしょう。しかしこの仮面は、人の影の部分を表すだけのものではありません。
いま中国では民主化という大きな歯車が「ゴトリ」と音をたてて動き出しています。10月12日産経新聞に「インターネットが変えたもの」と題したコラムが載っていました。中国のネット人口は日本の人口より多い1億6200万人。膨大な数のブログやチャット・BBSがあります。それらの発言はまさに仮面の告白、秘匿性による本音の発言です。中国政府は自らを批判する者を極端に嫌います。天安門事件では彼らを武力によって封殺しました。しかしインターネットの世界では戦車は無力です。そこで「剣よりペン」を当局は悪い意味で実行しようとしているそうです。ネットで動かされる歯車を、当局の都合の良い色に変えてしまおうというわけです。しかしコラムにもあるように双方向性のあるWeb2,0の世界で上手くいくでしょうか。
僕の職場に中国から帰化して働いている人がいます。彼に訪ねたことがあります「中国の全人代(全国人民代表者会議)には共産党員の他に国民党員も居るって本当?」。彼は静かにうなずいて「居る」と答えました。さらに「他にも政党があるの?」と訪ねたのですが「・・・・・」口を噤んでしまいそれ以上聞くのを止めました。日本で長く暮らしている彼も、母国の政治的な話には口が重くなるのは、かの国にはそうさせる何かがあるのでしょう。しかし日本で高等教育まで受けた彼の子供はどうでしょう。話した事はありませんがきっと自由に言いたいことを言うでしょう。彼の子供だけではありません、日本やアメリカ等の国で自由を知った中国の若者が、母国の体制をどの様に感じるでしょう。歯車の色の塗り替えなどたちまち「欺瞞だ!」という意見としてネット上を席捲するに違いありません。Web2,0の世界には、良くも悪しくも大きな力を内包しています。
【インターネットが変えたもの】(1)大衆の声 意識する中国(産経新聞) - goo ニュース
さて小説の題名が『薔薇の少年』ではなく『仮面の告白』としたところに三島がこの小説で伝えたかったテーマが見えてきます。それを一言で覆えば「秘匿性」と言えます。仮面を被る事により本人を特定できない、その時その人間の本当の姿が表せられる、そして自分が何を恐れて生きているかを知るのです。
発覚すれば社会的制裁を加えられる、それを恐れて犯罪に手を染めない。しかし、本人を特定できないのであれば行動する価値がある。そのように考える者が居てもおかしくありません。アマチュア無線の不法開設・プリペイド携帯電話やインターネットでの脅迫や詐欺。仮面(秘匿性)をもたせる法が増え、伴って犯罪も増えてきています。Web2,0というネットの双方向性を利用して犯罪を依頼する「闇の職業安定所」などというものや、自殺希望者を募集する「自殺サイト」なども現れるようになりました。今後、仮面を利用したさまざまな反社会的な出来事が発生する可能性は、高くなることはあっても低くなる事はないでしょう。しかしこの仮面は、人の影の部分を表すだけのものではありません。
いま中国では民主化という大きな歯車が「ゴトリ」と音をたてて動き出しています。10月12日産経新聞に「インターネットが変えたもの」と題したコラムが載っていました。中国のネット人口は日本の人口より多い1億6200万人。膨大な数のブログやチャット・BBSがあります。それらの発言はまさに仮面の告白、秘匿性による本音の発言です。中国政府は自らを批判する者を極端に嫌います。天安門事件では彼らを武力によって封殺しました。しかしインターネットの世界では戦車は無力です。そこで「剣よりペン」を当局は悪い意味で実行しようとしているそうです。ネットで動かされる歯車を、当局の都合の良い色に変えてしまおうというわけです。しかしコラムにもあるように双方向性のあるWeb2,0の世界で上手くいくでしょうか。
僕の職場に中国から帰化して働いている人がいます。彼に訪ねたことがあります「中国の全人代(全国人民代表者会議)には共産党員の他に国民党員も居るって本当?」。彼は静かにうなずいて「居る」と答えました。さらに「他にも政党があるの?」と訪ねたのですが「・・・・・」口を噤んでしまいそれ以上聞くのを止めました。日本で長く暮らしている彼も、母国の政治的な話には口が重くなるのは、かの国にはそうさせる何かがあるのでしょう。しかし日本で高等教育まで受けた彼の子供はどうでしょう。話した事はありませんがきっと自由に言いたいことを言うでしょう。彼の子供だけではありません、日本やアメリカ等の国で自由を知った中国の若者が、母国の体制をどの様に感じるでしょう。歯車の色の塗り替えなどたちまち「欺瞞だ!」という意見としてネット上を席捲するに違いありません。Web2,0の世界には、良くも悪しくも大きな力を内包しています。
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