オカ姉のためいき日記

人生色々、ためいき色々。今日はどんなためいきつくのやら・・・?

「その男」

2009-04-12 23:23:08 | 上川さん
隆也のお部屋

池波正太郎氏の原作を読みながら感じたこと。
そこに描かれる登場人物に〝温もり〟があること。

尊王、佐幕、開国、攘夷と思想が入り乱れた時代に生きた人々は
皆が皆、己の志や思想を信じて突き進んでいたに違いない。
誰が悪で、誰が正義かと・・・・
そんな激動の時代に生きた人々に血をかよわせ、温もりを吹き込んでいる。

多くの悲劇もあるものの、読後はなぜか心地よかった。
舞台化されるとしたら・・・・・
舞台の空間に、この〝温もり〟が満ちてほしいと思った。絶対にと!

初日から数日たった今日、観てきました
ラサールさんの演出は、
最初から最後まで、カーテンコールまで温かさがあふれていた。 

激動の背景を〝川〟にみたて、それぞれが選んだ人生に臨む姿を
優しく、はかなく、激しく、魅力的に観せてくれたと思う。
3時間がアッという間だった。

でも私的には「初観劇」って感じがしないのよね。
読みながら ・・・・
〝なんちゃって配役〟と〝なんちゃって演出〟で
勝手に妄想シュミレーションしてたから・・・何様かっ!だね(笑)

ちなみに、その妄想的配役は・・・・・
池本茂兵衛・・・緒形憲   礼子・・・小池栄子  山口金五郎・・・六平直政
中村半次郎・・・金児憲史  伊庭八郎・・・佐々木蔵之介
秀・・・・?(緑子さんはドンピシャ)  歌・・・・猫背椿
な~んちゃってですから!あくまで!

現実の舞台はというと・・・・ネタバレになるといけないので!ですが
平さんの存在感に圧倒され、緑子さんが出色・・・・!

川の流れに身を投じず、時代の変わり様と、人々を見据えて生きた
虎之助の隆也さんは・・・・
そう、いつもは役という媒体によって 「上川隆也」は消えるのだけれど
今回は虎之助と隆也さんがオーバーラップしてしまった。

虎之助を演じるにあたり
「こんなに男らしく、出会う人全てに好かれるような人に自分もなりたい」
というように語っていたけれど 〝貴方がそのままよ!〟と言ってあげたい。

先にご覧になった方が、最後にとてつもない感動が待っていた、とあった。
本当です。
決して〝お涙頂戴〟的な場面があるわけではない。
だけど・・・なぜか泣けて、昂ぶってしまった。不覚?にも!です。

時代の流れと、愛する人々をおくった虎之助の胸中への感情移入なのか
「座長」としての隆也さんの頑張りにたいしての安堵なのか
素敵過ぎたからか、舞台の完成度への満足感なのか
最後まで感じられた温かさなのか、自分でもなんだかわからない。
それらが、ドドォ~ンと押し寄せてきちゃった感じかな

でも私だけでなく、劇場全体がそんな雰囲気になっていたのは確か!
23日まで待てずに、この日にチケットをとったのだが正解だったな~
次は落ち着いて観よう。

若き虎之助に扮した隆也さんは ホ~ントに 「美しい男」
齢97歳の虎之助は「生き抜いた男」
扮した隆也さんは 映画 「生きる」でのS・Tさんのようでした!

隆也さんの両手首にはサポーターでしょうか?
連日の華麗かつ迫力の殺陣の激しさを物語るようで・・・ガンバレ

フィナーレというかカテコは今まで見たことのないもので、さながら
〝ゴーカなおまけ〟とでも言いましょうか?これは嬉しかったな~
そして隆也さんの、溢れんばかりの笑顔にヤラレちゃいました

思わず 「エッ」と声が出ちゃったところ・・・・
考えられない〝早替わり〟と
ある人の、とんでもない見事な〝太刀さばき(収め?)〟を
どうぞお楽しみに!

商業演劇と他の演劇との違いがよくわからないけれど
「その男」は観た者勝ち(価値)でしょうね。