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仏語、英語学習者。アイザック・アシモフのファン。ノース・ホワイトヘッド思想信奉。縄文志向、仏陀志向。

ミーターの大冒険  エピローグ  第19話  ルイス・ピレンヌの銅像の下で

2022-10-02 23:58:54 | ミーターの大冒険
87第19話ルイス・ピレンヌの銅像の下で
ミーターの大冒険 
エピローグ 
第19話 

ルイス・ピレンヌの銅像の下で


あらすじ

 アルカディアが81歳で亡くなった。
 
 ハニスの直感とミーターの柔軟性のある論理思考が冴え渡る。「微細心理歴史学」、「極素輻射体」、「ロボット第零法則」の真実理解までも到達した。後は、オリンサス・ダムの図書館改造とファー・スター号の改造を待つだけ。
 
 ハニスは、いよいよ銀河復興への第一歩が胎動して来たとの予感を感じるのであった。それはドースの盟主の思惑なのであろうか、ハニスに戦慄がはしる。彼は今や、通常人間の世界には許されてない限界点を超えようとしている。
 ハニスは、イオス星でドース・ヴェナビリに会い、続いて、かつて天の川銀河の中央、中心都市、トランターに降り立った。果たして、彼ら(第2ファウンデーション)の感応能力によって、ハニスへの干渉のボーダーラインは、どの地点に設定されたのであろうか?ハニスの記憶はどこまで、どのように保持されるのであろうか?ハニスはアルカディアに続いて、単独人としてのボーダーラインに立っている。
 
 ついにハニスは、第2ファウンデーションの第一発言者に会った。壮大な宇宙史が解き明かされて圧倒される。そこでハニスの探索は終わる。暗示されていた「反ミュール」には遭遇能わず。しかしハニスはこの成功をミーターへの土産としてターミナスに凱旋した。
 ジスカルド・レベントルフ、ダニール・オリヴォー、そしてミーター・マロウ(ダレル)。第零の法則を遵守するロボットたちの活躍を思って、ハニスは、自分の命を、ミーターに捧げる決意をする。それは、第零の法則を信奉する人間を造り出す道に進むことだと悟ったのである。人間が、新しい銀河をつくらねばならないからである。ミーターは、そのハニスの志しを心からありたがるのであった。
 ハニスは第2ファウンデーションが「反ミュール」との共鳴を受容しつつ、銀河の再興の時を予見しているのを確認して来た。あとの課題は、第一ファウンデーション(ターミナス)の方向性だけだ。
 ハニスは政治家を目指す。しかし、これが熾烈な難問になる。政府当局が彼ら3人組に気がつきはじめて来たからだ。
 ハニスが主導する「銀河再生党」はハーラ・ブラノ率いる「ターミナス第一」に惨敗した。ミーターとアルカディアを模したチクタク(単純型ロボット)を駆使して、アルカディアの人気を裏手に使った。
 そこでハニスはミーターからの進言で、イフニアへの遷都案を決意するが、...
 一方、オリンサス・ダムは、持病の心臓病が悪化する。3人組の運命や如何に?

87
(全文 オリンサス・ダムのコンパーを通してのハニス、ミーターへの走り書き)

 ハニス君、残念ながら、私個人では銀河百科辞典編纂図書館のイルミネーショナー化の完成は、諦めらめるしかなくなったようだ。
 昨日持病の心臓発作が悪化した。薬は、もう効かなくなってる。すまんが、アルカディアやミーターとの約束も果たせないようだ。この前の選挙で、「ターミナス第一」の圧勝のせいで、それまで一般図書館利用者を装って、内部システムの改善作業を続けて来たが、それが急に頓挫してしまった。当局の知られるところとなってしまったのだよ。とくに市長の側近のリオノ・コデルは私をアルカディアの身内であると見破ったんだ。当然の如く、彼らの反抗分子は、駆逐される。
 ところが、幸いにも、君も知っている、あのルイス・コンパーの息子が辞典広場のルイス・ピレンヌ博士の銅像の下で倒れていた私を拾いあげて救ってくれた。
 彼は銀河の遥か反対側から最近やって来て、ターミナスとの同盟関係のつてを使って、図書館員として採用されたらしい。
 ところが私の感じでは、彼には妙な一般人にない特殊な能力があって、回りの人たちをコントロールする力があるみたいなんだよ。
 その彼に、私の代わりに、その仕事を完成してもらいたいと申し出たら、驚くことに彼は難なくそれを快諾してくれたのだよ。奇妙な出来事のようにも思うのだがね。
 この手紙が君に届く頃には、もう私はこの地上では息をしていないと思うが、少しだけ、彼の話が、驚きであった理由を君に伝えたいと思うのだが、おそらく直接話が出来ないことを残念に思う。

https://youtu.be/lvwVpe2NGd8

Joaquim António de Aguiar(1792~1874 ポルトガル コインブラ)の像
本文のルイス・ピレンヌのように見えたので、借用させて頂きました。


Open my heart, close your eyes !

2022-10-01 10:36:40 | 大切なもの
開くも自由 閉じるも自在
絢爛豪華な平安時代 興したのは菅原道真 遣唐使をやめたから
今では冠たる江戸文化 鎖国の制度が今では皮肉にも世界の憧れ

開いたら電光石火高杉晋作 明治革命の風雲児
閉じたら永平寺の道元禅師 只管打座

扇子 縮んだ究極の風力発電
微小なナノロボット 血管の中での大掃除
世界最大の野辺山の電波天文台
宇宙のシグナルを捉えよ
世界最大のお墓 百舌鳥古市古墳群
過去と未来を繋いで今を生きよ

心を開いて聴けよ 宇宙の美と神秘の調
目を閉じて想え 人の心の優しさとやすらぎの綾

迎え入れよ 地球の響きと囁きとを
出て行けよ 雄々しく垣根を超えて

https://youtu.be/AYgHzZQMzhQ

yatcha john s. 「Open my heart close your eyes 」


ミーターの大冒険  エピローグ  第18話   首都移転の策

2022-09-29 21:05:53 | ミーターの大冒険
86第18話首都移転の策
ミーターの大冒険 
エピローグ 
第18話
 
首都移転の策

あらすじ

 アルカディアが81歳で亡くなった。
 
 ハニスの直感とミーターの柔軟性のある論理思考が冴え渡る。「心理歴史学」の権威のハリ・セルダンを唸らせた、地球探査の報告書を携え戻ったガール・ドーニックの真実発見とはなんだったのか?「微細心理歴史学」という真理なのか?ベイタ・ダレルが、ガールの見解を正確に踏襲していた、ということなのか?ミュールの必然性とは?ますます展開が際立って来たようだ。
 そしてその究極的謎の究明には、「極素輻射体」、「ロボット第零法則」の理解までも到達した。
 
 ハニスは、いよいよ銀河復興への第一歩が胎動して来たとの予感を感じるのであった。それはドースの盟主の思惑なのであろうか、ハニスに戦慄がはしる。彼は今や、通常人間の世界には許されてない限界点を超えようとしている。
 ハニスは、イオス星でドース・ヴェナビリに会い、続いて、かつて天の川銀河の中央、中心都市、トランターに降り立った。果たして、彼ら(第2ファウンデーション)の感応能力によって、ハニスへの干渉のボーダーラインは、どの地点に設定されたのであろうか?ハニスの記憶はどこまで、どのように保持されるのであろうか?ハニスはアルカディアに続いて、単独人としてのボーダーラインに立っている。
 
 ついにハニスは、第2ファウンデーションの第一発言者に会った。壮大な宇宙史が解き明かされて圧倒される。そこでハニスの探索は終わる。暗示されていた「反ミュール」には遭遇能わず。しかしハニスはこの成功をミーターへの土産としてターミナスに凱旋した。
 ジスカルド・レベントルフ、ダニール・オリヴォー、そしてミーター・マロウ(ダレル)。第零の法則を遵守するロボットたちの活躍を思って、ハニスは、自分の命を、ミーターに捧げる決意をする。それは、第零の法則を信奉する人間を造り出す道に進むことだと悟ったのである。人間が、新しい銀河をつくらねばならないからである。ミーターは、そのハニスの志しを心からありたがるのであった。
 ハニスは第2ファウンデーションが「反ミュール」との共鳴を受容しつつ、銀河の再興の時を予見しているのを確認して来た。あとの課題は、第一ファウンデーション(ターミナス)の方向性だけだ。
 ハニスは政治家を目指す。しかし、これが熾烈な難問になる。政府当局が彼ら3人組に気がつきはじめて来たからだ。

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ミーター ハニスさん、当選三回目、おめでとうございます!でもだいぶ浮かない顔ですね。
 
ハニス ミーター君、実は喜んではいられない状況なんだよ。我が「銀河再生党」は惨敗した。残るは俺を含めて三人になってしまった。相手の「ターミナス第一」は九割取った。
 俺らが望んだ、銀河復興は頓挫したも同然だ。くやしい限りだ。第二ファンデーションやドースさんには顔向けができない。
 あの鉄面ハーラ・ブラノは恐るべき女傑だ。油断できない。もう少しで第二ファンデーションとの連携が成功しようとした矢先だったというのにな。
 
ハニス 実はハニスさん、あなたがイフニアに遊説中、彼女が突然、ここを訪れて、気色悪く、僕を観察したんです。僕のこと、チクタクとか呼んでいました。僕は「僕にもちゃんと名前がありますよ。R・ミーター・ダリル(マロウ)って言うんです」と返してあげました。

 道理で。彼女はそれ以来、新な戦略で彼女の党を有利にしたんだ。アルカディアさんに似せたチクタクを二万体もターミナス全土の路上に行進させ、あたかも彼女がアルカディアの威光の代理人だと言うように。卑怯な手を使いやがる。
 その実、アルカディアとは真反対な権威主義で独裁者であるにもな。

 銀河復興の担い手の第一ファンデーションがこの様(ざま)では、我らの念願はハッキリ頓挫したというものだ。
 彼女の政策は銀河全域への援助中止ときている。嘆かわしい限りだ。
 ミーター君、彼女をひっくり返す妙案はないのだろうか?

ミーター ハニスさん、そんなに弱気でどうしたんですか。
 う~、妙案ですか?
 え~と、ですね。
 例えば、トランター帝国が衰退したあとは、銀河の中心はネオ・トランターに移り、そのまた後は、カルガンに移りました。そんな具合で、「首都移転」なんてどうでしょう!

ハニス う~、妙案かもしれない。モーブでは銀河の端過ぎる。もっと銀河中央に位置するイフニア星がいいか。俺の勝手知ってる世界だからな。
 ミーター君のアイデア、頂こうとするか。
 これで挽回できるかもな。

イフニアの三連太陽 想像図

#ジスカルド・ハニス♯ミーター・マロウ(ダレル) #自由銀河党♯ターミナス第一♯ハーラ・ブラノ♯チクタク♯イフニア♯ネオ・トランター


2022/09/28ミーターの大冒険  エピローグ  第17話  ハニスの弱点か?

2022-09-28 20:32:18 | ミーターの大冒険
85第17話ハニスの弱点か?
ミーターの大冒険 
エピローグ 
第17話 

ハニスの弱点か?

あらすじ

 アルカディアが81歳で亡くなった。
 
 ハニスの直感とミーターの柔軟性のある論理思考が冴え渡る。「心理歴史学」の権威のハリ・セルダンを唸らせた、地球探査の報告書を携え戻ったガールの真実発見とはなんだったのか?「微細心理歴史学」という真理なのか?ベイタ・ダレルが、ガールの見解を正確に踏襲していた、ということなのか?ミュールの必然性とは?ますます展開が際立って来たようだ。
 そしてその究極的謎の究明には、「極素輻射体」、「ロボット第零法則」の理解までも到達した。
 
 ハニスは、いよいよ銀河復興への第一歩が胎動して来たとの予感を感じるのであった。それはドースの盟主の思惑なのであろうか、ハニスに戦慄がはしる。彼は今や、通常人間の世界には許されてない限界点を超えようとしている。
 ハニスは、イオス星でドース・ヴェナビリに会い、続いて、かつて天の川銀河の中央、中心都市、トランターに降り立った。果たして、彼らの感応能力によって、ハニスへの干渉のボーダーラインは、どの地点に設定されたのであろうか?ハニスの記憶はどこまで、どのように保持されるのであろうか?ハニスはアルカディアに続いて、単独人としてのボーダーラインに立っている。
 
 ついにハニスは、第2ファウンデーションの第一発言者に会った。壮大な宇宙史が解き明かされて圧倒される。そこでハニスの探索は終わる。暗示されていた「反ミュール」には遭遇能わず。しかしハニスはこの成功をミーターへの土産としてターミナスに凱旋した。
 ジスカルド・レベントルフ、ダニール・オリヴォー、そしてミーター・マロウ。第零の法則を遵守するロボットたちの活躍を思って、ハニスは、自分の命を、ミーターに捧げる決意をする。それは、第零の法則を信奉する人間を造り出す道に進むことだと悟ったのである。人間が、新しい銀河をつくらねばならないからである。ミーターは、そのハニスの志しを心からありたがるのであった。

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ハニス ミーター君、そこが重要だと、思うよ。俺は、その政治能力の限界を感じるんだよ。情報収集にかけてはターミナス一を自負するんだがなぁ!アルカディアさんのようには、うまく振る舞えない。なんたって彼女は政府から絶大な信頼を寄せられていたからなあ。それなのに、あの時の全権大使以外、政府の要職にはついてない。ここだけの話し、彼女はあのプリーム・パルヴァーの孫であったのにもかかわらず、一切、最後までその秘密を公には出してない。なんたるご人格なんだ。感服しっぱなしだ。

ミーター ハニスさん。それについてはですね、彼女の秘密というものがあるんです。やはり「ベイタ文書」のサルヴァー・ハーディンの項を熟知していました。ハーディンの能力の秘密は、なんと言っても、人間社会と未来を透視する目だったと、僕に教えてくれていました。つまり相手の弱点を利用するという技法。
ハーディンは、第二ファウンデーションのこと、銀河トランター帝国の歴史、ハリ・セルダンの「心理歴史学」をよく理解していたにもかかわらず、一切口外しませんでした。
それと「孫子」という兵学、「呉越同舟」とかいう物語まで知ってたと語ってくれました。

ハニス ミーター君。そのことは聞いている。ガール・ドーニックの奥さんのベリスさんは、おとなしい方で、穏やかな反面、隣の子であるサルヴァーを大事にして、兵法を伝授してたなんて、驚きを通り越している。
その極意とやらを俺はマスターできるだろうか?

Photo サルヴァー・ハーディン


2022/09/28ミーターの大冒険  第七部  太陽系  第3話  仏陀の悟り

2022-09-28 19:50:44 | ミーターの大冒険
165第3話仏陀の悟り
ミーターの大冒険 
第七部 
太陽系
第3話 

仏陀の悟り


あらすじ

 ファウンデーション暦492年、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はアルファ星から出発して太陽系に入った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウの主人アルカディアの志しを携えて、アルカディアのなし得なかった志しの実現の領域に確実に入ろうとしていた。

 はたして地球の放射能汚染を駆除することができるのか?

 
 ミーターは、太陽系と地球についての最終的情報を得ようとしてアルファに降りることにした。
 その前にメルポメニアで入手した図書館の蔵書に記されていた地球と地球人類、そしてアルファの住民の起源の土地、ニフについての恐怖の出来事について驚嘆する。

 その古文書のなかに、メルポメニアの滅亡寸前に記されたであろう『スペーサーとアルファ』なる書物をミーターは、イルミナに提示し、その概略の説明をさせる。

 ニフの起源と核戦争の事実であった。

 イルミナはまたニフ人が二種類いることを語る。

 ニフ人たちは、核融合という理想のエネルギーを人類に提供するものの、謙譲の美を進んで実行し、祖先がそうであったように、移動の民に目覚め、密かに宇宙に出て行った。
 彼らは後にシンナックス人として知られるようになる。それは、ナックの思想に同調していたニフ人以外にも地球全土に人種を越えて散らばっていったからである。

 残ったニフ人たちは、地球各地で放射能に汚染された環境浄化をしつつ、最後まで地球を守り続けた。が、最終的には地球を手放さなくてはならなかった。そして彼らはテラフォーミングを必要としていたアルファに移住した。

 イルミナは、銀河の歴史的収束点前後の大事件について繙(ひもと)く。

 それは、ケルドン・アマディロ博士の「核反応増強装置」による「地球放射能汚染計画」であった。

 アマディロは、イライジャ・ベイリーとハン・ファストルフ博士への恨み骨髄に達するほどに執念を燃やし、ついに復讐の刃を地球人撲滅という悲惨で残酷なシナリオを完成させようとしていた。

 ついに太陽系の入り口にたどり着いた。人類の母なる太陽系。そして夢の地球。

 ミーターは、ロボットには病原菌は感染しないことを承知のうえで、万全の防備態勢でアルファに降り立った。そこには一人の少女が待ち受けていた。

 ミーターは、まずこの少女が語る彼らの星の名称がメルポメニアで入手したデータと食い違っていることに驚嘆する。

 さらにミーターはアルファ人の特異性について知らされる。

 そしていよいよ待望した太陽系に突入して行く。
 

165

イルミナ それにしてもスペーサーのオーロラのアマディロたちは地球を滅亡させ、今度はメルポメイア人たちが地球の移民のアルファ人たちを殲滅しようとして、失敗しているんですね。

ミーター 失敗した理由の最たるものは、ハッキリしている。一回目も実はアマディロの陰謀を見破っていたにもかかわらず人類が強く銀河に展開するのに故郷喪失という代価を支払う必要がある、とのジスカルドの第零の法則による切羽詰まった計らいであったんだ。
 でも、二回目は、それを敢えて許さなかった。セッツラーの冒険心に地球人類の将来を賭けたんだ。ダニールはスペーサー文明の衰退、いや歪みを決して見過ごしにはしなかった。スペーサーがいずれ滅ぶ運命であると達観していた。

イルミナ そういうことね。それにしても、第零の法則は、地球文明の曙時代のある布教者の教えに似ていますね。

ミーター それって誰だっけ?

イルミナ 地球太古のテンジクのシッダールタ、とかいった人物よ。「汝、執着するなかれ!」っていう、あれよ。

ミーター なるほどね、地球人は、地球に執着した。スペーサーはスペーサー・ワールドに執着した。
 今度は銀河帝国は銀河に執着した。だから滅んたんだ。

イルミナ 深い真理ですね!
 じゃあ、それが真理でしたら、地球の汚染も、銀河の復興も、そのままにしておいた方がいいのではないんのでしょうか?

ミーター 本当だ。おまえの言うのが正しいのかも知れない。
 う~。深い。悩むなあ。折角、太陽系の入り口に来たというのに、断念することが正しいのか?

イルミナ ごめんなさい。要らぬことしゃべっちゃいました。わたしとしたことが...
 また軽はずみでした。取り返しがつかないわ。

ミーター いいや、おまえの言ったことは実に意味深い。それでこそファウンデーションの図書館の存在意義だ。かえってお礼を言いたいくらいだ。
 恐れ入った!
 それに、地球復興と銀河復興もアルカディアの悲願であるからと言って、そう単純に「はい、そうですか」と言っておめおめと従うというのも皮相的判断だ。
 この考えは、今までの努力と俺の仲間たちの願いと言えども、それを引き換えにしても、根本から考え直す意味があると思う。実に大事で究極的チャレンジだ。
 イルミナ、おまえだったらどうする?

イルミナ やっぱりふってきましたね。 
 
 どうでしょう、地球まで行ってからでも遅くはないと思いますけど。不死さんにお会いしてからでも遅くはないと思いますけど。

ミーター うむ!

 それから、ここアルファの空間座標の位置なんだが、メルポメイアで入手した宇宙立体図表を頼ってここまでやって来たんだけどな。

イルミナ なんですか?

ミーター メルポメイア人がアルファに破滅兵器を投下するにはだいぶ不利な位置にアルファはある。
 太陽系からみると、アルファはどちらかというとメルポメイアの反対側に近い。

イルミナ じゃあ、わたしたち、遠回りして来たっていうことになっちゃったていうのね。

ミーター そうなんだ、でもこれが不幸中の幸いになった。

イルミナ どういうこと?

ミーター 座標の誤差を船のコンピューターが計算して、太陽系の正確な位置を明示してくれた。
 それから、もう一つのこともわかった。
 
 スペーサーたちの50の惑星群の座標をみると、太陽系を包んでいるような配置なんだ。
 ところが、ここアルファから銀河深遠部に向かって極めて狭い抜け道っていうか、ここだけがポカンと開いてた。ここから抜け道ハイウェイがひらかれている。

イルミナ ということは、のちにセッツラーが銀河に向かって拡散していった中継地が、ここアルファっていうことね。
 このルートを設定したのは、ダニールさんっていうのね。ダニールさん、凄いわ。
 それでかえって太陽系の位置がわかったっていうのね!