雑誌『実務セミナー』の連載「レッスン実践講座」(2回目)の初校を返した。
タイトルは、「条例企画・条例指導の要点-つくる原課職員の基礎知識、支える法制担当の留意点-」である。今回は、原課と法制担当の両面から、条例のつくり方をまとめてみた。
内容的には、研修で話していることなので、まとめるのは特に苦労はない。それぞれの章の終わりに、エピソードを書いていて、これが楽しみでもあるが、今回の内容は、「Ⅱ.どこから手をつけるのか、何かは始めたらよいか」である。その1の「まずは「条例は使える」と信じること」である。この章は、条例の基礎を論じているので長くなり、今回は前半部分なので、エピソードなしである。
第1回目の発売は、今月25日ということで、どんな評価があるのか、興味深い。でも、第一法規は、読者の反応をどうやって把握するのだろうか。
ちなみに、第1回目のエピソードはこんな感じ。
【体験コーナー】池の周りを追いかけたことがあるか
市役所の採用試験には、判断推理や数的処理がある。たとえば、こんな問題である。
大きな池があり、A君が時速何キロで先にスタートした。15分後、B君が時速何キロで追いかけたら、どこで追いつくかという問題である。
こういう問題を採用試験で出す意味は、分からなくはないが、ただ言えることは、私は横浜市役所に26年いたけれども、池のまわりを追いかけたことは一度もなかったということである。むしろ、先輩から教わったのは、後を追いかけるのではなくて、先回りして待っていろ、それが自治体職員だと教わった。
この池の周りをどこで追いつくかといった試験をやめた自治体がある。神奈川県茅ケ崎市である。茅ヶ崎市の採用試験は、面接重視、人柄重視である。何度も面接をやる。
止めた発端は、職員採用の担当課長さんが、こういう試験問題を出しますからといって当時の服部市長のところへ持ってきたらしい。例の池の周りのような問題である。それを見た市長が課長に、「きみ、この問題解けるのかね」と聞いたそうだ。課長は、「いや、私は、解けません」と答えたので、「解けないものをどうしてやるの」ということになって、これまでの試験方法を止めたらしい。
服部さんから直接、聞いた話で、市長は冗談めかしていうが、地方分権によって、自治体のあり方が大きく変化し、それに呼応するかたちで職員採用を変えたものである。