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「この本で私が述べることは真実であることには違わないが、もう一人の友人であるチャッター・ヒューミンそして最愛の私の妻、との関係については知らないことも多いし、述べられないこともあることを、読者には前もってお断りしておかなければならない。そして、彼らが出発したあと、孫娘ウォンダだけが残った。残ってくれた理由というのは、残念ではあるが、今はふせて置くべきであろう。」(『ハリ・セルダンの生涯』ガール・ドーニック著)
私が言った通りになっただろう、ドーニック君。
はい。助かりました。でもなぜこのような事態を起こさなければならなかったのですか?
私がこの心理歴史学を完成させたのは銀河帝国が徐々に衰退に向かい、その後3万年に亘って暗黒時代に入る、それを千年(後にガールは500年に縮められる可能性を示唆か?)に縮めることが狙いなのだ。
その実現には、君らは、このストリーリング大学から出ねばならない。この校内の施設は仮の集合場所にしか過ぎない。ここよりはるかにもっと広い、もっと大きい施設が必要なのだよ。
そしてもう一つの ...( 声が小さくなり、低くなり、ガールには届かなかったが、ずっとあとになってガールはセルダン博士のその時の呟きを不思議に思い出し、その意味を知ることになる。)
チンは君らを近いうちにそこへ抛出する。既に行くべき場所も調べてある。
えっ!教授。その場所というのが紫の薫りの惑星ターミナスなのですね!
博士、今、なんとおっしゃいましたか?
「私たちと言わないで、君ら」とおっしゃいましたね?
もしかしたら、あなたは行かないと言う意味ですね?そしてここトランターに残るのですね!
察しがいいね。ドーニック君。私の睨んだ通りに君は優秀だ。私についてはここに残らなけれならない。
だが、君がターミナスに到着する前に、もうひとつやってもらいことがある。ヒューミンのたっての願いなのだ!目が覚めたあとでね!
もうひとつの任務ですって?
そうだ。君にはもう一つの任務に就いてもらう。君だけしかできない任務だ。君の独自な心理歴史学と証古学の応用がもとめられる。
心配することはない。君にふさわしい航宙船と優秀な助手をつける。
やれやれ、ここトランターに着いたばかりというのに、今度も銀河横断の旅らしいですね!
君には、言わば蝶番の役割を果たしてもらうために最高度に必要な任務になる!
「目が覚める!?』『最高度!?』
yatcha john s. 「 目覚めたあと? 」
『Foundation の夢』第二部その3
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