2020年8月31日
ある日のこと、歩道を歩いていると足下に白線が見えました。写真下部のマンホールと上部の溝の間の横方向のまっすぐな線です。運動場に引く白線くらいの幅です。色は石灰のような真っ白ではなく少し黄ばんだような色です。
そこは片側2車線の交通量の多い道路で、いつもは反対側の歩道を通ることが多いのですが、こちらの歩道も通ります。それまでは気にならなかったので最近引かれたもののようです。
歩道にある溝の蓋に沿って、かなり正確に引かれています。石灰のような粉状ではなく、数ミリくらいの粒状のものが撒かれているという感じです。
先の方を見てもその線は続きます。幅も変わりません。まだまだ続きそうです。その線に気がついたのは引かれている線の途中からです。どこからどこまで引かれているのかが気になりました。
まず線の始まりです。気の付いた地点より数十メートルくらい手前の脇道との合流点付近で途切れていました。ピタッと途切れるのではなく、だんだん少なくなって見えなくなっています。ここが終点なのか始点なのかはわかりません。
先ほどの地点から先に進みます。白線を作っている粒状のものは一定の密度で続いています。よく見てみると、粒状のものは米のように見えます。途中に信号があり8メートルほどの横断歩道を渡っても続きます。
次の信号が見えてきました。今度は大きな交差点です。その手前で白線が左に曲がっています。駐車場かただの空き地かはわかりませんが、そこに入っています。
一度は通り過ぎましたが、やはり気になってその線の後を追いました。そこの空き地で半円を描くようにカーブして、プレハブ小屋のような建物に入っています。
謎が解けました。そこは無人の精米所です。コインを入れて精米する機械が置いてあるものです。
そこで精米して、米を入れた袋をカートに載せたのでしょう。ところが米を入れた袋の底が破れていたのではないでしょうか。それとも袋の口を下にして載せたのでしょうか。どちらにしても建物のすぐ前からこぼれています。
自転車ではないと思ったのでカートに乗せたと書きました。自転車の荷台からこぼれ落ちたのだったら地面に落ちたときにもっと散らばるのではないでしょうか。きれいにまとまって白線になっていましたから。
探偵気分で推理を続けると、カートは引っ張るタイプでしょう。精米機の建物から白線が途切れるまでは約300メートルです。押すタイプなら途中でこぼれていることに気がつくはずです。
精米機から300メートル、最後はこぼれる量が少なくなってだんだん線の密度が薄くなって見えなくなりました。最後まで気がつかずに、こぼれる状態の米がなくなったのでしょう。
おじさんの謎は解決しましたが、精米をして帰ったら袋の米が空だったというのは気の毒だなと思います。
それとも、わざと米を撒いておいて、おじさんのような人間をどこかで観察して楽しんでいたのでしょうか。
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