10月の気温は全国的にかなり高く、1946年の統計開始以降、北日本、東日本と西日本では10月として1位の高温となりました。紅葉も遅れているようです。
10月に出会った植物の花や鳥の写真を整理しました。花が少ない月ですが、つくば実験植物園の植物を中心に近隣の公園の植物を約160品種ほどの花木の撮影ができました。毎月恒例の記録として8回に分けて投稿します。
北米東部の水湿地に群落を作って自生するズアオイ科の多年草です。和名は、母種のナガバミズアオイより葉が細いことから付けられました。
草丈は50~150㎝程度。葉は根出葉で、長い葉柄を持ち、その先に細長いヘラ状(細長い披針形)の葉をつけます。
6~10月頃、根茎から根茎より長い花柄を出し、先端に穂状花序をつくります。
筒状の花穂の周囲には淡桃紫色の6弁花が多数開花する。中央の上弁には淡緑黄色の模様が入ります。
<ホソナガバミズアオイ(細長葉水葵) ミズアオイ科ポンテデリア属>
10/22 つくば実験植物園
本州山口・島根県以南、九州~琉球、朝鮮半島南部、中国の海岸崖地の岩場等に生える多年草。
分布は島根県・山口県の日本海側から沖縄、朝鮮半島南部・中国の海岸の岩場から山裾にかけて生育します。
基部から多くの茎を出し、太く木化します。花は10〜11月に、黄色の舌状花を約12個もつ頭花を散状に開きます。2〜3.5cmほどの痩果になります(冠毛は3〜5mm)。
<ホソバワダン(細葉海菜) キク科アゼトウナ属>
10/22 つくば実験植物園
南アフリカ原産の多肉植物で、多肉質の細長い葉が密生し、キクのような花を咲かせます。
キク型の花を初夏を中心に秋まで断続的に咲かせます。赤やオレンジ、黄色、白など花色が豊富に出回っています。
葉と花の形から本種の名前が付きました。菊の名がついていますが、キク科の植物ではありません。
<マツバギク(松葉菊) ハマミズナ科マツバギク属>
10/22 つくば実験植物園
低湿地に生える多年草で、横にはう地下茎から高さ30~50cmの茎を立ち上げ、 そこに長さ3~7cmの線形~広線形の葉を3~4個ずつ輪生します。
8~10月にかけ茎頂に、長さ2~8cmの花穂を1個立て、淡紅色の花を密に付けます。
湿地・池沼・河川の埋立・改修工事によって数が激減しており、環境省レッドリスト2020では「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されています。
別名、ムラサキミズトラノオともいいます。サクラソウ科のオカトラノオやヌマトラノオのように、花穂を虎の尾に見立てたとされています。
<ミズトラノオ(水虎の尾) シソ科ミズトラノオ属>
10/22 つくば実験植物園
アッサム州(インド)原産でサトイモ科 コンニャク属の非耐寒性塊根(多年草)です。葉の上に小さな珠芽(むかご)をつくって繁殖します。
初開花まで3年を要します。仏炎苞は緑色を帯びた淡いピンクで、肉垂花序はきれいなピンクです。コンニャク属で、花がピンクなのは珍しいです。
<ムカゴコンニャク (零余子蒟蒻) サトイモ科コンニャク属>
10/22 つくば実験植物園
秋の紫の実が美しい日本原産の落葉低木です。古くから山地の湿地や森林に自生しています。
花はいずれも淡い紫色です。きれいな色彩ですが、熟した果実に比べると目立たずやっぱり見劣りしてしまいます。開花時期は6月~7月頃です。
葉の色は実がなりだす初秋は緑、秋が深まってくると徐々に黄色く色づき、紫色の実との色合いがとても美しい光景です。
その美しい実から英名ではJapanese beautyberryとも言われています。
<ムラサキシキブ(紫式部) シソ科ムラサキシキブ属>
10/22 つくば実験植物園
インド、東南アジア原産で沖縄から中国南部等でも広く植栽されている常緑高木。
マメ科の植物ですが、花はエンドウマメのような蝶形花ではなく、平開し、一見ランの花を思わせることから英語でorchidtree(ランの木)と呼ばれます。
東南アジア地域原産で,熱帯では花木とされます。花弁が披針形で,花色が白色から濃紫色までいろいろあります。
葉は大きくヒツジの蹄のような腎臓形。夜は閉じます。さや状の実を付けレクチンを含有します。
<ムラサキモクワンジュ(紫蘇芯花) マメ科ハカマカズラ属>
10/22 つくば実験植物園
北アメリカ南部から南アメリカに分布するキク科の一年草です。牧草地や草原、森林などに自生しています。
5月~10月頃の花期になると、茎上部の葉の付け根から花柄を伸ばし、鮮やかな黄色の頭花(とうか)を咲かせます。
一輪の花に見える部分は、外周の花弁のような舌状花(ぜつじょうか)と、中心部分の小さな管状花(かんじょうか)から作られた集合花です。
<メランポジウム(黄帝菊) キク科メランポジウム属>
10/11 アンデルセン公園
シルバーリーフが美しい半耐寒性常緑低木です。日当たりの良い乾燥気味の場所でよく育ち、日当たりが悪いと葉色が悪くなります。
日本では鹿児島県の海岸沿いの岩場などに自生していますが、近年自生種は激減しています。
葉はヘラ状で深い3~5裂の切れ込みがあり、独特な香りがあります。
葉に細かい毛が密生しているため全体的に銀白色に見えます。冬に花弁を持たない小さな黄色い花を咲かせます。
<モクビャッコウ(木百紅) キク科モクビャッコウ属>
10/11 アンデルセン公園
7月~9月に大輪の花が開花する草丈が2m近くになる大型宿根草です。沼地によく見られることから、沼ハイビスカスの別名があります。
花は、近縁のフヨウやムクゲとよく似ています。一番簡単な見分け方は、葉の形です。本種の葉は掌状のモミジに似た形で、3~5裂に深く切れ込みがあります。
実はホオズキやフウセンカズラのような大きさと形をしています。蜘蛛の足のような細いガク片がユニークです。
葉は大きく5つに裂け(正確には3裂~7裂くらいまで差がある)、線の細いモミジ(カエデ)のような姿をしており、そこから本種の名前が付きました。
<モミジアオイ(紅葉葵) アオイ科フヨウ属(ハイビスカス属)>
10/15 北柏ふるさと公園
八重咲きの園芸種。日本や東アジアからヨーロッパに渡ったクチナシが品種改良され、里帰りしたものが流通しています。
花は八重でも実はクチナシと同じです。熟すとクチナシの実やコクチナシの実 同様にオレンジ色になり、料理の着色に使われます。
一重咲きの品種は秋になると橙色の実をつけ、熟しても口を開かない事から「クチナシ」の名が付いたと言われています。
<ヤエクチナシ(八重梔子)紅葉 アカネ科クチナシ属>
10/22 つくば実験植物園
福島及び新潟県以南の各地に見られる多年草で、薄暗い暗い林や藪に生え、葉の色や形がミョウガ(ショウガ科)に似るため命名されました。
夏から秋にかけて花茎が伸び、直径6ミリほどの小さな白い花が、茎の上部に段々に集まって咲きます。
実も花と同じようにタイミングをずらしながら次々に熟し、その青藍色が美しいことから観賞用に植栽されます。
<ヤブミョウガ(薮茗荷) ツユクサ科ヤブミョウガ属>
10/11 アンデルセン公園
背・翼の上面は灰色、腹は褐色。頭は黒色と白っぽい淡い褐色の模様です。
体の大きさに比較し頭でっかちで、尾は短め。主に日本に生息し、中国の一部、朝鮮半島、済州島、台湾などでも繁殖しています。
さえずりは「ツツピーン ツツピーン」とゆっくりした鳴き方。日本産カラ類の中では最もゆっくりしたさえずりをしています。
<ヤマガラ(山雀) スズメ目シジュウカラ科ヤマガラ属 全長14cm>
10/22 つくば実験植物園
田のあぜでカントウヨメナといっしょに生えることもありますが、より乾燥したススキ草原のような場所にも多く見られます。
夏の終わりから秋にかけ、茎の先に直径2.5センチメートルほどの花を1つずつ咲かせます。舌状花は普通白色ですが、カントウヨメナのような薄紫色の花をつける株もあります。
一般には野菊と呼ばれる種類のひとつで、葉にかすかに柚の香りがすることから本種の名の由来ですが、ほとんど香りはなく由来は不明です。
<ユウガギク(柚香菊) キク科シオン属>
10/22 つくば実験植物園
キク科コノクリニウム属の多年草(宿根草)で、セイヨウフジバカマとも呼ばれます。
北米やメキシコが原産で、 開花期は7〜10月頃。アザミに似た青や紫、白、ピンクの花を咲かせます。
高さは50〜100cmほど。 耐暑性・耐寒性を持ち、ある程度放っておいても丈夫に育ちます。
<ユーパトリウム(西洋藤袴) キク科コノクリニウム属>
10/11 アンデルセン公園
本種の原種は2000種以上あり、形態も一年草、宿根草、多肉植物、低木と多岐にわたります。
近年、本種のように、まるで白い花が咲いているような非耐寒性低木が人気を呼んでいます。本種は戸外で初夏から秋に開花する特徴があります。
観賞する白い部分は、ポインセチアなどと同様、苞と呼ばれる花序のすぐ下の葉で、本当の花は目立ちません。
<ユーフォルビア・ダイアモンドフロスト トウダイグサ科ユーフォルビア属>
10/11 アンデルセン公園
アガペ科アガペ属の多肉植物。硬質で鋭いトゲのある葉をもつリュウゼツラン。
アガペ属の殆どは生涯に一度だけ花を咲かせその後に生涯を終えますが、開花までに子株を付けるので株分けで代替わりとなります。
<ライジン(雷神) アガペ科アガペ属>
10/22 つくば実験植物園
トルコからイランににかけて分布する多年草で、近年香りの良いハーブとして人気の植物です。
和名の「ワタチョロギ」は、葉が綿のようなチョロギという意味です。「チョロギ」とは梅酢で赤く染めて正月の料理に添えられる「長呂木」のことです。
葉の部分がやわらかい白い綿毛が羊の毛に似ていることから「ラムズイヤー」の名前がつけられました。
<ラムズイヤー(綿草石蚕) シソ科イヌゴマ属>
10/22 つくば実験植物園
中南米や南欧原産の約150種の低木または多年草。熱帯・亜熱帯では広く野生化し、オーストラリアや東南アジアではやっかいな雑草として問題になっています。
日本の一般的な気候下では初夏~秋まで咲き続けることが多く、園芸植物として公園や庭に植えられています。
和名で「七変化」と呼ばれる通り、徐々に花の色が変化する不思議な常緑性の花木です。
<ランタナ(七変化) クマツヅラ科シチヘンゲ属>
10/11 アンデルセン公園
沖縄県に生息しているアサガオの仲間です。海の青さにも負けない濃い青色や紫色の花を咲かせ、生長が早いので夏のグリーンカーテンとして注目を集めています。
朝顔と比べて生命力が強く、つるをよく伸ばして近くのものに絡みつくのが特徴。早朝は青色、午後にかけて紫色に変化する変わった性質をもっていることからガーデニングに人気です。
朝顔は一年草ですが、本種は多年草で強健。10数メートルも蔓を伸ばすこともあります。
葉の大きさも普通の朝顔に比べて大きくハート型をしており、花を房状につけ夕方まで咲き続けます。
<リュウキュウアサガオ(琉球朝顔) ヒルガオ科サツマイモ(イポメア)属>
10/22 つくば実験植物園
熱帯アメリカ原産で、さまざまな種類がありますが、日本でよく栽培されているのは、葉が細いヤナギバルイラソウと、園芸品種で葉が少し短めの‘パープルシャワー’です。
どちらも7月から咲き出しますが、暑さに負けずに夏中、花をつけます。とくに晩夏~秋にかけて花数が多くなり、透明感のある薄紫の花がよく目立ちます。
最近人気なのが園芸品種の‘パープルシャワー’で、葉はシャープながらヤナギバルイラソウより短く、茎が少し黒みがかった色をしています。
<ルエリア(柳葉ルイラ草) キツネノマゴ科ルイラソウ属(ルエリア属)>
10/11 アンデルセン公園
ラベンダーに似た花をたくさん咲かせるシソ科ペロブスキア属の多年草です。ベルベット状の青紫色の小花が多数群れ咲き、花や茎葉には芳香があります。
ミントに似た柔らかな香りを放ち、ハーブとして利用されることもあり、虫よけ効果や癒し効果があるとも言われています。
サルビア属に似ていることから名前に「セージ」とついていますが、属は違います。また、原産地はアフガニスタン、パキスタンでロシアではありません。
<ロシアンセージ シソ科ペロブスキア属>
10/22 つくば実験植物園
世界の熱帯・亜熱帯に約40種類が分布する多年草です。花後にできる綿毛が繊維となり、種子からは油がとれます。厳密に言うとあのふわふわした綿はタネから生えた毛です。
本来は毎年花を咲かせる多年草ですが、寒さに弱く冬には枯れてしまうことが多いため、園芸上は一年草として扱われます。
主な開花期は夏で、ハイビスカスに似た姿の花を咲かせます。花色は淡い黄色で、しぼむとオレンジ色になります。
<ワタ(綿) アオイ科ワタ属>
10/22 つくば実験植物園
10月の花のアルバム(1)~(8) 全163品種の花、野鳥、昆虫を最後までご覧いただきありがとうございました。
次回は「11月の花のアルバム」を2024年12月中旬に投稿予定です。それまでは、暫くブログを休止いたします。フォロワー様のブログにも暫くの間、訪問できなくなりますので、よろしくお願いします。
再開した折りには、また拙ブログをご覧いただけると、とても嬉しいです。