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実態はどんどん進んでいるようだ。最近の記事から。
前号で、外国人拒否の論理は、「地元のお祭りにも積極的に参加する外国人から、私も消防団に入って、地域を守りたいといってこられたら、この論理は、あっという間に、崩れてしまう」と書いた。
以下の報道は、その例である。
「熊本地震の被災地では、海外から移住した外国人も、「第二のふるさと」の復興のため力を尽くしている。カナダ出身のレネイ・セントローレントさん(42)は、南阿蘇村の消防団員として不明者の捜索活動などに従事。「自分はカナダ人だけど、村の人のためなら心を日本人にできる。優しくしてもらったこの村に恩返しがしたい」と話し、車で寝泊まりしながら活動を続ける。
2007年に南阿蘇村に移住したレネイさんは、母国でレスキュー隊員を経験したことがあり、住民に誘われて消防団入りを決めた。本震が起きた4月16日未明は、ごう音とともに自宅の家具が全て倒れ、部屋は真っ暗に。レネイさんは消防団の制服やヘルメット、懐中電灯などをつかんで家を飛び出し、「大丈夫ですか」「けがはありませんか」と各世帯に呼び掛けて回った。
余震が続く中、別の村の避難所に身を寄せている日本人の妻(50)と中学2年の長男(13)のことも心配だが、レネイさんは消防団の活動を続けるため、南阿蘇村でひとり車中泊を続けている。「この村の人たちは心が温かい。みんなが安心するために頑張りたい」と話し、笑顔を浮かべた。」(jiji 2016/05/18-05:28)
四日市のケースでは、次のように言っている。
「ノウチ・セザールさんからは、消防団に入ったきっかけと、・・・。日本に住んでいる外国人が地域で活動する大切さについても話していただきました。」
「四日市市で暮らしていた頃に、住んでいた地域の県営住宅には高齢者が多く、若者が少なかったです。当時は両親と暮らしていて、ごみの分別、掃除やパトロールなどの地域行事に参加していました。いつもその様子を見ていた組長さんは、ある日家を訪ねてきて、消防団に私を入団させてもらえないかと両親に相談しました。消防団員になって地域を守る役割を果たすことは、誰にでもできることではないので、自治会は責任感がある人を必要としていました。私たちも地域の一員でしたので、私は喜んでその役を引き受けました。」
報道されたのは、わずかであるが、全国ではたくさんの例があるだろう。外国人を消防団員にできるかという議論は、実態のほうがずっと前に進んでいる。
当たり前だと思う。日本人が若くて、財政的に豊かな時代ならば、「外国人は何もしなくてもよい、日本人が火を消してあげるよ」と言う余裕があったかもしれないが、高齢化がますます進み、財政の3分の1が借金でやりくりしているわが国の現状では、とても、そこまでの余力がない。
外国人についても、地域において、責任を持ってもらわないと、地域や社会が回らない。そんな時代であるということでもあるが、そもそも、地方自治は、地域に暮らす人が、助け合い、協力し合う制度である。
その4もあります