ジャック・イベール:
・バッカナール
・ディヴェルティメント
・祝典序曲
・海の交響曲
・交響組曲「寄港地」
指揮:佐渡裕
ラムルー管弦楽団
NAXOS: 8.554222J
NAXOSというクラシックCDのレーベルは、メジャーではないけれど一流の演奏をする音楽家の録音を1000円程度の安さでリリースすることでシェアを大きく拡大してきました。つまり失礼な言い方をすれば、NAXOSで録音した音楽家はまだメジャーではない、ということもできるのです。もちろんメジャーであることが音楽家の価値というわけではありませんが…。
そんなNAXOSに佐渡裕がレコーディングしたのがこのディスクです。佐渡裕と言えば日曜朝九時の「題名のない音楽会」の司会者であり、また今年にはベルリンフィルの定期公演を指揮したということでも話題になった指揮者です。現在ではいよいよ巨匠になりつつある佐渡裕が、まだまだメジャーではなかった1996年に演奏しNAXOSからリリースしていたのです。
さて作曲者のイベールは20世紀中盤まで活躍したフランス人ですが、作風は明晰で、調性的ではありながらもモダンな、非情に耳ざわりの良い音楽です。もちろんフランス人には欠かせない「エスプリ」も濃厚です。
私は「バッカナール」が目当てでこのディスクを購入しました。同名の曲はサン=サーンスのものが有名ですが、イベールのもそのタイトルの通りワインの神バッカス(バックス)の酒宴の踊りであり、一種の乱痴気騒ぎの雰囲気を醸しています。それでいて佐渡裕の演奏では、ざらついた部分はあるものの、いたずらに速度を上げたり大音量で圧倒したりせず、スマートなものになっています。
収録曲全てが若さを感じさせる気合いの入ったディスクですが、私が特に気に入ったのが「祝典序曲」です。この作品は日本の紀元2600年(西暦1940年)のお祝いのために作曲されたとのこと。荘厳さを持ちながら数学のように緻密に発展していくのがとても心地よく感じます。しかも旋律が先読みできないような複雑な変化をしており、競技的ですらあります。
YouTubeに「祝典序曲」のショートバージョンがあったので貼っておきます(本来はこの3倍くらいの長さ)。この映像は1990年8月26日に放映された「題名のない音楽会」のもののようです。佐渡裕の演奏より華やかにやってます。
NAXOSでレコーディングしていた駆け出しの佐渡裕がベルリンフィルで指揮をすると聞いて、このディスクを発売直後に買っていた私は「立派になったもんだ」と大変感心しました(ナニサマだ!)。将来、佐渡裕がイベールの作品を録音するのなら、さらに円熟したものを期待したいですね。
クラシックCD紹介のインデックス
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます