2024年4月1日
前回の小銭貯金を預け入れにいくと手数料を取られて赤字になる<2024年2月29日>の続きです。
こちらは中央郵便局の玄関前です。中に入れない人だけで20人ほどの行列ができています。何かのイベントでしょうか。並んでいる人に聞いてみましょう。
「これは何の行列ですか。」
「お金を預けるために並んでいるのです。」
「お金を預けると何か特典があるのですか。」
「いいえ、何もないですよ。取られないために並んでいるの。」
「どういうことですか。」
「2年ほど前から小銭を51枚以上預けると手数料を取られるようになったでしょ。それでお釣りでもらった小銭を毎日預けに来ているの。」
それでは中の様子も見てみましょう。行列の先頭の人が窓口に立ちました。
通帳を渡しましたが、お金は渡さずにカウンターに並べています。
「お金は渡さないのですか。」
「渡しますよ。でも枚数が1枚でも制限を超えていると手数料を取られるので、もう一度確認しているのです。」
「機械で数えてくれないのですか。」
「渡したあとでは機械で数えているけど、そのときに制限を超えているとダメだそうですよ。だからカウンターに並べて数えるのは自衛の手段なんです。」
行列の原因はたくさんの人が集まっただけではなく、一人ひとりの預け入れにかかる時間が長くなったことも影響しているようです。
職員の方に話を聞いてみましょう。
「いつ頃から行列ができるようになったのですか。」
「半年ぐらい前からでしょうか。」
「毎日こんな状態ですか。」
「いいえ、預け入れに来る人が数人という日もあります。」
「それは雨や暑さなど天候が関係しますか。」
「それだけではないと思います。ここがすいている日に他の郵便局が大変な行列だったということも聞いています。」
「この行列への対応はどうしているのですか。」
「ブロック毎に臨時の職員を雇っていて、行列のできている局に応援に行くという態勢になっています。」
そもそも小銭の預け入れ枚数制限は硬貨の枚数を数える機械のメンテナンスにかかる費用の削減のためという理由もありました。
しかしこの行列への対応のために職員を採用する費用が、メンテナンスの費用を超えている状態だと思われます。
ある職員は次のように語っていました。
「枚数制限が問題だと思います。窓口での苦情も多いですし、何よりも本当に困っている様子が伝わってきます。元に戻して欲しいとみんなが思っています。」
外に出ると行列が増えているようです。でも誰もイライラした様子がありません。むしろ楽しそうに周囲の人と談笑しています。
もう少し話を聞いてみましょう。
「こうして並ぶようになったのはいつ頃からですか。」
「3ヶ月ほど前からです。」
「どうして並ぶようになったのですか。」
「行列をすることでマスコミに取り上げられるかもしれない。そうすれば国民が怒っていることをゆうちょ銀行の偉い手さんに届けられるかもしれないと聞いたからです。」
「誰から聞いたのですか。」
「預け入れの枚数制限で困っていることがサークルで話題になったときに、誰からとはなくそんな話になりました。実際に来てみると本当に行列ができていました。」
「立ちっぱなしで待つのは大変じゃないですか。」
「制限を何とかして欲しいと伝えたい思いの方が大きいですね。また知らない人と話すのも楽しいし、時間にも余裕があるので苦になりません。」
「いつもこの郵便局に来るのですか。」
「いえ、日によって違います。」
「どこに行くかはどのように決めるのですか。」
「並んでいるときに、次は○○郵便局に集まるらしいよと伝わってきます。」
取材を進めていくと、この行列は主導者がいるのではなく、自然発生的に始まったようです。
この行列で迷惑をしている人がいるのではないかと思ったのですが、個人だけでなく商売をしている人なども枚数制限に困っているようで、ほとんどの人が好意的に捉えていました。
また郵便だけが目的の人には並ばずに先に行かすように、並んでいる人が配慮しているようです。
今ニュースが入りました。
ゆうちょ銀行は預け入れの枚数制限撤廃に向けての検討に入ったそうです。
以上、4月1日「ニュース USO 800」をお送りいたしました。
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