ちゅう年マンデーフライデー

ライク・ア・ローリングストーンなブログマガジン「マンフラ」

長谷川きよしが今年ブレイクの予感。末吉な年始、今年は「待てば海路」で。

2009年01月08日 | 音楽
 初詣でおみくじを引いたら、神社も不動尊も「末吉」。動かず、騒がずじっと待てば運気が変わるというのがだいたいの今年の運勢。四柱推命では夏に運気が上がるが、干支占いでは金運は最低とのこと。そんなわけで、今年は「待てば海路の日和あり」の精神でいきましょうかね。

 ところで暮れの有馬は惨敗。グラスワンダーとエルコンドルパサーの子供の馬連とこれにダイワスカーレットを加えた3連複であったのだが。

 ひょんなことから暮れに、そういえば長谷川きよしはいまどうしているのだろうかとYouTubeで検索したら、なんと椎名林檎のライブで名曲「別れのサンバ」を歌っているではないか。19歳のとき今で言えばこの曲でメジャーデビューしたわけだが、あの頃の19歳はこんな詩を書いたのだなと感心しながら、その歌声、ギターテクニックに聴きほれてしまった。デビュー当時は、同じ盲目のホセ・フェルシアーノと比較もされたが、高校時代、習い始めのギターではボサノヴァのリズムがうまく弾けなくて、ギターを弾きながら「別れのサンバ」を歌ってみたいと思ったものだ。

昨年デビュー40周年とかで、その記念ライブアルバム「40年。まだこれがベストではない。長谷川きよしライヴ・レコーディング。」が出ていたので早速購入。久々に歌に力のある歌手を聴いたと思った。もちろん「別れのサンバ」あり、さらに「愛の讃歌」「コムダビチュード~いつも通り(マイウエイ)」といったシャンソンを、原曲に近い訳詞で歌い、椎名林檎の「化粧直し」までカヴァーするこのアルバムは、歌詞がしっかり聴き手に伝わるすばらしいアルバムなのだ。プチマイブームの長谷川きよしだが、今年はブレイクするのではないかと勝手に予感している次第。
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J・サンプル&R・クロフォード「ノーリグレッツ」は買って悔いなし

2008年10月22日 | 音楽
 アルバム・タイトルは「ノーリグレッツ」、買っても後悔しないよという意味かどうかは知らないが、ジョー・サンプル&ランディ・クロフォードのコラボアルバム第2弾で、今回はブルース&ゴスペルナンバーが中心。結論は「ノーリグレッツ」。

 1曲目「エヴリィデイ・アイ・ハヴ・ザ・ブルース」を試聴して買うことにしたのだが、このグルーヴ感はたまらない。もともとベイシー楽団とジョー・ウイリアムスの「カウント・ベイシー・スイングス・ジョー・ウィリアムス・シングス」のアルバムに収められていた曲。ジョー・サンプルのピアノがベイシー風に始まり、スティーヴ・ガッド(ds) 、クリスチャン・マクブライド(b)、アンソニー・ウィルソン(g)の強力リズム隊が心地よくスイングする。僕と1年違いの同じ誕生日というランディ・クロフォードは、うまさと渋みと抑制が加わって、前作「フィーリング・グッド」のようにスタンダードを歌うより、このアルバムのほうがずっといい。タイトル曲の「ノーリグレッツ」も泣かせます。
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阿部定がナイチンゲールでアルゼンチンはリリアナ・エレーロなのだ。

2008年09月10日 | 音楽
 雑誌『東京人』10月号の特集「アウトロー列伝」がおもしろい。アウトローという言葉そのものが、死語になりつつあるような時代に、なかなか骨のある企画で楽しめた。アウトローとは法の外を歩くが、掟に生きる反骨の人とでもいおうか。義侠の人・平岡正明が座頭市への愛を語った一文がすばらしい。勝新こそ、アウトローを演じて右に出るものがない最強のアウトロー俳優だろう。

 アウトローといえば男性をイメージするが、この特集では阿部定を唯一女性として列伝に加えている。お定さんは刑期を終えた後、名前を変えて職を転々とするが、その後どうなったかまったく不明という。あれだけの有名人なのだからいくら名前を変えたとはいえ、亡くなれば風の便りに噂が聞こえてこよう。だからもしかしたら100歳を越えてまだ存命かもしれない、といったおもしろすぎる推理さえ呼び起こす。世間の外に消えたのでアウトローというわけだが、阿部定事件あと、ちんちん電車で女性車掌が「切符切らせてください」というと車内が爆笑に包まれたという有名なエピソード、この話は中学時代に野末陳平の本で知って以来、僕の大好きなアネクドーツの一つだ。男はアルゼンチン、女はナイチンゲールなんてーのもあった。

 チンがチンを呼んだのか、アルゼンチンの歌手リリアナ・エレーロをおととい知った。「風の告白」というアルバムを貸してくれる人がいて、iPodに入れて通勤電車で聴いていたら、6曲目の「アルガモンテのサンバ」で目頭が熱くなった。大地を撫でるようなざらっとした声だが、豊かな伸びのある高音、自在に声色を操りながら悲しさと力強さを湛えた歌声は心にしみる。アタウアルパ・ユパンキの「ギターよ、教えておくれ」なども歌っていて、フォルクローレの名曲を集めたアルバムらしい。ギター一本の伴奏で歌い上げる楽曲がなんといってもすばらしく、アルゼンチンの女性大御所歌手、メルセデス・ソーサをして後継者と言わしめたという。「アルガモンテのサンバ」を聴くべし。

 ユパンキは、25年くらい前、スペインのバルセロナで幸運にもコンサートをみることができた。教会前に拵えたステージで、教会の扉をギギッと開け、ギター一本抱えたユパンキが登場したとき、間違いなくオーラが差していた。かつての征服者の国でインディオの哀歌を歌うユパンキにいたく感動したものだ。リリアナ・エレーロの歌はしばらく忘れていたユパンキやあのときのバルセロナの風などを思い起こさせるのだった。
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「白い波」、そして石川セリ「遠い海の記憶」のこと

2008年08月01日 | 音楽
 以前、このブログで書いたユキとヒデの「白い波」が聴けるコンピ・アルバムが出ていた(ちなみに、「白い波」のドーナッツ版はネットで3,000円くらい)。「ソフトロック・ドライヴィン」(ユニヴァーサルミュージック1,300円)というソフトロック・ヒッピーズシリーズ(このシリーズ名もすばらしい)の1枚で、昭和40年台の和製ボサノヴァなどが25曲収められている。ユキとヒデ「白い波」のB面だった「長い夜」。安田南が歌った「赤い鳥逃げた?」、これは藤田敏八監督で桃井かおり(ヌードで登場します)のデビュー作だった同名映画の主題歌、さらに西田佐知子「きのうの涙」、まだ夫婦だったマイク真木と前田美波里のデュエット「空には名前がない」など、西暦ではくくれない、まさに昭和40年代和製ポップスのレアモノばかり。とりわけ「白い波」は和製ボサノヴァとしてはかなり完成度が高いことが分かる。まあ、この25曲を全部知っている人は相当ヒップだと思うが、アストラッド・ジルベルトが日本語で歌う「ストリート・サンバ」なんてーのも入っていて、とにかく楽しめるアルバムだ。

 それにしても、このアルバムには「赤い鳥逃げた」などを作曲している樋口康雄の曲がかなり収められているが、この人の楽曲は、例えば石川セリのデビューアルバム「パセリと野の花」などで聴けるように、ニューミュージックといわれた和製ポップスのなかでも、とてもモダンでスケールの広がりを感じさせる曲が多かった。「パセリと野の花」には名曲「八月の濡れた砂」のほか、「鳥が逃げたわ」という「赤い鳥逃げた?」の続編のような曲もある。この人の曲で僕が好きだったのは、やはり石川セリが歌った「遠い海の記憶」。これは、NHK少年ドラマシリーズ「つぶやき岩の秘密」の主題歌だった。アレンジがビートルズの「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」のようだった覚えがある。そういえばこのドーナッツ版もあったはずだが。

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チェリーボーイの夢でアン・マーグレット

2008年08月01日 | 音楽
 北欧出身の女優というとイングリッド・バーグマン、グレタ・ガルボなどが有名だが、アン・マーグレットもスウェーデン出身。実は、中学生の頃、結構アン・マーグレットが好きだった。その頃観た「バイ・バイ・バーディー」、この映画はエルヴィスの入隊がモチーフになってつくられた映画だが、このアン・マーグレットはよかった。映画の中で歌われる「バイ・バイ・バーディー」「ワン・ボーイ」なども、どこか胸がキュンとなる青春ポップスで忘れがたい。そもそも「ラスベガス万才」では、人気絶頂のエルヴィスと唯一競演できた女優で、「セクシー・ダイナマイト」といった映画に出演するなど、ブロンドのセックスシンボル的な人気だったので、ヤンキー娘とばかり思っていたのだ。

 実際、中学時代の夢の中に、なぜか水着姿のアン・マーグレットが出てきて、田舎のチェリー・ボーイは思わずイッてしまったこともあった。それゆえ、お世話になった忘れられない女優なのだが、北欧出身と知ったのは後のことで、その頃、アン・マーグレットは、マイク・ニコルズの「愛の狩人」などに出るようになっていた。

 さて、アン・マーグレット20歳のときRCAからリリースした「オン・ザ・ウェイ・アップ」は、RCA美女ジャズシリーズとでも言うのだろうか、なんといってもこの内容で1,000円という価格がすばらしい。アルバムは、「Fever」など前半アップテンポのロックン・ロールナンバー、後半は「Moon River」などバラードという構成。アン・マーグレットって、こんなに歌がうまかったっけというくらいキュートで、甘酸っぱいあの頃の思い出に浸ってしまうのだった。
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ラストタンゴのマリアと青空のマリア

2008年07月29日 | 音楽
 NYで今最も人気があるといわれているビッグバンドがマリア・シュナイダーのバンドだという。マリア・シュナイダーと聞いて、まず、ベルトルッチの映画「ラスト・タンゴ・イン・パリ」でマーロン・ブランドと激しいまぐわいを演じたかの女優を思い出すが、まったくの別人。ギル・エヴァンス最後の弟子といわれる才女で、コンダクターぶりは蝶のように舞うともたとえられる。そのコンテンポラリーなジャズ・オーケストラのサウンドは、かなり評価も高く、一度聞かねばと思っていたのだが、いずれのアルバムも3,500円くらいで、CD一枚の値段としてはちょっと手が出しにくい。

 そうした中で、昨年出た最新のアルバム「ブルー・スカイ」は、カヴァー・ジャケットが洗練されていて、気に入ったので買ってしまった。背景のスカイブルーに、流れるようなシュナイダーのブラウンの髪と白のコスチュームが映えて美しい。中身は、ブルース色を脱色したジャズというのだろうか。アンサンブルとソロが高次元で見事に融合しているが、ブラスバンドの課題曲を聴いているようでもあり、でも確かにジャズのようでもある? マイルスとギル・エヴァンスの合作「スケッチズ・オブ・スペイン」におけるマイルスのトランペットは「アランフェス」を吹いてもブルースを感じさせるのに・・・。シュナイダー自身の体験や心象風景を音にしているのだろうか、森林浴でもしているような鳥のさえずりがあったり、青い空や吹く風といったある情景を聞くものに喚起させるアルバムではある。

 2曲目の「Aires de Lando」がなかなかよい。アルバム中唯一官能的でダンサブルな曲なのだが、これはペルーのセクシーな黒人音楽ランドーをモチーフにしているからで、スコット・ロビンソンのクラリネットをフィーチャーしながら、ポリリズミックなパーカッションが奏でるタンゴのような不思議なリズムと相まって、どこか悲しいジンタのように響き。もしかしてコンチネンタルタンゴの名曲「青空」にこのアルバムタイトルは由来するのかと思ったほどだが、どうもそうではないらしいし、あの女優と同じ名前なので「ラストタンゴ」とつながっているのかとか、ランドーとブランドは似ているとか、勝手にイメージしてしまった始末で、なかなかよい曲なのだが、やはりジャズのスイング感、グルーヴとはちょっと異なった趣なのだ。たぶんこのアルバムのシュナイダーの曲は、演奏すると楽しいかもしれないし、ぜひライヴを聞いてみたいものだ。
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VANミュージック・ブレイクとナベサダと「白い波」

2008年07月02日 | 音楽
 1967年頃、今のテレビ朝日がまだNETといっていた時代、日曜日の朝の音楽番組に「VANミュージック・ブレイク」があった。アメリカから帰国した渡辺貞夫のクインテットがレギュラーで、アルト・サックス:渡辺貞夫、エレキギター:中牟礼貞則、ピアノ:菊地雅章、ベース:原田政長、ドラム:富樫雅彦というすごいメンバー。その頃のナベサダは、当時最新の音楽だったボサノヴァを中心に、そのリズムでスタンダードなどを演奏するスタイルだった。しかも細身のVANのスーツできめている。それが新鮮で、カッコよかった。

 中学生だった僕は、ブラスバンドでトランペットを吹いていて、もっぱらハーブ・アルバート&ティファナブラスに憧れ、先輩と二人でコピーしたりしていた。ところが、この番組でナベサダの演奏を聴いて、すっかりジャズの魅力にとりつかれてしまったわけで、僕にとって忘れがたい番組なのだ。ナベサダの演奏以外、番組の内容はよくおぼえていないが、前田武彦が司会、VANの社長・石津謙介もよく出演していた音楽バラエティだったのではないか。とにかくナベサダのジャズという自在な演奏、背中を丸めてピアノの鍵盤に頭を突っ込むようにして弾くプーさんこと菊地雅章の姿が印象的だった。最初に買ったLPもタクトのナベサダのアルバム(「ジャズサンバ」だったはず)だったが、高校の文化祭で盗まれたのが今でも悔しい。

 番組でよく演奏していたのがナベサダ作曲のボサノヴァ「白い波」。この曲は、ヒデとロザンナの出門英が、ヒデとロザンナとしてデビューする前、ユキとヒデだったか、そんなデュオで、ジョヴィンの「ウェイヴ」に似たこの曲を歌っていて、そのドーナッツ盤は、僕のかなりお気に入りだった。これも件の文化祭で盗まれてしまった。ちなみにユキは、後に「悲しみはかけ足でやってくる」をヒットさせたアン真理子。インストの「白い波」は、ナベサダの何かのアルバムにも入っていたと思うが、「ユキとヒデ」盤は、はたしてあるのだろうか。

 ナベサダのバンドにも在籍していたケイ赤城トリオ「リキッド・ブルー」。昨年末のアルバムだが、最近、月刊「プレイボーイ」のジャズ大賞になっていたので買ってみた。ケイ赤城は、菊地成孔のマイルス研究書「M/A」で、マイルスバンドでの体験を語っているが、そのインタビューがとても好感がもてたので、トリオの演奏もぜひ聴きたいと思っていたのだ。エヴァンス風なユーロ・ピアノ・トリオばかり聴いていた耳には、かなり新鮮に聞こえた。トリオのインタープレイ(このドラムとベースはすごい)、各人のテクニックがすばらしいが、「ブルー・イン・グリーン」の最初の一音には意表をつかれた。混沌、カオスといった表現がぴったりの演奏で、これまで聴いたことのない「ブルー・イン・グリーン」だ。1曲目の美しい「スマイル・イン・ザ・レイン」など、どれも刺激的だがどこかなつかしく、噛み締めるほど味の出るアルバムなのだった。
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中・低音だけで聴かせるチェット・ベイカーのトランペット

2008年02月28日 | 音楽
 オランダの女性ジャズシンガー、レイチェル・グールドとチェット・ベイカーの1979年のコラボアルバム「all blues」がなかなかいい。両者とも結構下手くそな演奏なのに、なぜかいい。かなりレアなアルバムらしいが、実際このオランダの女性シンガーは知らなかった。音程ははずれるし、のりは悪い。素人っぽい初々しさくらいしかこれといった魅力はないのだが、それでもチェットがバックアップしていると、クールなジャズアルバムになってしまうから不思議だ。

 もちろんチェットも曲によって演奏のクオリティはばらばら。「ラウンド・ミッドナイト」は、テーマをトランペットでは吹かず、スキャットで演奏し、いい味を出しているのだが、むしろラッパでは、テーマを吹くほど音が出なかったのではないかと思う。アルバムのレヴューによるとアンニュイでデカダンなチェットのトランペットなどと書かれているけれど、むしろこのアルバムのチェットは、音は出ないけれど、ラッパを吹くことに喜びを感じている風な、明るく快活な印象ではないか。「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」「ラウンド・ミッドナイト」とか沈む曲があるからかもしれないが、これらも決して暗くしずんでいるわけではない。中・低音だけでもトランペットのアドリブを聴かせることができる稀有な例かもしれない。ここで、もっと高い音を出してくれたらという場面は何度もあるけれど、よれよれのチェット・ベイカーを味わおう。

 そういえば、近々WOWWOWで1979年のチェットのライブを放映するらしい。1979年は、チェットがヨーロッパに移って間もない頃で、再出発でやる気になっていたのかもしれない。 

 このアルバムと一緒に購入したヤエル・ナイムのアルバム、例のマックのCFで使われている「New Soul」がよかったので買ったが、ネットでこの1曲だけダウンロードが正解なのだった。
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バット・ビューティフルはバガボンのパパの口癖?

2007年05月31日 | 音楽
「バット・ビューティフル」について、以前、「いろいろあっても、それでも恋はすばらしい」みたいな意味だろうと書いたが、こういう間違いは、よく間抜けなボーカリストがやるんだそうだ。「楽しい恋、悲しい恋、皆さんはどんな恋をしていますか。恋にもいろいろあるけれど、しかし美しい。私の大好きな曲です。聴いてください。バット・ビューティフル」。ね、気持ち悪いでしょ。だから大いに反省しています。大筋、まちがってはいないんだけれど、どっちかというと、「バガボンのパパ」風に、「それでいいのだ」というニュアンスなのだそうだ。「酸いも甘いもあるけれど、それが恋。そんなもんだよ。それでいいのだ」なのだそうです。いや、お恥ずかしい。

「バット・ビューティフル」という曲は、2コーラスで詞も短い。変化に乏しい曲だ。「Love is funny~」という魅力的な出だしが、この曲のポイントになる。モニカ・ルイスの「フールズ・ラッシュ・イン」の一曲目の「バット・ビューティフル」、このアルバムの他の曲に比べ、比較的飾らず歌っているので、この一曲だけ聴いている。このアルバムは、ベツレヘム・レコードのジャケット写真やデザインを手がけていたバート・ゴールドブラットの写真がいい。ジャケ一流、歌二流。はっきり言って歌は好みではない。つくりすぎるからだ。ほら、美空ひばりが、おちゃめな歌のときは、めちゃくちゃ可愛く歌ったり、七色の声をつかうでしょ。ちょっとそんな感じ。過剰だとちょっとひいてしまう。モニカ・ルイスは女優さんなので(ドン・シーゲル監督の「突破口」に出ていたっけ)、歌詞の内容に合わせて演技しているかもしれない。美人シンガーの一人といわれているけれど、同じモニカならモニカ・ベルッチのほうがいいな。はは。

この曲なら、ローズマリー・クルーニーのビング・クロスビーへのトリビュート・アルバム「ロージー・シングズ・ビング」(コンコード盤)の一曲目「バット・ビューティフル」がおすすめ。それにしても、スタン・ゲッツはこんな地味な曲をなんと魅力的な歌にかえてしまうことか。


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トミフラの「レッツ」がすばらしい。

2007年05月17日 | 音楽
 日曜日に大学時代のOB会があった。ビッグバンドジャズのクラブで、創部40周年というわけ。すでに、僕らは黎明期の世代とあって、現役の学生とは隔世の感が強かった。学生バンド事情も大分変わっていて、可愛い女子学生が多いこと、他大学のメンバーもいて、演奏技術は高く、より高度な音楽性を追求しているのだった。でも、われらは昔話で大いに盛り上がり、昼から夜まで飲み続けた一日であった。

 クラブができたのは1966年というから、ビートルズ来日の年。学生運動が次第にエスカレートしていくころ。1967年にはコルトレーンが亡くなる一方で、グループサウンズ・ブーム、新宿にヒッピーがたむろするという時代であった。

 で、1970年代の演奏会のプログラムを見ると、結構サドメルの曲目をやっていて、以前、このブログでも書いた1968年のサドメル来日の話に関して、雑誌「プレイボーイ」のジャズ特集で、ヒノテルが、そのときサド・ジョーンズからオーデションを受けたと話していた。いずれにしろ、この初来日の音源が残っていれば、聴きたいものだ。

 サドメルの初スタジオ録音版「プレゼンティング」(むしろレーベル名のソリッドステイトのほうが目立っていたアルバム)が、いまだCD化されていないのはなぜなのだろうかと何度も疑問を投げかけたい。「ミーン・ホワット・ユー・セイ」「スリー・イン・ワン」など、名曲、名演ぞろいのアルバムだった。

 で、この2曲に「クワイエチュード」が聴けるのが、トミー・フラナガン・トリオによる「レッツ」。トミフラはサド・ジョーンズのデトロイトの後輩で、サドを敬愛しており、「レッツ」はトミフラが1993年に自費制作したサド・ジョーンズ作品集なのだ。この演奏がすばらしい。「ミーン・ホワット・ユー・セイ」は、ウクライナの怪人ピアニスト・シャフラノフもよかったが、トミフラを聴くと、品格が違うかなと思ってしまう。サドメル・ファンの方はぜひ一聴をおすすめします。
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