晴れときどき風

ノンキな主婦が時に風に吹かれながら送る平凡な毎日。

「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」 じーんと来ました。

2011年01月14日 11時10分40秒 | 趣味
2011年、読み初めは万城目学さんで。

これ、じーんと来た。いい本

これまでの作者の作品は化け物が出てきたり、
鹿が突然喋ったり、何百年前に滅んでしまったトヨトミ家の子孫を守ったり。
それはそれで大好きな作家だったけど。

これは違う。

平凡な女の子と、人間と犬の言葉が分かるネコのお話。


ネタバレ注意

この二人(?)の視線で描かれていますが、
時にリンクしながらお話は続いていきます。
時間が微妙な感じで前後するのも、それぞれの視線で描かれているからでしょう。

かのこちゃんの毎日は指しゃぶりを止めてから啓かれて、
それから利発になって、
さまざまな事柄に対応してゆく。

ああ、私もこんな時があったなあ・・・と平凡でもじーんとくる感想を抱き、(こんな利発ではなかったけど
すずちゃんが転校してしまう時、転校するほうも辛いんだよ~とすずちゃんの気持ちを考えました。
それでもヤモリに興味を引かれ、遠くに引っ越してしまうすずちゃんの事を束の間忘れてしまうかのこちゃん。
ああ。子供っていいなあ。
そんな感想をこの本の至る所で持ってしまう。

人間と、旦那である犬の言葉が分かるマドレーヌ夫人の話は不思議。
普通は言葉の通じない犬と猫が喋ってる。
具合の悪い旦那の玄三郎の事を心配していたマドレーヌ夫人は、人間に乗りうつることになった時、玄三郎の為に出来る限りの事をやってみる。
私も同じような経験をしたから(玄三郎のほうだけどね)、マドレーヌ夫人にありがたいありがたいと拝んでしまった。

この本、題名から「リハビリのために読むんだから」とたいして期待してなかったけど、
本当にいい本でした。
病気後、初の読書感想文でした。まだ失語症の影響は大きく、うまく伝えられないことを、はがゆく感じています。