ゲームボーイのソフトは小さなカートリッジであるため、中古ゲーム屋さんでは盗難対策のためか壁にくくりつけてあることが多いのですが、投げ売り状態のタイトルはそのような手間がかけられることもなく自由に手に取ることができます。そんなソフトの常連の一つがこの『ソーラーストライカー』。どんなゲームかは知りませんでしたが、以前からなんとなく気になるタイトルだったので、シューティングっぽい名前にひかれてある日に数百円で購入。
さてプレイしてみると、やっぱりシューティングでした。しかも任天堂が制作しているんですね。最近のことはわかりませんが、任天堂のシューティングってかなり少なかった印象があります。『ドンキーコング3』とか『スターフォックス』シリーズくらいしか思い当たりません。ゲームボーイ発売にあたり、とりあえず一通りのジャンルのゲームを揃える必要があったため、いわば数合わせのために発売されたのではないかと想像します。
シューティングとしてはとてもシンプル。縦スクロールで、パワーアップは3段階ありますが、いずれも正面に撃つだけです。バリアも無敵のオプションもボンバーもありません。オート連射はありますが弾切れが激しいので、ボタン押しっぱなしよりは狙って撃つ必要があります。
敵の攻撃はそれほど激しくはありませんが、少々クセがあります。敵は自機をきっちり狙ってくるわけではなく、8方向にしか撃ってきません。したがって常に動いていれば避けられるというわけにはいかないのです。さらに、敵の個体ごとに攻撃のタイムテーブルが設定されているのではなく、ゲーム全体でタイムテーブルが設定されていて、それを画面上の敵機に割り振っているような感じを受けます。これにより、敵の移動パターンと攻撃タイミングがシンクロせず、不意打ちをくらうことが多いような気がします。以上の点より、見た目以上に緊張感が必要なゲームです。
そうだとしても、まあ誰でも4面ボスまでは到達できるでしょう。ところが4面ボスから急に難易度が上がります。上の写真はそのボスですが、こちらの攻撃は敵の中央にしかダメージを与えられず、それでいて周囲の砲台からの激しい攻撃にさらされることになります。こういう場合、敵が8方向にしか攻撃できないことを利用して安全地帯を探すのがセオリーですが、どうもこのボスは自爆したり逃げたりしないようなのでダメージを与えられる真正面のどこかにないか探してみました。その結果、上の写真の位置が半安全地帯と判明しました。自機の先端を砲台の前面より下側になるようにします。そして左上から自機の左下をかすめるような弾をちょっとだけ上によけたところでボスを倒すことができるでしょう。なぜか避ける必要がない場合もありまして、詳細は不明ですが、ひょっとしたらパワーアップが最強でない場合は自機の当たり判定が小さいのかもしれません(未確認ですが)。
5面になると画面上から高速で硬い敵がまっすぐ突っ込んできます。これが一個5000点なので、スコアアタックには最も重要なポイントとなります。ただし結構やられやすく、やられてパワーダウンすると破壊困難になりますのでほどほどに。上の写真は5面ボスで、安全地帯に入っています。まともに戦うと4面ボスの次くらいに強いかもしれません。
最終面である6面では中ボスラッシュがあります。それぞれは大して強くはないのですが、硬い敵が突っ込んでくるので要注意。そして最終ボスは上の写真のように簡単に見つかる安全地帯があって楽勝です。
脱出シーンからのエンディング。クリアまで20分くらいで、ゲームボーイを手に持って遊ぶことを考えるとちょうどいい長さかもしれません。
スタッフロールには故・横井軍平氏の名前。氏はゲームボーイの開発者でもありますが、その哲学に「枯れた技術の水平思考」というのがあります。これは、無闇に新しい技術に飛びつかずに、勝手の知った技術をこれまでにない分野に応用して新たな価値を生み出す、という考えです。しかもコストをそれほどかける必要がないというメリットもあります。ゲームボーイにはまさにこの哲学が込められており、シンプルなゲームが長く親しまれたのでしょう。本作もそのシンプルさに価値があると言えます。
ちなみにクリアすると難易度が上がったハードモードを遊ぶことができます。この記事の一番上のタイトル画面の写真は実はクリア後のもので、SELECTボタンを押すと敵弾がかなり増加したハードモードが始まります。とはいえ、通常モードをクリアできた人ならば慣れればすぐクリアできると思われます。ボスの安全地帯はそのまま使えますが、突っ込んでくる硬い敵が弾を撃ってくるのには気をつけなければなりません。
というわけで、シンプルすぎるシューティングですが、手軽にプレイできる割にはそこそこ緊張感もあって思った以上に楽しめました。音楽もなかなかいいので、安かったらぜひどうぞ。