今年の芥川賞は大分県佐伯市蒲江町出身の小野正嗣さんという方が受賞された。
同県人として例年以上に芥川賞に関心を持ち、受賞作の『九年前の祈り』を
読んでみたいと思った。
書店に行ってみると店頭の一番目立つところに平積みで小野正嗣さんの単行本が並んでいた。
しかし『九年前の祈り』はそれが置かれていたスペースのみ、はっきり残して本は無し。
いかに多くの人がこの本を買い求めているかが伺えた。
『文芸春秋(三月特別号)』に受賞作が全文掲載されていると聞いて、それを買ってきて読んだ。
普段読書をあまりしない私にとって、その本を読み解くことは難解で
それほど長くない小説なのに、途中、何度も休憩しながら読み上げた。
読み終えてやっと幾分全貌が見え、ふわっとこの作品の良さが分かったような気分になった。
技法や表現力が高度で、作者の意図するものをどのくらい私は理解できただろうかと思う。
芥川賞選考委員の一人である村上龍さんが、近年、芥川賞候補作を読むのが苦痛だ。
魅力的な作品が無いというような趣旨の事を確か昨年も書かれていた気がする。
その村上龍さんが小野正嗣さんの『九年前の祈り』を唯一認めるような選評をされていた。
同県人としてその事を嬉しく思った。
まだまだ私の読解力では読み取れていない部分が多いと思う。
またゆっくり読み返してみたい。