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2010年1月の課題本 『ポー短編集 I ゴシック編』

2010-02-09 10:20:30 | ・例会レポ
海外名作新訳コレクション。生誕200年! ミステリの祖、ゴシックの原点。天才作家の絢爛たる才能がここに。珠玉の名編を清新な新訳で。

詩人であり、批評家であり、推理小説の祖であり、SF、ホラー、ゴシック等々と広いジャンルに不滅の作品の数々を残したポー。だがその人生といえば、愛妻を病で失い、酒と麻薬に浸り、文学的評価も受けられず、極貧のまま、40歳で路上で生を終えた――。孤高の作家の昏い魂を写したかのようなゴシック色の強い作品を中心に、代表作中の代表作6編を新訳で収録。生誕200年記念。
 
 
 
<例会レポート>
 
ポーの短編、特に「黒猫」「アッシャー家」あたりは(私も含め)多分、ジュブナイル等で読んだことがあったり、ストーリーは大体知っている、けれどもちゃんと読んだことがない人が多いのでは、と思い、2009年はポー生誕200年だそうで新訳も出たことだし、今読んでみたらどうだろう、と言うことで、課題本に推薦してみました。

出席者は見学者7名も含めて23名、うち男性5名。
そのうち85%ぐらいの人が子供の頃「黒猫」を読んでいて(%は目分量)、そのほとんどの人が「怖かった」という思い出を持っていました。
あらためて読んでみて多かった感想は難解、わかりにくい、しんどい。
精緻な文章、密な描写、詩人らしい文章、複雑な心理描写等、確かにすごい作家なのはわかるけれどなんだかむずかしい、とか、ポーが頭が良すぎるせいか、ジュブナイルで読んだ時の方がおもしろかった、といった意見もありました。
もちろん、その描写力がポーのポーたる所以で、読ませる力がある、すごい、いかにも詩人らしい文章でいい、いろいろあった人生や破滅的な性格、薬や酒が作品や文章に表れているのだろう、という意見もあり。

課題本の短編のうち人気だったのはやはり「黒猫」と、「落とし穴と振り子」。
結末は予想できるけれど、それに向かってじりじりと物語が進んでいくサスペンス感がいいのでしょうか。

菊池さんから穴や地下室へのこだわり、という指摘あり。
他にもタペストリーの中、壁の中など、見えないものが彼には見えている。
詩人の文章、しかも妄想を持っている人の文章であり、ポーについての評論が多いのはわかりにくいからであり、だから逆に何とでも解釈でき、解説しやすい、ということでした。
とにかく短編小説としてよくできている。特に「黒猫」「アッシャー家の崩壊」は秀逸。

今回の課題本「ゴシック編」が読みにくくてイマイチ、という感想に対しては「ミステリー編」の方が読みやすくておもしろいかも、という声がありました。
個人的にはポー本人が作品以上に興味深いので、解説にもあった「ポー・シャドウ」、読んだ方はおもしろいということなので、読んでみようかと思っています。
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