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仏語、英語学習者。アイザック・アシモフのファン。ノース・ホワイトヘッド思想信奉。縄文志向、仏陀志向。

ファウンデーションの夢 第八部 アルカディアの遺言 第10話 甦りの水

2022-09-06 20:59:12 | ミーターの大冒険
67第10話甦りの水
ファウンデーションの夢
第八部 
アルカディアの遺言 
第10話 

りの



あらすじ

「ファウンデーションの夢」の最終部になります。次作「ミーターの大冒険」を橋渡しする部分になる。
 アルカディアは81歳で天寿を全うしようとしていた。暦はターミナス443年。
 アルカディア農園はほぼラヴェンダーの畑。第二期のポエニッツ仕様のラヴェンダーのエキスがもうひとつの主役。
 アルカディアは全身全霊をかけて14歳から共に歩んできたミーター(ミーター・マロウ アルカディアの命名でダレル家が名門マロウに繋がることを重んじたから。)に訥々と遺言を語る。
 ハリ・セルダンとガール・ドーニックによって導かれた銀河復興の希望をミーターに賭けるアルカディアの切実さと真摯さとが最後の息までもその輝きがラヴェンダー畑に染み渡る。

 彼女はまず、「反ミュール」の現象から話しはじめる。

 そしてアルカディアは銀河の歴史に何度も人類を脅かした政治体制の全体主義の恐怖に話しを移す。銀河の暗黒と混沌の原因もこの全体主義が元凶であり、銀河復興はこれからの解放をも意味していることをつまびらかにする。

 アルカディアは尚も気丈夫に最後の気力を振り絞って宇宙最大の謎について語る。それはアタカナ(地球)の悲惨さ状況についてであり、放射能の悲惨さについてであった。
 
 かつてダニールは、ジャーナリスト、チェッター・ヒューミンと名乗って、ハリ・セルダンに接近し、彼の第零の法則に沿って、ハリを誘導した、またハリの盟友、ユーゴ・アマリルの亡きあと、ハリを助ける人材ともう一つの補助手段を構築するために、シンナックス星で若きガール・ドーニックを見いだした。ガールは彼の生涯かけて、この二つの課題を完全に成し遂げ、なおかつ地球復興と銀河復興の糸口を500年後のために用意した。

 アルカディアのとくとくとミーターに語る語り口は、まるでガールの魂が、彼女をして語らせているようであった。




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アルカディア 私の家系はね、代々の女性たちを通してこの紫色の液体の入ったシリンダーを伝えてきたのよ。
 透明(外は白)のシリンダーはお母様(トランター)からのもの。トランターの初代のウォンダさんには娘さんがいなかったので、ウォンダさんが亡くなる前に直接、妹のベリスの娘ドース( R・ドース・ヴェナビリとは別人)に渡されたの。そして、そのシリンダーは、私の先祖ジータさんが、またトランターのウォンダ・ジータさんに返したの。それから何代かは、お母様にまで伝わって、今、私が二つ、持っているということです。
 このシリンダーを持つべき人があなたの前に現れるわ。その場面を想像するだけでワクワクするの。

ミーター アルカディー、言っとくけど、僕の頭脳は明晰だけど、めっぽう込み入ってるんだなあ!

アルカディア ミーター、いいわね、そして、私がまた見たことのない黄色い液体のシリンダーがあるはずなの。あなたはそれを持ってる女性にきっと会えるわ!

 三色のペンダントはね!甦りのシンボルなの。混沌と衰退からの復興のしるし。

 ウォンダが「ふるさとの星」のある島から湧き出す、泉の水から採られた「甦りの水」ですからね!ふるさとの星も自浄作用で、完全に汚染から復興することを願ってるっていう証拠よ。その時、ウォンダはその「ふるさとの星」さんの涙を感じたんだわ。そして心を通じあわせたんだわ、きっと。

https://youtu.be/D5KulDGThJw

yatcha john s. 「甦りの水 」


Another Sky

2022-09-06 05:58:35 | 壮大な宇宙史
舷梯が遥か雲間からユックリ僕の足下に降りてくる
これはあまりにもリアルな錯覚
今まで僕を見守ってくれていた
何か大きな力が僕を迎えに来る

この度の長い間の世界との断絶は
人の隔てをつくり
人の絆の意味を深く教えてくれた

希望と感傷の綯(ない)交ぜあう雲間から萌(きざ)しが湧く

僕らがボーディング・ブリッジを通過する瞬間に音楽が心に染み込んで絶句するように
出会いも別れも
新しい自分に会うための旅立ちも
或いは自分を待ち焦がれる肉親が待つ家に帰る日も

困難を乗り越えて
必ず再会する日はくるでしょう

何故か今日のこの場所は
何処かに飛んで行きたい
或いは共時的に何故か遙々遠くから戻ってきたような
共振共鳴の音楽に充たされて
涙が止まらないのです

“ It's wonderful. Farewell and Encounter at the airport, and there are really various life scenes such as day to go to a new world and day to go home, but I wonder if every scene fits perfectly.”
(ユーチューブからの引用 : 名文ですね。)

https://youtu.be/JsQVSBfqa8M

yatcha john s. 「 another sky 」


ファウンデーションの夢  第八部  アルカディアの遺言 第9話 新シャローック・ホームズ

2022-09-06 05:55:52 | ファウンデーションの夢
66第9話ミーター、新シャローック・ホームズ
ファウンデーションの夢
第八部
アルカディアの遺言
第9話

新シャローック・ホームズ

あらすじ

 「ファウンデーションの夢」の最終部になります。次作「ミーターの大冒険」を橋渡しする部分になる。
 アルカディアは81歳で天寿を全うしようとしていた。暦はターミナス443年。
 アルカディア農園はほぼラヴェンダーの畑。第二期のポエニッツ仕様のラヴェンダーのエキスがもうひとつの主役。
 アルカディアは全身全霊をかけて14歳から共に歩んできたミーター(ミーター・マロウ アルカディアの命名でダレル家が名門マロウに繋がることを重んじたから。)に訥々と遺言を語る。
 ハリ・セルダンとガール・ドーニックによって導かれた銀河復興の希望をミーターに賭けるアルカディアの切実さと真摯さとが最後の息までもその輝きがラヴェンダー畑に染み渡る。

 彼女はまず、「反ミュール」の現象から話しはじめる。

 そしてアルカディアは銀河の歴史に何度も人類を脅かした政治体制の全体主義の恐怖に話しを移す。銀河の暗黒と混沌の原因もこの全体主義が元凶であり、銀河復興はこれからの解放をも意味していることをつまびらかにする。

 アルカディアは尚も気丈夫に最後の気力を振り絞って宇宙最大の謎について語る。それはアタカナ(地球)の悲惨さ状況についてであり、放射能の悲惨さについてであった。
 
 かつてダニールは、ジャーナリスト、チェッター・ヒューミンと名乗って、ハリ・セルダンに接近し、彼の第零の法則に沿って、ハリを誘導した、またハリの盟友、ユーゴ・アマリルの亡きあと、ハリを助ける人材ともう一つの補助手段を構築するために、シンナックス星で若きガール・ドーニックを見いだした。ガールは彼の生涯かけて、この二つの課題を完全に成し遂げ、なおかつ地球復興と銀河復興の糸口を500年後のために用意した。

 アルカディアのとくとくとミーターに語る語り口は、まるでガールの魂が、彼女をして語らせているようであった。

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アルカディア 実はね、ミーター。あなたに預かってもらいたいものがあるのよ。
 二つのシリンダーペンダントよ。先祖のウォンダさんとベリスさんから350年以上にも亘って我が家の代々の女たちに大事に伝えられて来たものよ。
 私の大事な先祖様とお話できる魔法の宝石よ。どんな時でも、どうしたらいいか、どう考えたらいいか、迷った時は、このペンダントに語りかけてきたの。そしていつも最善の道を見つけ出してくれたんですから。

ミーター 何言ってんだい。僕は枯れても男だ。そんなこと簡単に承知できるわけないだろう!

アルカディア いいわね、ミーター。ある時期までよ。それを受けとる女性が現れるまでよ。

ミーター アルカディー。いつ?
 誰に?
 どうやって?

アルカディア よ~く聞いて。その時がくれば、自然とわかるわ。心配しないで!

ミーター と言われても、そのペンダントやらシリンダーやらが何なのか?
 どういういきさつで、アルカディアに伝わり、どういう品物か、教えてくれたら、考えてもいいかもね。
 こう見えても俺には俺の流儀っていうか、ロボットとしての誇りがあるっていうもんだ。

アルカディア わかったわ、ミーター、もう一人立ちできる銀河の英雄になってきたみたいねぇ!

ミーター えっへん。ダレル家の新ホームズ、ミーターっていうのは俺のことだわ!

yatcha john s. 『ミーター・新シャーロック・ホームズ』「ファウンデーションの夢」エピローグその9