松下啓一 自治・政策・まちづくり

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★自治基本条例でどうなるのか(つくば市)

2009-10-17 | 2.講演会・研修会
(2009年10月16日)
 午前中の授業を終え、つくばに向かった。好天に恵まれ、筑波山がきれいだった。予定が決まった当初は、終了後、筑波山麓の温泉に泊まろうかなどと、暢気なことを考えていたが、夜に小田原の市民の集まりが急遽入り、次の機会とすることにした。
 研修内容は、前回と同じであるが、今回はたくさんの質問が出た。このクラスの人たちの多くは、一度や二度は、市民対応で、つらい目を体験している。きわめて例外で、ほんの一部であるが、実際、酷い市民もいる。市民を信じろと言うのは簡単であるが、対岸の安全圏からの物言いでは、説得力がない。どうすれば、怖さを克服できるかを考え、そのシステムを提示するのが研究者の役割だと思う。そんなことで、たくさんの質問が出たのだと思う。私も、現場の実際を頭に入れながら話をした。
 今回の研修では、私が電車の中で、うつらうつらしたために、スタート5分前に会場入りということになってしまい、担当のMさんやIさんに心配をかけてしまった。一期一会という言葉を思い出した。心引き締め、いっとき、いっときを大切にしよう。
 夕方7時からの小田原の会議も含めて、この日も17時間働いてしまった。移動距離はどのくらいになるだろうか。翌日は流山の研究会で、またつくばエクスプレスに乗ってくることになる。PASMOの減りが著しい。

(2009年9月)
 自治基本条例は、私たち市民が、自分たちの住む自治体(役所だけではない)の経営を考える機会である。市民一人に、自由に考える機会が与えられた、きわめて珍しい条例でもある。
 市民から、この条例ができてどうなるかを聞かれることが多いが、答えは、この条例ができることで、誠意と責任が溢れたまちになるかもしれないし、まったく何も変わらずということもある。どうなるかは、自治体の関係者次第ということになる。その後の努力しだいということである。私は、前者の町になることを期待しているし、そうなるように、そのために時間を使おうと思っている。
 つくば市は、TXのみどりの駅から少し行ったところにある。谷田部というところに本庁舎がある。TXの開通で、庁舎は駅からは外れてしまったが、もともとは、こちらのほうが本家なのだろう。時間があれば、谷田部周辺に一泊してゆっくりと過ごしてみたいと思う。
 今日、一緒に議論した部長さんたちは、同世代ということもあって、昔に戻ったような気になった。しかし、部長さんたちは、遠慮していたのだろうか。質問は5,6問であった。本当は聞きたいことがもっとあったのだろう。また、行く機会もあるので、そのときは、遠慮なく声をかけてほしい。
 この日は、その後は、友人の通夜があった。誠意と責任を地で行く人だったので、さびしい一日となった。
 
 
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11 コメント

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講演ありがとうございました。 (つくばさん)
2009-09-17 13:57:02
昨日は,朝早くより遠路つくばの地までお出でいただきましてありがとうございました。
来年5月には,つくばエクスプレス研究学園駅前に市役所新庁舎がオープンいたしますので,より便利ななるかと思います。
自治基本条例につきましては,多くのサジェスチョンをいただき,これから作成するつくば市にとって有意義な研修になったと感じております。
来月もお出でいただくこととなっておりますので,また違う視点からご教示いただけるよう準備して,お待ちしておりますので,よろしくお願いいたします。
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ごくろうさまでした (マロン教授)
2009-09-19 06:30:32
お世話になりました。この前は、茎崎庁舎、今度は谷田部庁舎となりました。昨日、市民協働のTさんにお会いしたら、桜庁舎と書いてありました。それぞれの土地の名前に由来がありそうで、学研都市とは違う、多様な側面を見たような気がしました。また10月、お邪魔します。
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外国人参政権 (ebi)
2011-04-28 18:47:36
自治基本条例は、外国人参政権でもあります。市民の定義が、うやむやで、通勤通学、団体に所属しているだけでもOK。実際につくば市に住民登録している方に、迷惑になる行為もできると思います。 そして、外国人も。。
選挙できまった議員、市長も、この条例できめられた施策に対して、拒否できない恐れがあり、大変危険な条例です。なぜ、自民党の市長がいながら、こういう事を進めているのか、、、自治労、民潭、朝鮮総連、社民党、民主党がどのくらい力をいれているのでしょうか・
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外国人参政権? (マロン教授)
2011-04-28 22:40:21
 住民登録があってもなくても、国籍がどこでも、まちのためになる人の行為は、まちの人から尊敬され、逆に、たとえ日本人であって住民登録があっても、まちの迷惑になる行為は、まちの人から嫌がられ、相手にされない・・・そういうことではないでしょうか。一人ひとりが責任を持ち、まちのために活動する社会をつくるのが、自治基本条例の目的です(だから自民党でも何党でも、制定を進めるのでしょうね)。つくば市の条例づくりでは、こうしたことを大いに論じ、大いに意見を聞き合う場が用意されているようです。ぜひ、参加してみてください。
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自治基本条例 (つくば市の高校生より)
2011-06-05 12:54:44
こんにちわ,高校2年生です。僕は自治基本条例を自治体がこぞって制定するのに疑問があります。そもそも自治体の憲法って位置づけですが憲法は公務員による違法な公権力の行使から国民を擁護するための法律ですよね,自治基本条例と何の関係があるのか?それに各市町村の基本条例を読んでも,当たり前で美辞麗句な文句ばっかり,しかも法律に抵触した条文まで(厚木基地問題)ありました。地域力を高めたいなら,区会や自治体に住民が加入促進するために予算を使ったほうかいいのでは?今まで制定された条例と今後制定された条例は自治基本条例の条文に縛られ,融通性がなくなるのではないか?外国人参政権容認は,宗教や価値観の違いから適切でない地方公務員の公権力の行使の可能性につながるのではないか?(最近,判例法により外国人参政権はみとめられましたが)疑問だらけで条文解釈がひとつひとつが難しく夜眠れません。例えば,尊重するとはどういうことか?自治とはどういうことかです。僕が出した結論のひとつに自治基本条例はあまりにも生活圏のあらゆる分野に拡大し専門化した行政がもうお金もないし専門的知識も追いつかないしあんたら勝手に地域まとめてやっててよ,的半分な投げやりに聞こえました。うまくまとまらないですいません。
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なぜ自治基本条例なのか (マロン教授)
2011-06-05 21:21:03
こんにちは。
たしかに、もともと憲法は、権力から国民を守るために制定されました。18世紀のことです。21世紀の今、それでいいのかというのが私の問題意識です。さらに、自治体の場合は、国とは違うので、「憲法」のありかたも、違うと考えています。
条例づくりよりも他に予算を使ったらという指摘は重要ですね。自治基本条例の本質は、文化づくりです。単に条文をつくるだけならば、意味はありません。
つくば市では、たくさんのワークショップの機会が用意されています。時間があったら、参加して、思っていることを話してみてください。期待しています。
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マロン先生解答ありがとうございます感謝 (つくばの高校生です)
2011-06-12 13:35:08
つくば市のワークショップは部活があるので行けないです。先週の土曜日,法政大学の行政作用法の講義にまぎれて,教授にいろいろ聞いてみました。大学の講義ってハーバード白熱教室みたいかと思っていたら淡々としていて,眠かったです。結果は自治基本条例はなくてもいいんじゃない,なくても自治体は今まで運営できたでしょ?制定すれば目標ができて少しは変わるかもしれないけど,一部の市民が一生懸命になるだけで,大多数は無関心だよ。広域合併を機に自治基本条例は廃止されている自治体もあるし,でした。せっかく飯田橋まで行ったのにです,でもひとつ収穫がありました。それば行政コストのことです。行政計画の作成や審議会やコンサルに諮問・委託する際,コンサル料としてかなりの予算がかかる。つくば市には文系・理系を問わず多くの専門家がいて,知識・知恵としての総力としてのストックはすごいものがある。自治基本条例制定を機に,地域力を高めれば無償もしくはあり得ないくらいの安いコンサル料で最先端かつ有意義な情報が集まる。情報をストックからフローへ転換することによって,安価で容易そして迅速に情報を引き出し行政運営に活用できる可能性があるということです。なるほどです,そうすれば世界中のありとあらゆる問題がつくば市でスパコンのように処理できるかもです。つくば市は総合コンサル都市として世界中から財源を稼ぎ,その財源を住民に還元する。住民基本条例はそのための足がかりとなり得る。僕の今回の結論です。最後に質問ですが先生はロマンテック,理想主義者なんですか?(マロン)
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知識・知恵のストック (マロン教授)
2011-06-15 10:37:02
 こんにちは。
 つくば市に限らず、日本の知識・知恵のストックは、大変なものだと思っています。特に、普通の市民が持っている知識・知恵の層は、とても厚く、これは飛ぶ鳥の勢いの中国にもどこにも、負けないものですね。それを活かさない手はない、それしか、私たちが世界から尊敬される資源はないというのが、私の認識です。それを民主主義の学校である地自治で改めて再認識し、引き出そうというのが自治基本条例ですね。否定や排除では、この力は、到底、出てきません。
 今、私たちは、尊敬されて生き残れるかどうかという岐路に立っている、ここままではやばいと考える私は、悲観主義者?なのでしょうか。
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マロン教授お久しぶりです(^^♪ (つくば市の高校生より)
2011-09-11 10:25:12
 こんにちは,マロン教授。またまた回答サンクスです。残暑が厳しいですね。6月から9月までの3ヶ月でうちの高校の仲間5人と一緒につくば市自治基本条例(高校生バージョン)を作ってました。前文+全41条です。多くの他の市町村の自治基本条例を比較・失敗を検証して作りました。5人とも1つ以上他の自治体にはないオリジナルの条文を絶対もりこむことを条件にしました。僕のオリジナルの条文は 10条(市民の知識と知恵の尊重)つくば市はつくば市民の知識や知恵が公序良俗に反しないかぎりこれを尊重する義務がある。また,つくば市民はお互いの知識や知恵を認め合い,尊重する権利がある。です。つくば市民の様々なスキルを生かし,知識や知恵を出し合いみんなでつくば市を発展させようという趣旨です。5人での議論は楽しい作業でした。最後に,僕は能天気な性格ですので,これからの日本を明るくする権利があります。笑 
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自治基本条例・高校生バージョン (マロン教授)
2011-09-11 20:49:57
 こんにちは。
 たくさんの例を見ていますが、高校生が集まって、自治基本条例をつくるなんて、はじめてみました。すごいですね。
 第10条は、なかなかいいですね。私も同感です。自治基本条例については、賛否どちら側からも、決めつけ=思考停止が目立ちますが、柔軟さが、溢れていていいですね。ぜひ、市役所へ連絡してください。
 日本が、尊敬される唯一の道は、排除や否定ではなく、受容、柔らかさだと思います。
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