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イースⅡ

2019-02-11 21:56:45 | ゲーム


 私はイースIIが好きではありませんでした。(またこのパターンか?)

 とは言っても、もうこのシリーズはアドル・クリスティンのものであると諦めはつきましたし、前作イースの半端なエンディングの続きも気になっていましたし、何よりPCショップのデモが革命的なクォリティだったため、X1turbo版のイースIIを発売直後に購入したのでした。

 そしてプレイを始めると、どうにも地下迷宮みたいな狭くてゴチャゴチャしたマップが多いのです。そんな雰囲気をしんどいなあと感じていると、終盤になってサルモンの神殿+地下水路という複雑&広大なマップにうんざりしてしまったのです。もちろんその後クリアして素晴らしいエンディングも味わいましたが、なんか再プレイする気が起きずに1回クリアしただけでお腹いっぱいになってしまい、それっきりプレイすることはありませんでした。

 そして先日、ファミコン版の前作イースをクリアしたので、その勢いでイースIIももう一度クリアしようじゃないかと考えた次第であります。



 ファミコン版の前作はチープなアレンジが目について、オリジナルのPC版を見直すきっかけになりましたが、ファミコン版の本作はなかなか忠実に移植されています。アニメーションを多用したオープニングも、尺は短くなっていますが頑張って再現されています。リリアも上の写真の通りの描き込み。



 おそらくマップは可能な限り原作に忠実であると思われます。もちろんバランスが整えられていたり画面の表示の都合で変更した部分もあるでしょうが、余計なアレンジや大胆なカットもないようです。前作に批判があった影響かもしれませんが、それはもう意地になって移植したのであろうと想像します。ところが、その意地によってアレンジの多い前作と矛盾する部分もできてしまったりしたのですが……。



 イースIIで私が一番問題視したマップの複雑さですが、序盤から廃墟や廃坑などの狭くて複雑なレイアウトで始まり、中盤の氷壁も隠し通路があったりでやっぱり難解です。前作では最初に草原で自由に走れたこともあり、それがイースのイメージともなっていたのに、どうにも狭っ苦しい地形ばかりです。その後の溶岩地帯は比較的広々と走れますが、地下空間であろう設定なので今ひとつ開放感がありません。そして終盤のサルモンの神殿と地下水路で複雑さはピークに達すると覚悟していましたが、ファミコン版ではやや楽になっていたような気がします。その理由まではよくわかりませんでしたが。

 神殿も地下水路も多層構造になっていて、2次元で描かれていながら3次元的に正確なつながりとなっており、よくもまあこんなマップを作ることができたと今になって感心しました。30年前も、正確な構造を把握しないと気が済まない私としては同じところを納得するまで何度も通ったりしたため、非常にプレイに時間がかかっていたのでした。ファミコン版にはある程度の省略や変更があったのかもしれません。だとしたらそういう調整は大歓迎です。

 蛇足ですが、PC版のプレイ中にこの地下水路で流れる音楽をあまりに聴きすぎてトラウマレベルになりました。ところが改めて聴いてみると、同社のソーサリアンの「呪われたクイーンマリー号」の船内BGMと構成がそっくりなことに気づきました。この曲は私がソーサリアンでベスト3に入るほど好きな曲なので、ゲーム音楽の好き嫌いにはプレイのシチュエーションも大きな影響を与えるんだなあと強く認識したのでした。

 イースII独自のゲーム性としては魔法が使えることが挙げられます。とくに戦闘に関してファイヤーの魔法は強力で、魔力消費量が少なく、アイテム装備によっては敵に向かって誘導するようになります。ボスもファイヤーで倒すことが前提となっているようです。まあ私はあまり使わず、終始「半キャラずらし」が主力でしたが。イースのゲームとしての面白さはテクニカルなボス戦だと考えていますが、ファイヤー使用を前提とした本作のボス戦はほとんど印象に残らず、ちょっと残念。

 謎解き要素は多いですが、何かありそうな場所で使えそうなものを使うのが基本パターンです。もう一つのパターンは、モンスターに変身できる魔法を入手したら敵と会話をすることができるようになり、そこで情報を得るというものです。この時の装備の付け替えが意外と面倒くさかったので避けていたら、幾つかの場所でいつまでもフラグが立たなかったということもありました。過去のプレイも覚えていなかったし。こういうのは総当たりするのは大変なので、ゲーマーとしての勘が必要なところですね。私もまだまだ未熟です。



 イースIIのキャッチコピーは「優しさから、感動へ。」であったと記憶しています。本作の「感動」の具体的な部分は、終盤の鐘つき堂イベントの盛り上がりとか、最終ボス直前にみんなが応援して送り出してくれることとか、エンディングでみんなが褒めてくれるとか、使命を帯びた女神との別れなどのことでありましょう。身も蓋もない言い方ですが。それでも「自分よく頑張った!」と言えるゲームは良いゲームなのです。

 ちなみに上の写真の鐘つき堂はゲーム中でイースが天空に浮いていることを示す唯一の場面ですが、もっと随所で天空感を出して欲しかった気がします。地下深くに潜っていったら急に視界が開けて雲が見え、はるか眼下に地表が広がっているとか、イースの根っこ部分に架けられた吊り橋や梯子を渡っていくとか。最終ボス直前もいつの間にかイースが地上に降りていることになっていて唐突感があります。イースが地上に降りた瞬間が(あとになって)わかるような効果やイベントあったらよかったのに。

 最終ボス直前のイベントでアドルが銀のハーモニカを渡されるというのがありますが、ファミコン版の前作では銀のハーモニカ関連のイベントが丸ごとカットされていて、ファミコン版しか知らないと「何の話?」となってしまうのでした。返す返すも前作で変なアレンジをしないで欲しかった……。



 最終ボスとの戦いは、持てるものを全て使い切るようなものになります。PC版では背景に巨大な炎のアニメーションがあって、ものすごい迫力でした。



 そしてエンディング。2人の女神、6人の神官の子孫たち、ついでにリリアが大集合。神官の子孫のうち2人は前作に登場しており、イースが地上に戻ったためにやっと6人揃うことができたという設定。神官の子孫だったという説明がない人物もいるようですけど。女神であるヒロインのフィーナとはお別れになりますが、ここでも前作での「フィーナの影が非常に薄い」というアレンジによって「なんでこんなに大層なお別れなんだ?」と思うことでしょう。



 そして地上へ。アドルの最初の冒険はこれでおしまい。久しぶりに観たこのエンディングで「イースをアドル・クリスティンの冒険として認めようじゃないか」という心境に至ったのでした。



 というわけで、アレンジ前作との齟齬がいくつか発生してしまったのはやや残念ですが、とにかく気迫のこもったできうる限りの忠実な移植であり、ファミコン特有の「軽さ」もなく原作に近いプレイ感覚がありました。もちろん原作が完璧だと言うつもりはありませんが、私にとっては全く違和感がなかったのは間違いありません。そして私は30年越しでようやくイースIIを受け止めることができたようです。次はスーパーファミコン版のイースIIIに挑戦です(最終ボスが強くてかなわん)。



 おまけでオープニングの比較



 上は原作となるPC-8801mkIISR版。当時の8bit PCだと、こういうアニメーションはメモリを食いまくるし、ハードウェアスクロールなんてできないのが普通なので、ここまでやるオープニングはなかなかありませんでした。音楽も高性能サウンドドライバによってかなりの表現力を持っているし、曲想も当時のゲーム音楽では聴いたこともないほど先進的でした。



 こちらはファミコン版。冗長な部分はばっさりカットされていますが、相当頑張って再現しています。

 ところでリリアってなんだったんでしょうか。IIならではのヒロインなのでしょうが、そもそもI〜II通してフィーナが話の核心だし、エンディングではなんかお邪魔虫っぽかったし。IIの直後の話だというIVにも出てくるのかな? そうでないとあまりに不憫や……。


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