歌うように語ろう

観劇や観戦(主にフィギュアスケート)等について語るブログです
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筋書きのないドラマ

2012年01月03日 | スポーツ全般

関東で生まれ育った者として、正月二日三日に毎年開催される箱根大学駅伝は必ず視聴する、いわば正月の風物詩のような位置づけです。

残念ながら私の出身大学はついぞ出たことがない(1回くらいあるかもしれませんが)のですが、毎年ゴールを目指してひた走る彼らの姿には感動します。襷に込められた思いや彼らがこの大会までに費やしてきたであろう日々を思うと、どの大学も応援したくなります。

それにしても思うのが、駅伝に代表される多くの競技は毎回どこがどのように勝ち、どんな走りを見せるのか当然ながらふたを開けてみるまでだれも分からず、それが故にいろいろ起こる快進撃やアクシデントに一喜一憂するというスポーツの醍醐味を味わえるということです。

スポーツは筋書きのないドラマであると誰が言ったか知りませんが、本来はどの競技もこうであるべきです。改めて、元審判の驚くべき告発「アイスダンスは競技前に順位が決まっている」「まともにジャッジしているのは10%」などという文言が飛び出すフィギュアスケートの異常さが浮き彫りになります。

年々、フィギュアスケートの人気が下落傾向にあるのは(今のところ日本を除く)ISUやジャッジたちが無理に試合をコントロールしようとすることで生じる歪さも大いに寄与しているのではないかと私は思います。

強い選手がいれば、メダルはその選手に集まりがちになるかもしれません。しかし、選手も競技者以前に一人の人間です。コントロールしなくても、好不調の波は必ず誰にでも訪れます。絶対王者(もしくは女王)を脅かす有力選手が生まれるように選手を健全に育成する手助けをするのが各国スケート連盟の仕事であり、各大会が健全かつ公正に運営されるように監視監督していくのがISUの仕事のはずです。

相変わらず好き勝手し放題の審判団を監視するための組織もあまり力を持たず、形骸化しているような現状では日本でもフィギュア人気はスター選手たちの引退によって大きく下落しそうです。そうなってから慌てても遅いのですが、日本スケート連盟やISUはどこまでそのことについて考察しているのでしょうか?

私は好きな選手が何人もいてそれぞれ応援していますが、何よりまだコンパルソリーがある時代からフィギュアスケートという競技そのものが大好きでした。しかし、このまま異常な状態が進んでいくならば、多くの人と同じようにこの競技への失望とともにいつか背を向けたくなるのではないかと懼れをを抱いています。

公正であれば、誰が勝っても納得できます。どの選手にも適正なジャッジングを。それは無理な注文でしょうか?せめて旧採点時代のようにジャッジの国名だけでも公開してほしいものだと常々願っています。


ジョアニー・ロシェットさんのコメント@WFSより

2012年01月03日 | フィギュアスケート

年末年始のバタバタで、なかなか読めていなかったワールドフィギュアスケート(以下WFS)51号に、2ページを費やして浅田選手のご母堂ご逝去の記事と浅田姉妹のコメント、そしてジョアニー・ロシェットさんからのメッセージとライター田村明子氏のコメントが掲載されていました。ロシェットさんのメッセージは英語→独自和訳で一部紹介されているブロガーさんもあったようですが、田村氏による和訳も読みやすいのでロシェットさんのコメントのみ転記します。なお、文面から見るに、浅田選手が全日本参加表明前に発表したもののようです。

「悲しみというのは強烈な体験ですが、人がそれを乗り越える力もまた強いものです。真央とこれまで同じ大会で競ってきて、彼女がどれほど強い人か私にはよくわかっています。

彼女のことは、スケーターとして、競技者として、そして人間としていつも尊敬していました。2011年の夏に津波の被災者のために行われた八戸でのチャリティーショーに招かれたとき、彼女はとても心の広い人間であることを実感しました。

バンクーバーで私が母を失ったとき、スケート関係者とファンの方々が私を支えてくれました。ある意味で、私の人生にはスケートという、愛するものがあったことがすごくラッキーだったと思っています。

私のスケートの夢は母といつも共有していたものだったので、氷の上に出るたびに彼女のことを思い出します。でもその一方で、このような出来事に遭遇すると、スケートは単なるスポーツなのだということを再認識するという一面もあります。

真央がこれから何をしたいにしても、人はそれぞれ悲しみの表現の仕方が違うことを私たちは忘れてはなりません。

彼女が立ち直るまで必要な時間とプライバシーをきちんと確保できますように。そして私から、彼女へ愛とサポートを送ります。」

 

皆様ご存じのとおり、ロシェットさんはバンクーバー五輪のわずか2日前にお母様を亡くされています。ご臨終に間に合わなかったことといい、浅田選手の心境をより深く理解できる人のうちの一人であることは間違いないでしょう。後半の二行に、ロシェットさんの浅田選手に対する深い思いやりといたわりが込められていることがよくわかります。

残念ながら、異国の地で心配する彼女の思いを踏みにじるように、浅田選手への心無いバッシングや行き過ぎたプライバシー侵害をしながらの報道は後を絶ちません。それでもなお、浅田選手が気力を振り絞って全日本で女王に返り咲いたのはすでに皆様ご存じのとおり。

浅田選手を取り巻くのは心無い悪意ばかりではなく、多くの人の(大なり小なり程度の差こそれ)サポートがあり、むろん家族の支えもあるでしょう。その一つとして、海外のよき理解者代表としてロシェットさんのメッセージをご紹介しました。