KKDブログ

Welcome to "KKD BLOG"!!

鳩山内閣

2009-09-17 23:27:56 | 鳩山内閣
昨日民主党の鳩山由紀夫代表が第93代(60人目)内閣総理大臣に就任し、鳩山内閣が発足した。

本題からずれるかもしれないが、多くのテレビは衆参両院で首相に指名された段階で「鳩山首相誕生」と報じた。麻生太郎氏は早くも「前首相」と呼称されていた。しかし、これは明らかに間違いだ。憲法を完全に無視している。憲法71条には、総辞職後の内閣について「内閣は、新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ」と明記されてある。即ち、天皇陛下が憲法6条に基づき鳩山氏を首相に任命されるまでは、総辞職した麻生内閣は存続していたのである。またこれまでの政権と同様、「次期首相」の鳩山氏は陛下の親任を受けるよりも前に「内閣総理大臣」としての記者会見を行ってしまった。http://www.kantei.go.jp/jp/hatoyama/statement/200909/16kaiken.html政権交代しても、この不可解な手順が行われてしまったのは残念である。ただし、閣僚の場合は認証官任命式(首相が閣僚を任命し、天皇陛下がそれを認証される)の後に記者会見を行うようになっていたので、その点は評価したい。

閑話休題。閣僚の顔ぶれを見た第一印象としては、なかなか手堅い人事であると感じられた。民主党は脱官僚・政治主導を目指して、国家戦略局や行政刷新会議の創設を掲げてきた。どちらかというと野党色が強いベテランの菅直人氏、仙谷由人氏をそれぞれの担当相に充てたことは、官僚と正面から向き合おうという姿勢の表れだろう。ただし彼らの役目は単に官僚と喧嘩するだけではない。国益を見据えた経済成長戦略や外交安保政策を打ち出す中核となれるかどうかは、まだ不透明だ。また年金問題を追及してきた長妻昭氏が、厚生労働相・年金改革担当相になったことからも同様の趣旨が伺える。とはいえ、厚生労働省は幅広い業務を有する官庁だ。不況下における雇用対策や世界中で猛威をふるう新型インフルエンザ対策も、長妻大臣が所掌するわけであり、どこまで手腕をふるえるかは未知数だ。

岡田克也外相と藤井裕久財務相についても、両者とも優秀な政治家だし、期待している。ただ前者については、外交については一定の継続性が求められるなか、理想と現実をどの程度うまく調整できるのかは未知数だ。日米関係において、いずれ難しい決断に迫られるであろう。後者についても、民主党のマニフェストにある無駄な歳出の16.8兆円削減の実現可能性が不明確であるとともに、その担当について菅大臣や仙谷大臣との調整ができているのか微妙なところだ。それに加え、民主党のマニフェストは歳出削減額と新規歳出額が同額であるにもかかわらず、増税も行わぬとあっては、財政再建をいかに行うか全く分からない。その点の方針も早急に打ち出すべきだ。

個性的な知事の出現等によって地方分権への関心が高まるなか、原口一博氏を総務相兼地域主権推進担当相に任じたのは興味深い。原口大臣は「次の内閣」でも総務相とされていたし、テレビの討論番組でも幅広いテーマで発言できる有力な論客だ。その知識とパワーで地方分権がどう前進されるのかが注目される。前原誠司国交相兼沖縄・北方相も、公共事業の見直しや北方領土問題において期待したい。拉致問題については、民主党のなかで熱心にこの問題に取り組んできた中井洽氏に担当相のポストを与えた。特に注目したいのは、拉致問題担当相が国家公安委員長の兼任となったことだ。今までこのポストは官房長官と兼任されることが多く、必ずしも大きな役割を果たせなかった経緯がある。警察庁を管轄する国家公安委員会のトップが拉致を担当することで、新政権ではどのような変化が見られるのか、期待を持って見守りたい。

国民新党の亀井静香代表が金融担当相及び郵政改革担当相に任じられたことには、不安がある。元々議席が少なく、総選挙では代表や幹事長が落選した党が、自らの主張を押し通そうとするのは疑問だ。消費者等の担当大臣となった社民党の福島瑞穂党首の影響力についても、注視したい。

以上の様に、期待と不安が渦巻く内閣である。内政・外交共に課題は枚挙に暇が無い。鳩山首相の手腕に日々注目したい。



【参照】鳩山内閣閣僚名簿http://www.kantei.go.jp/jp/hatoyama/meibo/daijin/index.html