自治体結婚政策の確立が必要になってきたように思う。
多摩市における子ども・若者政策の議論の中で、その必要性を感じるようになった。
1.かつて結婚(婚活)は、行政課題とはいえなかった。
・もともとは、男女の問題や家庭の問題という民事には行政不介入である。
・ところが、放置できない問題も増えてきて、法制化が進められ、介入され始めた(ドメスティック・バイオレンス、児童虐待等)
・ただ、結婚(婚活)までは、それが行政課題として最近まで認識されてこなかった。
2.最近では、行政課題として認識され始めた。
・国は、少子化、晩婚化や未婚化が進む中、社会の持続可能性という観点から行政施策の対象とするようになってきた。
・かつて結婚は,家族・親族の責任であり,地域社会や 職場などの共同体の責任でもあった。適齢期なのに一人でいると、世話好きの近所の人や会社の上司が、おせっかいを焼いてくれた。銀行などは、行員のお嫁さん候補として、女子行員を採用した。
・1990年代以降、市民意識や行動様式の変化、経済環境の悪化等によって、親族・地域社会・会社などの身近な共同体によるマッチメイキング機能は、衰退した。
・女性の高学歴化、社会進出によって、経済力のある男性の供給不足と、共同体型結婚システムの衰退は、相手探しのコストと困難性を倍加させた。
・民間企業による婚活紹介事業開発と同時に、行政による結婚支援事業への期待も生まれてくる。行政にとっては、少子化、未婚化、晩婚化も、結婚支援事業への参入の後押しとなる。
3.行政による結婚支援事業
(1)国の施策 新婚新生活支援事業
自治体が一定の要件を満たした婚活支援を実施する場合、「地域少子化対策重点推進交付金」(内閣府子ども・子育て本部管轄)が交付される。
同交付金制度は、結婚・妊娠・出産・育児の「切れ目ない支援」の実施を通じて地域における少子化対策の推進に資することを目的に、①結婚に対する取り組み、②結婚や妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てなどを支援する国の結婚新生活支援事業のひとつである。
(2)市区町村における結婚支援事業
・報告書によると、「現在行っている」と答えた市区町村は32.5%(552団体)で、全国の約3分の1では何かしらの取り組みがなされている。
「結婚支援事業を行う理由・目的」では、「家族、地域、職域が果たしていた結婚(縁結び)機能の低下」が最も多く(350団体)、次いで「人口の減少による地域全般の活力の低下」(276団体)、「地域産業の担い手不足」(226団体)となっている。
・神奈川県内の市町村が行っている事業は
①出会いのイベント
②セミナー
③新婚世帯への経済的補助(清川村では、①結婚を機に新たに村内に中古住宅を取得する際の費用又は住宅物件に係る賃料等、②結婚を機に引っ越しをした際の経費で業者に支払った費用。1世帯あたり上限30万円)
(3)担当課はどこか
・甲府市 市民部 市民協働室、人権男女参画課、女性活躍推進係
・富士吉田市 まちづくり部 まちづくり戦略課
・都留市 市民部 市民課 市民窓口担当
・山梨市 企画財政課 まちづくり企画担当
・韮崎市 総合政策課 人口対策担当
・上野原市 市社会福祉協議会
・早川町 福祉保健課
・富士川町 政策秘書課 秘書担当
・小菅村 村教育委員会
婚活政策は、いろいろなところがかするが、それが端的に現れている。
4.自治体結婚政策の論点-結婚政策の担い手、施策手法等
・結婚政策は、自治体政策の射程に入って来ているが、だからといって、誰が主として担うのか、どのような施策が必要なのかは別の議論が必要になる。
・行政の直営というのは、手に余るだろう。地域によって、公共組織、NPO、民間企業への委託などいろいろだろう。
・施策も、支援施策が中心になる。主な内容は、①出会いのイベント、②セミナー、③新婚世帯への経済的補助等がある。
・これらを政策(方針)として決めなければ、動けないから、結婚政策への関与、施策実施の担い手、その際の手法等を定めるのが、自治体結婚政策の中心的な内容になるだろう。
5.自治体結婚政策の論点ーLGBTとの整理
もう一つ重要なのは、LGBT施策との整理である。
(1)結婚政策は、結婚したい、しかし出会いの機会がないという市民ニーズに応じたものでLGBTのパートナシップ事業とは矛盾しない。
(2)しかし、行政が結婚を強制するのではないかと言われるのをおそれて、結婚政策の推進に二の足を踏むところも出てくるのは十分予想される。役所の常で、結局、何もしないという最悪パターンになる。
そこで、
・結婚政策の基本的考え方、実施手法について、LGBT施策とは矛盾しないことを明確にし、
・矛盾しない具体的政策手法を示すことで、
・安心して結婚政策に取り組める条件整備をすること
これも、結婚政策の重要な内容になるだろう。
多摩市における子ども・若者政策の議論の中で、その必要性を感じるようになった。
1.かつて結婚(婚活)は、行政課題とはいえなかった。
・もともとは、男女の問題や家庭の問題という民事には行政不介入である。
・ところが、放置できない問題も増えてきて、法制化が進められ、介入され始めた(ドメスティック・バイオレンス、児童虐待等)
・ただ、結婚(婚活)までは、それが行政課題として最近まで認識されてこなかった。
2.最近では、行政課題として認識され始めた。
・国は、少子化、晩婚化や未婚化が進む中、社会の持続可能性という観点から行政施策の対象とするようになってきた。
・かつて結婚は,家族・親族の責任であり,地域社会や 職場などの共同体の責任でもあった。適齢期なのに一人でいると、世話好きの近所の人や会社の上司が、おせっかいを焼いてくれた。銀行などは、行員のお嫁さん候補として、女子行員を採用した。
・1990年代以降、市民意識や行動様式の変化、経済環境の悪化等によって、親族・地域社会・会社などの身近な共同体によるマッチメイキング機能は、衰退した。
・女性の高学歴化、社会進出によって、経済力のある男性の供給不足と、共同体型結婚システムの衰退は、相手探しのコストと困難性を倍加させた。
・民間企業による婚活紹介事業開発と同時に、行政による結婚支援事業への期待も生まれてくる。行政にとっては、少子化、未婚化、晩婚化も、結婚支援事業への参入の後押しとなる。
3.行政による結婚支援事業
(1)国の施策 新婚新生活支援事業
自治体が一定の要件を満たした婚活支援を実施する場合、「地域少子化対策重点推進交付金」(内閣府子ども・子育て本部管轄)が交付される。
同交付金制度は、結婚・妊娠・出産・育児の「切れ目ない支援」の実施を通じて地域における少子化対策の推進に資することを目的に、①結婚に対する取り組み、②結婚や妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てなどを支援する国の結婚新生活支援事業のひとつである。
(2)市区町村における結婚支援事業
・報告書によると、「現在行っている」と答えた市区町村は32.5%(552団体)で、全国の約3分の1では何かしらの取り組みがなされている。
「結婚支援事業を行う理由・目的」では、「家族、地域、職域が果たしていた結婚(縁結び)機能の低下」が最も多く(350団体)、次いで「人口の減少による地域全般の活力の低下」(276団体)、「地域産業の担い手不足」(226団体)となっている。
・神奈川県内の市町村が行っている事業は
①出会いのイベント
②セミナー
③新婚世帯への経済的補助(清川村では、①結婚を機に新たに村内に中古住宅を取得する際の費用又は住宅物件に係る賃料等、②結婚を機に引っ越しをした際の経費で業者に支払った費用。1世帯あたり上限30万円)
(3)担当課はどこか
・甲府市 市民部 市民協働室、人権男女参画課、女性活躍推進係
・富士吉田市 まちづくり部 まちづくり戦略課
・都留市 市民部 市民課 市民窓口担当
・山梨市 企画財政課 まちづくり企画担当
・韮崎市 総合政策課 人口対策担当
・上野原市 市社会福祉協議会
・早川町 福祉保健課
・富士川町 政策秘書課 秘書担当
・小菅村 村教育委員会
婚活政策は、いろいろなところがかするが、それが端的に現れている。
4.自治体結婚政策の論点-結婚政策の担い手、施策手法等
・結婚政策は、自治体政策の射程に入って来ているが、だからといって、誰が主として担うのか、どのような施策が必要なのかは別の議論が必要になる。
・行政の直営というのは、手に余るだろう。地域によって、公共組織、NPO、民間企業への委託などいろいろだろう。
・施策も、支援施策が中心になる。主な内容は、①出会いのイベント、②セミナー、③新婚世帯への経済的補助等がある。
・これらを政策(方針)として決めなければ、動けないから、結婚政策への関与、施策実施の担い手、その際の手法等を定めるのが、自治体結婚政策の中心的な内容になるだろう。
5.自治体結婚政策の論点ーLGBTとの整理
もう一つ重要なのは、LGBT施策との整理である。
(1)結婚政策は、結婚したい、しかし出会いの機会がないという市民ニーズに応じたものでLGBTのパートナシップ事業とは矛盾しない。
(2)しかし、行政が結婚を強制するのではないかと言われるのをおそれて、結婚政策の推進に二の足を踏むところも出てくるのは十分予想される。役所の常で、結局、何もしないという最悪パターンになる。
そこで、
・結婚政策の基本的考え方、実施手法について、LGBT施策とは矛盾しないことを明確にし、
・矛盾しない具体的政策手法を示すことで、
・安心して結婚政策に取り組める条件整備をすること
これも、結婚政策の重要な内容になるだろう。