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暗黒神話 ヤマトタケル伝説

2017-09-03 20:22:24 | ゲーム
 漫画雑誌「ウルトラジャンプ」の2014年3月号には付録として諸星大二郎『妖怪ハンター』のコミックス復刻版が付いておりました。今でも手元にありますが、これを読んだ時、なんか子供の頃に見た覚えのあるシーンがいくつもありました。どうも私はこの作品をどこかで読んだことがあるようです。友人の家か本屋での立ち読みかわかりませんが、間違いありません。諸星大二郎の描く漫画は独特の絵柄と作風でマニアックなファンが多いと思われますが、もし私が諸星大二郎作品を集め始めたらどっぷりとハマりそうで、今一番気になる漫画家です。

 そして先日、秋葉原で中古ゲーム屋を巡っていた時に見つけたのが、この諸星大二郎原作のファミコン版『暗黒神話 ヤマトタケル伝説』です。原作を読んだことはありませんが、数百円だったので即購入。



 タイトル画面ですが、なかなか重々しいロゴ。メーカー表記はありませんが、制作は東京書籍。トンキンハウスのブランド名でも有名でした。

 プレイヤーは主人公である中学生タケシ。父親が変死したとのことで、その真相を探るのが目的です。ゲームシステムは普通のコマンド選択式。とにかく状況を見て、話を聞くのが基本姿勢です。プレイ開始は土曜日の午前11時。果たしてどれくらいの日数でクリアできるでしょうか。



 事件の手がかりを求めて長野県の考古館にやってきました。そこでタケウチという老人に会い、父は蓼科の山奥で殺されたとの情報を得ます。二人で事件のあった周辺の遺跡を探り、タケウチからいろいろな解説を聞きながら遺跡の奥へ進んでいくと……。



 いきなりアクションゲームの戦闘シーン! プレイヤーキャラはすでにヤマトタケルのイメージです。説明書によるとこの怪物はタケミナカタ(オオクニヌシノミコトの子)で、大和朝廷に倒されて両腕をちぎられたとのことです。本作では探索中に得られた情報量が多いとボス戦が有利になるらしいです。とりあえず適当に剣を振り回していたら倒せました。これで第一章が終了。ここまでプレイ時間10分程度。なんかあっけないなあ。



 第二章はタケウチの導きによって古代出雲での前世を体験。どうもタケシの前世はヤマトタケルのようです。その妻オトタチバナもちょっぴり顔出し。草薙の剣を取ってオロチを倒すと第二章クリア。なんだかテンポが良すぎますが。



 第三章はいきなり現代の大分県の国東半島。なぜかオオガ ミヤという考古学者に出会って周辺の遺跡を探ることになります。彼女は邪馬台国の女王ヒミコが不老不死であったことを研究しているようです。

 ところでアドベンチャーゲームではゲームで想定されていない行動をしようとすると「それはできません」とか表示されるのですが、本作はこの第三章あたりからふざけたメッセージが目立つようになります。特にプレイの支障にはならないのですが、「データーくうから、へんなコマンドつかわないでね」というメッセージが出た時は「だったらそんなの入力しないでもっと別のところを充実させたらどうか」とは思いました。



 その後タケウチと合流し、ボスの餓鬼との戦闘。この餓鬼の正体は……。



 第四章は奈良県御所市の白鳥陵。ヤマトタケルの御陵の一つです。その地下でキクチカズヒコなる者に出会いました。ただし、こいつに会うタイミングが悪いとゲームオーバーになるので、2回はプレイすることになるかもしれません。白鳥陵の地下は黄泉の国とつながっており、イザナギノミコトの例にならって黄泉醜女(よもつしこめ)に襲われながら黄泉の国から現世へと逃げ帰ります。



 こちらがその醜女さん。なかなかいいデザインです。それにしても日本中をあちこち飛ばされて遺跡の探索をさせられています。そして各章をクリアすると体のあちこちに聖痕が現れます。これらの場所は何か対応しているのでしょうか。

 このあたりで昼になったので、食事のためプレイ中断。1時間程度で第四章までクリア。



 午後1時にプレイ再開。第五章は奈良の興福寺、我が家から徒歩圏内が舞台です。興福寺宝物館で阿修羅像を見るタケシ。現実の興福寺阿修羅像はもっと少年のような顔立ちの国宝です。本作の興福寺の中は小さな部屋で仕切られていて、各部屋の謎を解いて扉を開くという、のちのトンキンハウス(雨月奇譚ジャガーノート)によく見られる仕掛けが待っています。もちろんできることは極めて限られていますので、ひたすらコマンドを選んでいればなんとかなりますが。



 第六章は静岡県の焼津。ここのお寺には石のようなものがまつられていて、これは古代のタイムカプセルだそうです。実はタケウチも古代人で、これを使って現在まで生き長らえたようです。そのタイムカプセルの一つにヤマトタケルの妻オトタチバナが入っていて、この現代に一瞬だけ覚醒しますが、タイムカプセルの不具合ですぐに溶けてしまいました。何しに出てきたかと思ったら、八咫の鏡を古代から持ってきてくれました。



 第七章は関西に戻って京都の妙見山。キクチカズヒコと再び対峙。第三章あたりからちょいちょい出てきた馬頭観音を召喚してきましたが、さっさとクリア。



 そして第八章、東京の三鷹にあるタケシの家が舞台です。誰だか知りませんがこのオガタという人物が家にまでついてきました。父の死にはなんと母も関わっていたという衝撃の事実を知りますが、その母の助けもあって八尺瓊勾玉をゲット!



 そしていきなり暗黒神との対決です。攻撃の死角からジャンプして適当に火の玉を撃っていると倒せました。エンディングが流れてクリアです。これが午後2時。

 というわけであっという間にクリアしてしまいました。コマンドが少なくできることが限られているので、コマンド総当たりしても時間をくいません。どうすればいいかわからない時は土偶を投げればなんとかなります。まあ謎解きを楽しむというよりは、日本の神話や遺跡の雰囲気が最大の魅力かもしれません。しかも(原作漫画の魅力でしょうが)インド神話やSF要素、オリオン座とその脇腹に食い込む馬頭星雲(暗黒星雲)などの意味づけが何重にも絡み合っており、その練り込まれた設定に強い興味をそそられました。

 で、その日の夕方に近所の本屋に「暗黒神話 完全版」があるか探しに行ったら3200円+税だったので断念。もうちょっと金持ちになったら買うとします。