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5月の読書会 課題本『村田エフェンディ滞土録』

2008-06-02 00:37:03 | ・例会レポ
梨木香歩 著 角川書店 平成十六年四月三十日 初版発行
       初出「本の旅人」(2002年10月~03年10月号)に連載

 先月の課題本に引き続き、今月もトルコを舞台にした小説です。
『イスタンブールの群狼』の解説で言及されていたため、深い考えがあって推薦した課題本ではなかったのですが、とても好評で、講師からは読んでよかったとのお言葉も頂きました。
 今月は見学者の方が3人(女性2人、男性1人)もいらしていました。(やはり、映画『ジェイン・オースティンの読書会』公開の影響なのでしょうか? 新聞や雑誌などにも読書会が取り上げられることが最近多いみたい)なんとおも本の男性会員は一人も来ておらず、女性ばかり12名の出席でした。
 
★ちょっと、ジュブナイル的な作品なのか?子供っぽいかも?大変感動できるけれど、
感動的なのと自分が感動するかは別の話。
★オウムの使い方が、とってもうまい!
★文章は好き、うまい文章だと思うし、テンポもよい。
★昔読んで感動したからといって再読した時に感動できるとは限らないが、この本は二度三度読んでも感動できる。
★すがすがしい作品
★悩まないでなんでも受け入れる主人公が好みの男性。
★うまくまとまっている。
★いろいろな国の人が出てくるが、その特徴が誇張して書いてある。
★不思議な現象が起きるのは唐突な感じがした。
★村田さんが日本に帰ってきたときに、「つい最近までトルコにいたのに夢だったかのような感じがする」というようなところに共感。

講師からは

エルトゥールル号遭難事件後に日本から留学した人がいたという史実は確認できなかった。
フィクションだとすれば、なぜこの作品をこの時代設定にしなければならなかったのか? 
明治という時代は国の政権を握っているものが、徳川から薩長にかわり、日本をどう運営していくのか?ということを考えねばならない時代だった。
オスマントルコの末期を日本と二重写しにして、西洋と東洋がぶつかり合うところで、彼が何を得ていくか?ということを描くためではないか。
梨木香歩は思想的裏付けをもって自分自身の感性を積み上げている作家ではないだろうか。

今回は、男性の参加がなかったので、こんなに評判が良かったのでは?という意見がありました。例会に参加できなかった男性会員のみなさまは、ぜひブログのコメント欄に書き込みをお願いします。

私はといえば、この作品とても気に入りました。特に最後まで読むとぐっときました。最初は淡々としているのですが、ちょっと最後は泣きそうになってしまいました。
「私は人間だ。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない」という言葉をデミィトリスがいうところが好きでした。 
何度、読んでも感動できるということで、また読み返したくなる大事な作品になるのかなと思います。
梨木香歩さんの作品はエッセイも大変おもしろく、小説と重なる部分も多いのですが、お勧めです。
レポート:舞浜嵐子

来月の課題本はとうとうトルコから移動して、宇宙です!!
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1 コメント

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見学者の息子の感想 (ささやき女将)
2008-06-03 11:53:39
「講師がいて、色々と補足してくれるのがいいですね。楽しかった。」と言ってました。また海外留学を考えているので、会員としてではなく単発参加できれば、と言ってましたが・・。
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