ジョルジュ・ビゼー:
・「カルメン」第1組曲
・「カルメン」第2組曲
・「アルルの女」第1組曲
・「アルルの女」第2組曲より
指揮:イーゴリ・マルケヴィチ
ラムルー管弦楽団
AMUSE: EC-1135
例えば、上野駅の山手線と常磐線の間の通路なんかにいっぱいワゴンが出ていて、その中の一つに「特価CD 500円~」とか書いてあって、ワゴンを覗くと「ザ・ベストクラシック」とか「クラシック名曲50」とかそんなシリーズがずらっと並んでいたりします。よく見ると定価は2000円くらいするんですが、ジャケットもなんだか安っぽいし、正体の知れない会社が販売していたりします。
私はこういう安物CDが好きなんですよ!
安物だからって名も無い指揮者がへっぽこ演奏しているわけではありません。むしろ有名指揮者が多いくらいで、恐らく小さな事務所が古い録音を安く買ってプレスしたのでしょう。当然ですが曲のラインナップは定番中の定番といった感じです。私は一つの曲に対して究極の演奏を求めるような聴き方はあまりせず、広く浅くしかも妙に偏って聴きかじるため、定番の名曲だったら安物CDで買うことが多いのです。もちろんマニアックな珍曲が安物CDにあったら飛びついてしまうでしょうけど。
そんなわけで、今回はビゼーの安物CDの紹介。
フランスのビゼーは、現在ではほとんど「カルメン」と「アルルの女」に代表されてしまう一発屋のような作曲家で、37歳の若さで亡くなった上に生前の評判も今ひとつという、なかなか不遇の人のようであります。ただその作品に関しては天才的なものがあり、ひらめきと技術と歌心を兼ね備えているように感じます。ビゼーの交響曲第1番については以前の記事では書きませんでしたが、大作ではないものの明朗で快活な名曲です。
「カルメン」組曲はフリッツ・ホフマンによってビゼーの死後に編曲されました。死後になってオペラ「カルメン」がヒットして、ようやくその音楽の価値が認められたそうです。二つの組曲あわせて10曲からなり、TVタックルのオープニングで有名な「闘牛士」や、ユーモラスな「ハバネラ」「アルカラの竜騎兵」などの有名どころも楽しい組曲です。
「アルルの女」は戯曲の劇中音楽として作曲されましたが、ビゼー自身が4曲からなる第1組曲を編曲し、死後には友人ギローが同じく4曲からなる第2組曲を編曲しました。ただし、第2組曲の3曲目「メヌエット」はビゼーの別のオペラの曲をギローが無理矢理編入したものです。全体でアルト・サックスが用いられているのがオーケストラとしては珍しいところ。
このディスクと同じ音源の「アルルの女」第2組曲の動画。「パストラール」~5:30より「メヌエット」~9:45より「ファランドール」。このディスクではなぜか第2組曲の2曲目「間奏曲」が収録されていないのが意味不明です。「ファランドール」の旋律は第1組曲の「前奏曲」にも使われた「3人の王の行進」ですが、民謡「ファランドール」と重なって盛り上がるのが楽しい一曲。また、地味に私が好きなのは「パストラール」の中間部(2:35~4:18)です。旋律の音のハズし方や伴奏パートの入り込みなどにフランス流のエスプリを感じます。ビゼーはやはり天才です。
指揮者のマルケヴィチはフランスやロシアの音楽を得意としていましたが、1983年に亡くなりました。この録音は1959年でさすがに古いですが、録音状態は良好です。まさに安物CDにはもってこいの録音と言えましょう。安物CD最高です!
クラシックCD紹介のインデックス
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