昨日、駅前にある美容院に行ってきた。
このお店にお世話になるのは3回目だろうか。
私は来店するにあたって心に決めていたことがある。
『シャンプーをしてもらっているときに、かゆいところはないかと聞かれたら
正直にかゆいところを告げる』
ということを。
以前テレビで見たことがある。
関西の美容院と関東の美容院、
シャンプーのときにかゆいところを聞かれて
お客さんがどのような反応をするかのチェックだ。
関西の美容院ではほぼ全員がかゆいところをガンガン指摘していた。
一方関東ではほぼ全員が「大丈夫です」と答えていた。
関東では美容院から出てくるお客さんにインタビューを行った結果、
「かゆいところはあったけれど、なんとなく言いづらかった」
という意見が多かった。
テレビなのでどこまでが真実なのかは定かではないが、
いささか間違っているようにも思えなかった。
なぜなら私自身が「かゆいところはあったけれど、なんとなく言いづらかった」
と常々思っているからだ。
自分を変えるのだ。
大きな一歩を踏み出すのだ。
そんな気持ちで今回はシャンプーのときを待った。
美容師さんと呑気に会話をしている場合ではない。
これは戦いなのだ。
そう自分に言い聞かせ、
私が少し饒舌になってしまった会話のテーマ(ビアガーデンと日本酒に関して)で
盛り上げようとしてくれている美容師さんとの会話も
ぶった切り(嫌な客だ)、精神統一をはじめた。
カットが一通り終わって、
いよいよそのときだ。
シャンプー台に寝かせられ、
その時は刻一刻と迫る。
髪をお湯で湿らす。
シャンプー液を付ける。
泡立てられ、洗髪が始められる。
シャンプーしてもらっているだけなのに
心臓がバクバク(気持ち悪い客)だ。
別のシャンプー台の会話が聞こえてきた。
「かゆいところはありませんか?」
「大丈夫です」
腰ぬけどもめが。
私は今日生まれ変わる。ふふ。
そう思うと同時に頭のかゆいところを探すのに
意識を集中する。
かゆいところがないという理由でこの戦から撤退するわけにはいかないのだ。
臆病な自分とサヨナラするのだ。
意地でもかゆいところを探す。
いや、もはやかゆいところなどなくてもいいのだ。
ハッキリと言ってやるのだ。
そしてその時は訪れた。
「かゆいところはありませんか?」
「つ、つむじ周辺」
言いきった。
勝った。
そう思って安心した次の瞬間、
「つむじ周辺ですね?」
美容師さんから確認の言葉を投げかけられてしまった。
突然の出来事に焦った私は、
「あ、はい・・・すみません」
となぜか謝ってしまった。
「いえ、大丈夫ですよ」
美容師さんに「別に謝らなくてもいいですよ」というニュアンスで
やさしくフォローされてしまった。
負けた、と思った。
つむじ周辺を丁寧に洗われながら、
かゆいところをかいてもらっているという
天にも昇る気持ちよさと、
歯がきしむほどの悔しさと恥ずかしさが交錯する。
泣いていたのではない、
リンスが少ししみただけだ。
背水の陣、ノーガード戦法で挑んだ攻めのはずが、
相手が思わぬカウンターを被せてきたため、
防御しようとしてしまった。
自分はいつまでたっても自分だった。
不毛な戦いはもうやめようと思ったが、
失敗は誰にでもあることだ、
しかし2度同じ失敗は繰り返さない。
もう一度、次は臆せずハッキリと言いきってみせる、
「つむじ周辺だ」
と。
このお店にお世話になるのは3回目だろうか。
私は来店するにあたって心に決めていたことがある。
『シャンプーをしてもらっているときに、かゆいところはないかと聞かれたら
正直にかゆいところを告げる』
ということを。
以前テレビで見たことがある。
関西の美容院と関東の美容院、
シャンプーのときにかゆいところを聞かれて
お客さんがどのような反応をするかのチェックだ。
関西の美容院ではほぼ全員がかゆいところをガンガン指摘していた。
一方関東ではほぼ全員が「大丈夫です」と答えていた。
関東では美容院から出てくるお客さんにインタビューを行った結果、
「かゆいところはあったけれど、なんとなく言いづらかった」
という意見が多かった。
テレビなのでどこまでが真実なのかは定かではないが、
いささか間違っているようにも思えなかった。
なぜなら私自身が「かゆいところはあったけれど、なんとなく言いづらかった」
と常々思っているからだ。
自分を変えるのだ。
大きな一歩を踏み出すのだ。
そんな気持ちで今回はシャンプーのときを待った。
美容師さんと呑気に会話をしている場合ではない。
これは戦いなのだ。
そう自分に言い聞かせ、
私が少し饒舌になってしまった会話のテーマ(ビアガーデンと日本酒に関して)で
盛り上げようとしてくれている美容師さんとの会話も
ぶった切り(嫌な客だ)、精神統一をはじめた。
カットが一通り終わって、
いよいよそのときだ。
シャンプー台に寝かせられ、
その時は刻一刻と迫る。
髪をお湯で湿らす。
シャンプー液を付ける。
泡立てられ、洗髪が始められる。
シャンプーしてもらっているだけなのに
心臓がバクバク(気持ち悪い客)だ。
別のシャンプー台の会話が聞こえてきた。
「かゆいところはありませんか?」
「大丈夫です」
腰ぬけどもめが。
私は今日生まれ変わる。ふふ。
そう思うと同時に頭のかゆいところを探すのに
意識を集中する。
かゆいところがないという理由でこの戦から撤退するわけにはいかないのだ。
臆病な自分とサヨナラするのだ。
意地でもかゆいところを探す。
いや、もはやかゆいところなどなくてもいいのだ。
ハッキリと言ってやるのだ。
そしてその時は訪れた。
「かゆいところはありませんか?」
「つ、つむじ周辺」
言いきった。
勝った。
そう思って安心した次の瞬間、
「つむじ周辺ですね?」
美容師さんから確認の言葉を投げかけられてしまった。
突然の出来事に焦った私は、
「あ、はい・・・すみません」
となぜか謝ってしまった。
「いえ、大丈夫ですよ」
美容師さんに「別に謝らなくてもいいですよ」というニュアンスで
やさしくフォローされてしまった。
負けた、と思った。
つむじ周辺を丁寧に洗われながら、
かゆいところをかいてもらっているという
天にも昇る気持ちよさと、
歯がきしむほどの悔しさと恥ずかしさが交錯する。
泣いていたのではない、
リンスが少ししみただけだ。
背水の陣、ノーガード戦法で挑んだ攻めのはずが、
相手が思わぬカウンターを被せてきたため、
防御しようとしてしまった。
自分はいつまでたっても自分だった。
不毛な戦いはもうやめようと思ったが、
失敗は誰にでもあることだ、
しかし2度同じ失敗は繰り返さない。
もう一度、次は臆せずハッキリと言いきってみせる、
「つむじ周辺だ」
と。