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3月の課題本『マジック・フォー・ビギナーズ Magic for Beginners』

2009-04-07 16:45:57 | ・例会レポ

ケリー・リンク(著) 柴田 元幸(訳)  刊行日:2007/07/20  2,100円 

出席は16人で、女性14人、男性2人(新会員と見学者)という内訳でした。
以前課題本で波紋を呼んだ?「スペシャリストの帽子」のケリー・リンクの新作が、2月の例会見学者の推薦で、またもや決まってしまったのでした。推薦者の方が未入会なので、三分の二で断念の不肖キトリが代理レポートします。
完読の割合は「最後まで読んだ7人」対「読めなかった9人」という割合でした。

さて出席者の感想は……

○前回「スペシャリストの帽子」も読めなかった。今回は「妖精のハンドバッグ」と「石の動物」の2編を読んだ。「妖精~」は夫がハンドバッグにいて時々来るというところがいいと思った。訳が読みやすく上手いと思った。

○ファンタジーは苦手。全部読むのは苦ではなかったが、この作家の作品をまた読みたいと思わない。

○「スペシャリスト~」と同じで、実験小説のようなストーリーで、読みきれなかった。一話目の「妖精~」はよかったので、今度は前向きに読もうと思ったが、前作同様ストーリー性がなく、発想は面白いがダメだった。

○一話目の「妖精~」「大いなる離婚」「マジック・フォー・ビギナーズ」を読んだが、次を読もうという意欲がわかない。現実と非現実のあいまいさの提示が上手いと思うが、心にひっかかることがなく、過ぎてしまった。

○ダメだった。何が書いてあるかわからず、疲れた。ストーリーもわからなかった。

○「スペシャリスト~」もそうだったが、スラスラ読めた。大好きというわけでもなく、大嫌いというわけでもない。気持ちの悪いところがあり、また読みたいとは思わない。

○ケリー・リンクのことは知らなかったが、読んで面白いと思った。現実の中に非現実があるのが楽しい。知らない世界を知った感じで、前作も読みたいと思う。訳がいまひとつで、もっといい表現があるのではと思った。

○まったくダメではなく、少しずつ読んで、最後まで読めた。他の作家にはない味わいがある。

○「スペシャリスト~」はなんとか読めたが、「マジック~」のハローキティがなぜ人気があるか?口がないからという箇所で、断念。「スペシャリスト~」当時より、忍耐力がなくなった。

○以前2、3話目で、挫折した。今回も、やっぱりわからなかったが、ストーリーを追って読むからわからないのではと思った。モンティ・パイソンのコントのようにその場その場を面白がればいいのでは。何でそこで終わるのかわからないものが多いが、発想自体が面白い。

○先のことがわからない今の時代が背景にあるのかもしれない。思いがけないストーリーで、わくわくするような魅力もあるが、共通の基盤がないので、ついていけない感じがした。

○ファンタジーは苦手。なんとか5つまでは読んだ。未来・現在・過去の境界線を描いているような気がした。本当の話は語られず、モヤモヤした読後感。

○「石の動物」で挫折。文字を追うだけで、内容が頭に入らず、読み進められなかった。映像だったら、楽しめたかもしれない。

○途中で挫折したので、他の人の感想を聞きたいと思った。特に推薦者の話を聞きたかった。この本の存在理由はなんだろうと思った。

○内容が入ってこず、断片が残っている。だんだんこういう文章を受け付けなくなっている。

○「マジック~」のみ読んだが、出席するのをやめようかと思った。


菊池先生のコメント
 物語性を拒否している小説なので、詩だと思って読んだ方が無難である。
 個人的には「妖精~」が面白く、これは言ってみればドラエモンだろうと思った。
収納袋の中にいろいろなものが存在し、時間自体も収納できるという、作者一流のレトリックがある。「マジック~」と2作品は出来としても完成度が高く、作者の言いたいことがおぼろげながらわかる。ただ“死者だから字が下手だ”など安易な言葉の使い方もあり、伝わってこないところがある。死者は日本人にとって特別なものであるが、この作品では簡単に使われ、途中うめるものがない。文化的風土の違いを感じた。
 訳者について一言。解説で、文化風土の違い、作品論をきちんと書いて欲しい、またその義務があると思う。

                                         キトリ

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1 コメント

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ささやかな一票 (ままりん)
2009-04-07 17:03:34
ん~いまいちの評判だったんですね。
所用で欠席したワタクシですが、意外と
スムーズに最後まで読みきりました。

「妖精の・・」が読みやすかったけど、「石の動物」と「大いなる離婚」?が秀逸だったなあ。あと表題の作品も。

現実と非現実の存在を絡ませて、ストーリーなどないようにも見えるけど、家族とか夫婦とか男女とか、澱のように日常の底にある倦怠感や感情のすれ違い、やるせなさ、みたいなものが浮かび上がってくる作品だと思う。

現実を描こうとしていない分、生々しさがなく
感情がくっきりと心に残り、共感を持たされるというか。決して明るくはなく、次々読みたいという気にはならないけど、異才の人だと思いました。
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