西武新宿線利用者はよく知っていると思うが、春夏秋冬かわることなくえんじのショールをかけ、斜め左に前かがみになって新宿サブナード地下道を歩くか、うつむきかげんにたたずんでいるおばさんは、それなりに整った身なりをしているのだが、白粉を白く塗った顔に引いた眉がフリーダ・カーロのようにつながっていて異彩を放ち、ときどきはセガフレードでたぶんコーヒーなどをのんでいたり、エスカレーターの上り口にたたずんで、何かに怒りながらつぶやいていて、よく聞いてみると、夫らしき人への不満だったりするのだが、横を通りすぎるやいきなり「だからあんたの足は臭いのよ!」と罵倒されると、自分を非難しているのではないと分かっていても、背中に礫をあてられてようでドキッともしてしまうのに、日に二度三度会うこともあれば、いつもいるところにいなかったりすると、病に伏せているのだろうか、なぜいないのだと、その不在が気になって仕方がなく、それでも翌朝にそのお姿をみとめれば、何か心に平安が訪れるのであって、だが、一度その住処をさぐってみたいという誘惑とどう折り合いをつけようか。
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