あらすじ
ミーターの体は4年間で完全に復旧し、無事に同じく修理されたファー・スター2世号に戻された。
イルミナは当然無事だった。彼女の本体は、ターミナスの帝国辞書編纂図書館の地下からのコントロールなので、受動機さえあれば、どこにでも移送されるからだ。
イルミナはミーターが時々白昼夢を見、独り言を喋り出す癖を発見する。ミーターの体の全体がまるでアルカディアの思い出で満たされているように。イルミナはミーターの白昼夢の内容を知っているにもかかわらず敢えて尋ねるのであった。
思い出の一つは、その時が必ず来る事を50年も待っていたアルカディアのある晩のことであった。
アルカディアとペレアス・アンソーアの再会の出来事であった。
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イルミナ ミーター、教えてくれない。たまにあなた、ニヤニヤして、思い出しているようで、そうやってボオッとしてることが多いわね。ちゃんとその理由はわかってますけどね。取りあえず、聞いてみようとして。
わたし、こう見えても心理スキャン備え付け最新鋭イルミネショナーですから、あなた、顔がなくても、ちゃんとわかるんですからね。
ミーター 何が最新鋭だって? 4年前のあの事件じゃ、こっちはもう停止寸前だったんたぜ。お陰で熱いお湯に浸かったり、こんな時間の無駄になってるんだ!
イルミナ あれは、しょうがなかったのよ。あれは宇宙潮流のデータがターミナスのデータではもう古くなっていたのよ。今ではシウェナや、カルガンの航宙技術の方が進んでいるんですから。あっ、いけない。またカルガンって口走ってしまったわ。ミーター!ミーター!また思い出しているのね。やっぱりアルカディアのことねぇ!
(ここから長いミーターの記憶中の白昼夢が入ります。)
「ミーター、今日のちょうど50年前の夜から初まったのよね! ちょうど今日よね! 行くわね! 『追憶の鍵を開けて』の続編やっと書けるわ。何しろ今まで公務で必死だったんですから。ベイタおばあちゃんのカルガンの話から100年目ですよね!
トントントン。
なによ、ミーター、聞いているの?」
「ミーター アルカディアお嬢様、ちゃんと聞いてますよ。
お嬢様、窓に何か当たったみたいですよ。
どうしたんですか?お嬢様、突然階段から降りて行って。危ないですよ、もう歳なんですから。」
アルカディア「アンソーアさん。そうだと思った。ちゃんと一階の玄関の鍵を開けたわ。ようこそ我が家へ。今はこの家、ミーターと二人だけですけど。お入りになって。アンソーア。二階の窓に木枝を当てたのがあなただってすぐわかったわ。あなたも大事な公務を終えたのですね。
お入りになる前に、あなたがターミナスの人間かどうか、確かめられたら、どうぞお入りになって。」
アンソーア 「アルカディア、久しぶり!
歌えるよ。あれから毎日、『我らは銀河の子』の練習は、欠かさなかったからね。
ニュートンから歩いて来たんだ。途中、夕方からずっと以前のお宅のラベンダー畑にいたんだ。あの薫りで、もう一度昔の僕に戻れたような気分だよ。
今回はちゃんと一階の玄関からお邪魔しましたよ。玄関の鍵を開けてくれてありがとう、アルカディア!」(白昼夢中断)
イルミナ ねぇ、ミーター! 寝ているような、泣いてるような!
ミーター イルミナ、もし僕が人間だったら「泣いている」と思うよ。
ところで、あの奇跡のベイタさんの思い出のカルガンまで、どこくらいだい。
アルカディアの遺言の一つなんだからね。
yatcha john s.
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