めざめていても夢はみる

ぼくはいつまでもさまよいつづける、
夜が明けても醒めない夢のなかを…

連載『夢からさめる』第14話

2015-07-27 15:47:36 | 連載駄文



県境の事務所の変死体は語る。人工芝について、とうとうと。
彼曰く、人工芝業界は現在発展途上で、いまが参入の絶好のチャンスであるらしい。さらに自分の考えた商法ならば、絶対に商売は上手くゆき、もうかる。
住宅街の公園の変死体は、一応真面目な表情で事務所の変死体の話を聞いている。
「だからね、手伝って欲しいんだよ」
なんとなく想像はついていた。こんなことではないかと。
公園の変死体は少しだけ考えたふうな間をおいてから答える。
「面白そうですね」
事務所の変死体はニヤリとして、決めゼリフのように云う。
「5年後には、世界の人工芝の80パーセントは必ずおれたちのものになる! もうけようぜ‼︎」

女性店員が酒を運んでくる。ふたつの変死体がまたふざける。
と、事務所の変死体がトイレに立ち、部屋を出るなり、公園の変死体は云った。
「あいつホントにクソだな!」
と。そして卑しく笑った。




ある日の未明、あるさびれた地方都市にある、どこにでもあるようなつまらない自衛隊駐屯地の裏口で、男が倒れているのが発見された。


つづく





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