晴れときどき風

ノンキな主婦が時に風に吹かれながら送る平凡な毎日。

「終末のフール」 これ、面白い。

2010年01月25日 12時39分27秒 | 趣味
ご存知、伊坂幸太郎さん。

8年後に小惑星が衝突し、地球が滅亡する。
発表直後から人々はパニックに陥る。
逃げ惑う人、自棄になり自殺する人、殺人、強盗、強奪・・・

それから5年経ち、世界は不安を抱え込みながら小康状態を保っている。

本の舞台は、そんな5年後の人々が描かれています。
仙台にある、ヒルズタウンに住む人々の8編。

終末のフール
太陽のシール
篭城のビール
冬眠のガール
鋼鉄のウール
天体のヨール
演劇のオール
深海のポール


これ、めっぽう面白かった。
このパニック後の小康状態っていう設定がすごい。
それぞれに混乱をきたし、嘆いたり、絶望したり、大切なものを失ったりした後の世界。

私みたいにボケボケしてる奴は、とっくに殺されるかなんかして、ここまでは辿り着けなさそう。

必ず3年後にやってくる「死」に対しての「生」。
後書きにも書かれているけど「死神の精度」にも共通しているテーマですね。

どれが一番好きだったかと聞かれると悩むなあ。

「太陽のシール」のあの決断はとても素敵。
「冬眠のガール」の彼女、とても好もしい。
「篭城のビール」は、展開が読めなくて面白かった。
「鋼鉄のウール」の凛とした感じ、魅力的。
「深海のポール」の・・・・・・まずい。ネタばれしそうになった

私だったら、どんな風に生きていくだろう。
ライフラインさえ確保出来れば、今と変わらずいられそうな気がする。
渡部ほどの強い覚悟は持てないだろうけど。
なんて事を考えずにはいられないほどのメッセージ、受け取りました。

この短編、伊坂ワールドらしくリンクしていきます。
「演劇のオール」なんて、この短編の中だけでもリンクリンク。
伊坂さん、うまいなあ。
ますますはまりそうな予感です。