真野教室から川合です。
タイトルの日本語が少々怪しいですが、こう表現するしかないのです。では早速、質問です。ふだん、チョークは何に使うものですか?おそらく誰に訊いても、「学校や塾で黒板に筆記する道具」と答えるでしょう。では私の話を聞いてください。
今年、伊勢神宮の式年遷宮(しきねんせんぐう)が話題になっていますね。律令制の時代からずっと行われてきた、神社の建物一式をすべて作り替える行事で、建っている敷地も少し移動します。これを現代に至るまで、二十年ごとに行ってきたのですが、実は私は二十年前の遷宮行事に参加させて頂きました。材木を載せたそりを曳いて川をさかのぼったり、あるいは車を曳いて運んだり、大変楽しかった記憶が残っています。さて、これとチョークにどんな関係があるのでしょうか?
2枚目の写真を見てください。これは遷宮用の材木を運ぶ車で、伊勢市内の各町内が、それぞれこんな車に材木を載せて、神宮の敷地まで運び込むのですが、この車は二輪車で、おしりを地面にひきずって動くので、摩擦が大きく、動きが大変重いのですね。それでも大勢で力まかせに引っ張るので前進はしていきます。が、車輪と車軸との間に油を差さないので、ここも摩擦が大きくて、木と木がこすれ合って焦げ臭いにおいが漂います。さあ、ここでチョークの登場です。車輪の脇にずっとついて歩いている人がいて、この人はチョークの箱を持っているのです。そして、回転している車輪と車軸の間にチョークを次々に落としていくのです。すると、チョークが粉々にすりつぶされて、木が焦げるのを防ぎます。と同時に、チョークがつぶされてこすられるときに「ぶおーっ」というとても大きな響きを発し、人々はこの音が威勢良く発せられると、喜んで盛り上がっていましたね。これまでいろいろな祭りに参加してきましたが、車輪と車軸に油を差すことはあっても、チョークを落とすのは他で見たことがありません。
写真の3枚目と4枚目は、今ちょうどお祭りの期間に入っている「大津祭」の曳き山です。先日組み立てられて、次の日曜日が本番です。塾生や卒業生で参加する人もいるでしょう。残念ながらこちらには、チョークの出番はありません。