おヒマでしたら、11月のフツーの生き物たち 9もご覧ください。
「フツーの生き物たち」、今回も昨年の11月にフツーに見掛けた生き物たちです。
リュウキュウズアカアオバト
2006年11月26日、奄美市名瀬おがみ山公園にて撮影。
いちおう、この『フツーの生き物たち』と『旅案内』を、「定番」と呼んでるんですが、昨秋からどうも滞りがちで、写真はセレクトして準備できてるんですが、文章のほうが追いつかない。
そこで前回は時事ネタを取り上げてみたんですが、別段どこからも苦情は無いようで、つーか、誰もそんなこと気にしちゃいないんだろうと。
それに味をしめて、今回も時事ネタです。
たぶん、大ネタになると思う。
1回で終わるかな?
お題は、『21世紀の火薬庫はロシア周縁部』。
読む気なくした? それならそれでよし。
リュウキュウズアカアオバト
2006年11月26日、奄美市名瀬おがみ山公園にて撮影。
2008年8月8日午後8時8分(中華人民共和国時間)に賑々しく開幕した北京オリンピックの影で、グルジア軍が同国の南オセチア自治州に軍事侵攻しロシア軍と衝突した、というニュースが埋め草みたいに報じられた。
グルジア、と言われて「ああ、あそこね」と頷ける人はそう多くはないだろう。
面倒かもしれないが、ここをクリックしてもらいたい。
右の青いのはカスピ海、左は黒海である。
北隣はロシア、南西はトルコ共和国、真南にアルメニア共和国、南東に接するのがアゼルバイジャンで、この2ヶ国の南はイランという位置関係である。
なお、北隣はロシアと簡単に紹介したが、実際は8つの共和国(事実上ロシアの属国)と5つの自治体が南部連邦管区という地域を構成している。
この8+5の自治体のうち、有名なチェチェン共和国ではロシアからの独立を求めて内戦状態が続いている他、ダゲスタン共和国でも独立派がテロ活動を行い、イングーシ共和国では独立派とロシア帰属派で内戦状態が発生(現在は燻っている)し、それに北オセチア共和国が巻き込まれて・・・という図に書いて説明してもなんだか判らない、判った気になるほど疑問が増えていきそうな地域である。
チャバネセセリ
2006年11月5日、宇検村宇検にて撮影。
20世紀の中頃から終わり近くまで、紛争とはイデオロギーの対立であった。
資本主義と社会主義の2大イデオロギーが対立し、そのどちらかに仲間に入れてもらわないと、誠治や経済の主張は何もできなかった。
現代の紛争は、民族対立と宗教対立である。
グルジアは紀元前にローマ帝国の支配下に入り、南隣のアルメニア共和国と共にキリスト教徒が絶対的多数を占める。
一方の南部連邦管区の13の自治体は、第2次大戦前後にスターリンによって生え抜きの住民たちが多くシベリアやカザフスタンに強制移住させられ、その後釜にロシア人が移り住んだ(時代はかなり前のことになるが、文豪トルストイもこの地方への移住を考えていたという)。
のちに移住させられた者やその子供らは故地への帰還を許されるが、土地は移住してきたロシア人のものとなり、帰還した者たちは山間地に住むことになった。
このため、この地方の民族別分布図を作ると、壮絶なまだら模様になる。
宗教は、ロシア系以外はイスラム教(古いスーフィズムが主だったが、近年はスンニ派が台頭)を信仰している者が多い。
民族は、国や自治体と同じ(13自治体とロシア)かそれよりも多い程度の数であり、生活基盤はあくまでも村の単位である。
マダラコオロギ
2006年11月2日、奄美市名瀬おがみ山公園にて撮影。
八百万(やおよろず)の神々と仏教が同居しているうえにクリスマスに浮かれ騒ぎ、なおかつ無宗教を標榜する多くの日本人にとっては、なんで宗教が違うくらいで戦争になるのかマッタク・チットモ・カンペキに理解できないのが標準なのだが、新旧の違いこそあれキリスト教に全身が浸かった状態の西欧とアメリカの一部の人にとっては、グルジアというのはイスラムの海に浮かんだキリスト教の孤島のようなものらしい。
東欧の崩壊とそれに続くソ連の瓦解を受けて、NATO(北大西洋条約機構)の拡大というのが欧州を巡る時事用語のトレンドになったことがある。
いちおう、2009年にアルバニアとクロアチアが加盟する決定が出て、永世中立国のスイスとオーストリア以外は中立宣言国のアイルランドと、旧ユーゴスラヴィアの大部分を除いてヨーロッパの全てが加盟しているが、どこから見ても『北大西洋』とは無縁そうな国も加盟を望んでいる。
ミノムシ
2006年11月2日、奄美市名瀬おがみ山公園にて撮影。
このグルジアが、その加盟立候補国のひとつである。
NATOの設立に当たって初代事務総長イスメイ(イギリスの元外相?)が言ったのが「アメリカを引き込み、ロシアを締め出し、ドイツを抑え込む」という公式発言。
グルジアが加盟すれば、ほぼ完全な《ロシア包囲網》が完成する。
当然、ロシアが黙っているはずもない。
グルジアにしてみれば、南にイラン・イラク、北にロシアというライオンと熊に挟まれた状況でもあり、《遠交近攻策》は孫子の兵法を読まなくても当然の選択と言うだろう。
このNATO加盟立候補も今回の軍事衝突の伏線になっている。
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「フツーの生き物たち」、今回も昨年の11月にフツーに見掛けた生き物たちです。
リュウキュウズアカアオバト
2006年11月26日、奄美市名瀬おがみ山公園にて撮影。
いちおう、この『フツーの生き物たち』と『旅案内』を、「定番」と呼んでるんですが、昨秋からどうも滞りがちで、写真はセレクトして準備できてるんですが、文章のほうが追いつかない。
そこで前回は時事ネタを取り上げてみたんですが、別段どこからも苦情は無いようで、つーか、誰もそんなこと気にしちゃいないんだろうと。
それに味をしめて、今回も時事ネタです。
たぶん、大ネタになると思う。
1回で終わるかな?
お題は、『21世紀の火薬庫はロシア周縁部』。
読む気なくした? それならそれでよし。
リュウキュウズアカアオバト
2006年11月26日、奄美市名瀬おがみ山公園にて撮影。
2008年8月8日午後8時8分(中華人民共和国時間)に賑々しく開幕した北京オリンピックの影で、グルジア軍が同国の南オセチア自治州に軍事侵攻しロシア軍と衝突した、というニュースが埋め草みたいに報じられた。
グルジア、と言われて「ああ、あそこね」と頷ける人はそう多くはないだろう。
面倒かもしれないが、ここをクリックしてもらいたい。
右の青いのはカスピ海、左は黒海である。
北隣はロシア、南西はトルコ共和国、真南にアルメニア共和国、南東に接するのがアゼルバイジャンで、この2ヶ国の南はイランという位置関係である。
なお、北隣はロシアと簡単に紹介したが、実際は8つの共和国(事実上ロシアの属国)と5つの自治体が南部連邦管区という地域を構成している。
この8+5の自治体のうち、有名なチェチェン共和国ではロシアからの独立を求めて内戦状態が続いている他、ダゲスタン共和国でも独立派がテロ活動を行い、イングーシ共和国では独立派とロシア帰属派で内戦状態が発生(現在は燻っている)し、それに北オセチア共和国が巻き込まれて・・・という図に書いて説明してもなんだか判らない、判った気になるほど疑問が増えていきそうな地域である。
チャバネセセリ
2006年11月5日、宇検村宇検にて撮影。
20世紀の中頃から終わり近くまで、紛争とはイデオロギーの対立であった。
資本主義と社会主義の2大イデオロギーが対立し、そのどちらかに仲間に入れてもらわないと、誠治や経済の主張は何もできなかった。
現代の紛争は、民族対立と宗教対立である。
グルジアは紀元前にローマ帝国の支配下に入り、南隣のアルメニア共和国と共にキリスト教徒が絶対的多数を占める。
一方の南部連邦管区の13の自治体は、第2次大戦前後にスターリンによって生え抜きの住民たちが多くシベリアやカザフスタンに強制移住させられ、その後釜にロシア人が移り住んだ(時代はかなり前のことになるが、文豪トルストイもこの地方への移住を考えていたという)。
のちに移住させられた者やその子供らは故地への帰還を許されるが、土地は移住してきたロシア人のものとなり、帰還した者たちは山間地に住むことになった。
このため、この地方の民族別分布図を作ると、壮絶なまだら模様になる。
宗教は、ロシア系以外はイスラム教(古いスーフィズムが主だったが、近年はスンニ派が台頭)を信仰している者が多い。
民族は、国や自治体と同じ(13自治体とロシア)かそれよりも多い程度の数であり、生活基盤はあくまでも村の単位である。
マダラコオロギ
2006年11月2日、奄美市名瀬おがみ山公園にて撮影。
八百万(やおよろず)の神々と仏教が同居しているうえにクリスマスに浮かれ騒ぎ、なおかつ無宗教を標榜する多くの日本人にとっては、なんで宗教が違うくらいで戦争になるのかマッタク・チットモ・カンペキに理解できないのが標準なのだが、新旧の違いこそあれキリスト教に全身が浸かった状態の西欧とアメリカの一部の人にとっては、グルジアというのはイスラムの海に浮かんだキリスト教の孤島のようなものらしい。
東欧の崩壊とそれに続くソ連の瓦解を受けて、NATO(北大西洋条約機構)の拡大というのが欧州を巡る時事用語のトレンドになったことがある。
いちおう、2009年にアルバニアとクロアチアが加盟する決定が出て、永世中立国のスイスとオーストリア以外は中立宣言国のアイルランドと、旧ユーゴスラヴィアの大部分を除いてヨーロッパの全てが加盟しているが、どこから見ても『北大西洋』とは無縁そうな国も加盟を望んでいる。
ミノムシ
2006年11月2日、奄美市名瀬おがみ山公園にて撮影。
このグルジアが、その加盟立候補国のひとつである。
NATOの設立に当たって初代事務総長イスメイ(イギリスの元外相?)が言ったのが「アメリカを引き込み、ロシアを締め出し、ドイツを抑え込む」という公式発言。
グルジアが加盟すれば、ほぼ完全な《ロシア包囲網》が完成する。
当然、ロシアが黙っているはずもない。
グルジアにしてみれば、南にイラン・イラク、北にロシアというライオンと熊に挟まれた状況でもあり、《遠交近攻策》は孫子の兵法を読まなくても当然の選択と言うだろう。
このNATO加盟立候補も今回の軍事衝突の伏線になっている。
そのうちつづく
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