ジョン・ケージ:
・マルセル・デュシャンのための音楽
・増幅されたトイ・ピアノのための音楽
・ラジオ・ミュージック
・4分33秒
・マース・カニングハムに関する62のメソスティクス(断章)
プリペアド・ピアノ:フアン・ヒダルゴ
トイ・ピアノ:フアン・ヒダルゴ、ワルテル・マルケッティ、ジャンニ=エミーリオ・シモネッティ
ラジオ操作:フアン・ヒダルゴ、ワルテル・マルケッティ、ジャンニ=エミーリオ・シモネッティ
ピアノ:ジャンニ=エミーリオ・シモネッティ
声楽:デメトリオ・ストラトス
CRAMPS RECORDS: CRSCD-101
あの「4分33秒」が収録されたCDだけれど、収録する意味があるのかどうかよく分からない曲ですね。ジャケットがキノコなのは、作曲者ケージがキノコの研究家でもあるからです。なぜかというと、辞書で「MUSIC」の前に「MUSHROOM」があったからだそうですが。
プリペアド・ピアノによる「マルセル・デュシャンのための音楽」はこのCDで最も好きな曲です。鼻が詰まったような音色でつぶやくような旋律、ピアノ内部の残響、東洋的なリズム分割、さ迷い歩くような終盤の繰り返しなど、聞き所がたくさんあります。緊張感と脱力感を併せ持つ不思議な一曲。
おもちゃのピアノによる「増幅されたトイ・ピアノのための音楽」は、水琴窟にヤギと大工を突っ込んだような曲です。ラジオを操作する「ラジオ・ミュージック」は8割方がノイズですが、この録音ではムーディーな音楽がぶった切られるという終わり方でイカしてます。例の「4分33秒」はピアノで演奏?されているらしく、楽章間で鍵盤の蓋の開閉音が聞こえます。普通、楽章間でも開閉はしないと思いますが…。
そして、「4分33秒」で静寂に耳が慣れたころ、デメトリオ・ストラトスの
「どぅ~~~~、んんんんんんんんんん」
という叫び声で驚かしてくれるのが「マース・カニングハムに関する62のメソスティクス」です。声があまりにパワフルで、それに自信があるのか、やや一本調子なのが惜しいところです。
どの曲も雑音としか聞こえないよ、と言う人も多いかもしれません。ですが、集中してリズムや音色を聴いているうちに、新しい音楽の体系が耳に作られていくような新鮮な一枚です。
YouTubeにあった4分33秒の動画。この演奏(?)でもピアノが使われています。
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