先月は、計10回のヨガ教室にきてくれた、79歳のTさん。福島県の会津若松で生まれ、東北大にいた御主人と出会い結婚し、今年2月、50年間人生を共にした御主人を見送った。御主人はパーキンソン病で、25年間病気と闘ってきた。現代医学のおかげで、本人の苦しみは置いといて、精一杯延命した。Tさんは、ベッドの横で一日何時間も座ったままだった。電車の乗り方も忘れてしまったくらい、この13年間出かけなかった。私のスタジオを訪れ、”私にできる事あるかしら”と訪ねてくれた。簡単なストレッチヨガ教室がありますよ。そしてTさんは通ってくださることになった。Tさんは練習記録に”身体が伸びてうれしいです。”この足がもうちょっと伸びるように努力します。”などいつも前向きな言葉が書かれている。”若い人の足を引っ張らないかしら”などと言って、開脚し前屈すると、両脇にいた20代の女性たちより柔らかかったりする。”これから一人で、できる限りしっかり生きていきたいから、鍛えなくちゃね”という。いくつになっても前向きで誠実な生き方のTさんに、おいしい煮物を頂いた。
坂口せつ子
2004年平成16年7月1日木曜日
高崎市民新聞連載より転載
坂口せつ子
2004年平成16年7月1日木曜日
高崎市民新聞連載より転載
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