東京の田舎から

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法的根拠が疑われる東京都の緊急事態宣言発出

2021-04-25 13:02:58 | 時事問題

 大阪が緊急事態宣言の国への要請と発出は、感染者数の増大と病床の逼迫という観点からは納得できるものである。しかし、東京都の緊急事態宣言の国への要請と発出は、大阪での感染者の増加に悪乗りしているとしか思えない。

 筆者は、4月25日~5月11日までの、東京都の緊急事態宣言について、東京都から国への要請と、それに応じた発出に「あれ!?」、「何で??」と、疑問を持った。

その理由は、東京都が発表している、次のグラフを見てもらえば判る。

 このグラフからは、今、特段に「重症」患者数が増加して、医療崩壊に向かっていて、緊急事態宣言を「発出せざるを得ない状況にある」とは読み取れない。それなのに、前回の緊急事態宣言よりも強力な「要請」というコトバの「強制」を行うとのこと。これは変である。何か別の理由があるのではないか? との疑いを持たざるを得ない。例えば、小池東京都知事は、今までも、東京都の費用で、「コロナ対策だ」として都知事選挙用の宣伝とも取れるテレビ広告やインターネットでの広告を流し、選挙のための運動とも受け取れることをしていた。その例に倣えば、コロナ禍の騒ぎを「都議会議員選挙まで引き延ばそうとしている」、もしくは、「オリンピックまで引き延ばし」するなどして、「政治的に利用しようとしている」のではないか? と考えてしまうのである。

 このような疑問を持ちつつ、今回の緊急事態宣言で実施する「制限」を見てみると、

  • 酒、カラオケ設備を提供する飲食店は休業要請
  • 酒を提供しない飲食店は午後8時まで営業の時短要請
  • 床面積の合計1000㎡超の大型商業施設のうち、生活必需品の売り場部分を除いて休業要請
  • イベントは無観客開催への協力要請
  • 交通機関は平日の終電繰り上げと週末・休日の減便協力依頼
  • 不要不急の外出と移動の自粛。都道府県をまたぐ不要不急の移動は控える

 そして、全面的に実施した店舗には1日当たり4万円~最大20万円の支給をするとのこと。

 しかし、これらの施策に対する、「要請」というコトバの「強制」は、甚だしく非科学的である。

 即ち、これも東京都が発表している感染源との大きな齟齬がある。これを下の図表に示す。

 この表の左側の感染源を見れば、主たる感染源・50%強は「家庭」である。次いで、施設である。この施設とは、表の注釈にあるように、「老人介護施設」、「学校」、「医療機関」である。そして、「職場」がほぼ同率である。以前から都知事から意地悪とも思える程に「狙い撃ち」にされている、「会食」は全体の10%程度であり、そして、同じく都知事から、諸悪の根源の如くに報じられている「接待を伴う飲食」は、0.3~0.6%であり、この表では見えない程の少なさである。

 このようなデータを無視して、今回は百貨店までが休業要請である。百貨店は、今まで大規模感染を引き起こしていない。また、取引業者も多岐に渡り、その影響は甚大であろう。休業して補償金、20万円は”雀の涙”にも満たない少ない金額であろう。

 そして、交通機関の減便要請である。交通機関、特に電車は、毎日、同じ時刻に運行している。そのためには、事前に、綿密に運行計画を作成しておく必要があり、運行しない分を走らせないで済むという簡単なものではない。簡単には運行本数を増減はできない。結局、乗客を乗せないで、いつもの通りに運行することになるのであろう。しかも、減便すれば、都知事サンが「避けましょう」と言う、「三密」になる。感染機会の減少という観点からは、かえつてよくない。減便の必要性はない筈である。ところで、電車の混雑は相変わらずである。ここで感染が拡大している可能性は論じられないが、大声で喋っている輩もいるところ、感染を拡大させていない筈はない。

 なお、主として、若い人の「路上飲み」は公道であれば、緊急事態宣言の有無に拘わらず、道路交通法違反であり、禁止するのは当然である。

 

 ところで、これらの要請は「法律に基づいて」と書かれている。しかし、東京都の緊急事態宣言の要請と、これを受けての、国からの発出は、東京都の場合、法律に基づいているのであろうか? すなわち、筆者がテレビでチラリとみた、感染者数と思われるグラフでは、特段に増加はしていなかった。そこから、今回の疑問が生じて東京都の発表をみたのであるが・・・。

 結論としては、今回の緊急事態宣言は「法律」に基づかずに発出されている可能性が高い。

 このことをテレビ等では全く報じていない。そして、発出日の4月25日の朝の報道では、この病床使用率を表にして示していたが、確かに東京都は「黄色に塗られて30%台」であった。大阪等は、「赤色に塗られて」、区別はされていた。しかし、テレビでは、大阪の状況と、東京の状況を “ごちゃ混ぜ” にして報じていて、漫然と見ていると、区別が付かなくなる。マスコミは、騒ぎを大きく見て、恐怖心を煽っているように感じる。

 すなわち、東京都の現在のコロナ感染者の状況は、国の基準で「ステージ3」である。東京都の病床使用率は20~30%台であり、緊急事態宣言発出の要件を満たしていない。緊急事態宣言発出の目安は、国の基準では、「ステージ4」すなわち、病床使用率50%以上とされている。そして、緊急事態宣言の解除は「ステージ3」である。東京都は何と「解除の基準に入っている」のである。

 そして、下に掲げたグラフ(最初に掲げたものを年代別にしたもの)にあるように、昨年の4月27日~今年の4月19日までの重症者数を見ると、右端の3月19日の人数は3月から特段、増えていない。しかし、都知事は、今にも感染爆発が起きるが如き言い方で、緊急事態宣言を国に要請して、発出をさせている。甚だ不思議なことである。これは、「不法な発出で損害を生じた」として、損害賠償請求ができるのではないか?

 なお、菅義偉首相は、前回の緊急事態宣言の再延長時に行った、3月5日の記者会見で、記者からの質問に、

菅総理 ・・・(略)・・・ 病床ですけれども、東京都はクリアしていますけれども、ちょうど50パーセントぎりぎりのところも、今、逼迫しているところもありますので、そうしたところにおいてやはり病床を全部50パーセント以下にするわけですから、そうした努力はしっかりと行って、そうした体制をつくることがまずは、この2週間の中でやるべきことだというふうに思います。

*****

と答えている。これは、3月5日のことである。しかし、下に示す厚生労働省の発表している「新型コロナ対策病床数推移(厚労省)のうち、「東京都」のグラフを見てみると、

*****

新型コロナ対策病床数推移(厚労省)・東京都

このグラフの「赤い線」が「入院患者受入確保病床」数(数値は縦軸)、日付は横軸に示している。

 しかし、3月5日の菅首相記者会見では、病床数を増やすと言っていたが、実際には増えていない。首相の回答は、「そう思っただけ」のようであり、到底「しっかりと」やっては「いない」のである。勿論、小池東京都知事も、都民に対して、まるで子供に言い聞かせるが如きに「ああしろ」「こうしろ」と、また、英語表現の標語を使ったり日本語を短縮して、「・・しましょう」など偉そうに、そして、小馬鹿ににしたようなことを言っているが、少なくとも病床数の増加という、コロナ禍の対策で今、最も重要な「肝心なこと」はしていない。これをしないで、即ち、東京都としてできる努力をしないで、空騒ぎを演出しているのである。

 加えて、緊急事態宣言の期間中は、店舗の「看板やネオンサインの照明を消せ」とのこと。一体、何の意味があるのであろう??

  また、飲食店は、酒は禁止で,午後8時までの時短営業である。コロナウイルスは深夜に活動するのであろうか? 時刻とウイルス感染の相関性はあるのであろうか?  何とも理解不能なことをする。そして、今回も、小池都知事は、「はしゃいている」が如くであり、最初の宣言時に、大阪の真似でしたように、今回もまた、レインボーブリッジを、小池知事の「腹の中の如く」の「何とも不気味な赤黒い照明」にでもするのであろうか?? 

 そして、小池東京都知事は、最も重要な病床確保もせずに、自らの自己宣伝に、このコロナ禍を利用しているとしか思えない。小池知事の失当な施策の、その陰では、多数の倒産と失業者、そして自殺者を生んでいるのである。 

 そして、「法律に基づいて」と、言うなら、そもそも「緊急事態宣言」が法律に基づいていることが前提である。変異ウイルスの蔓延が迫っているから「先手・先手」で、緊急事態宣言を発出するという論理で、法律を破って良いことにはならない筈である。これは先手ではない。先手は、医療崩壊を防ぐための重症病床の確保である。また、マスク、消毒について、正しい知識を普及することである。間違ったマスクの付け方・・鼻をだしている、あごに掛けているなどをしている人がいる。そして、電車内で大声で話す輩もいる。こうした適正をを欠く行為をしないように、コロナウイルスに感染しない・させない方法を正しく伝える必要がある。飛沫感染の恐れのない山道でもマスクをしているなど、の間違ったことをしている人が多々いる。

 なお、前回の緊急事態宣言時、営業時間の短縮に応じた飲食店に対する協力金の支給が、業務が滞って、未だ半数程度に留まっているとのこと。中小・零細事業者は「今、すぐ」にでも必要なのである。営業しなくても、家賃は待ってくれない。この点でも、都民のことを考えていない。税金を納めるときは、遅れれば延滞金である。しかし、税金を支出するときは何とも悠長なものである。

 そして、今、日本ではコロナ禍を利用して、罰則について、国会の関与なく、「省令」として、勝手に改訂することが行われている。例えば「まん延防止等重点措置」では、「マスク非着用者の入場禁止」、「アクリル板設置など」である。これらは、官報に記載されただけで、報道発表もされていない。国会で審議することなしに、また、閣議で決定することもなく、こっそりと省令で、罰則を追加している。これは、憲法に抵触する可能性もあるのではないか?? 野党は、週刊誌ネタでは騒ぐが、このような重大なことは、気付いていないのか? 一言も言わない。何ともアホで役に立たない存在である。

 コロナ禍が始まって、既に1年を超えた。自粛疲れもそろそろ限界である。その間、有効な対策がなされているとは思えない。この状況がいつまで続くか判らない。もしかすると、コロナを退治することはできないかも知れない。

 全ては、昨年の1月頃に外国からの入国を遮断しなかった政府の責任であるが、アホ政治家(や)では、素早い対応は望むだけ無駄なのかも知れない。コロナ禍の早期の終息を願うばかりであるが、特効薬でも開発されないと終息は無理かも知れない。何とも困ったことである。

【了】



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