1年に1度必ず歯茎が化膿して痛くなるため
子供の頃から通っていたU歯科医院の腕に何となく不信感を持ち
現在のこのK歯科クリニックに変えたのは、亡き義母のとても親しい友人のご子息が
私の経営していた会社のすぐ近くに開業したのでよろしく、という
義母の一言があったからです。
それがいつのことだったか、はっきり覚えてはいませんが
約15年前、私が50歳の頃だったと記憶していますので、当時
K先生の年齢は30歳台後半から40歳台前半くらいだったものと思われます。
(K歯科クリニック外観)
付き合い出した当初は、自然歯をできるだけ残す方針に沿い
これ、つまりは歯周病(=歯槽膿漏)の治療をかなり年月をかけてやってもらったおかげで
“年に1度の恒例”は見事になくなって約10年持たせることができたのですが
X線画像の白いモヤモヤが黒っぽく変わる様子はなく
進行を遅らせただけで快方の見込みはないとの結論に達してしまい、これ以上
歯を支える骨が溶けて痩せる前にインプラントを入れることになったものです。
ちなみに、自覚症状が出てきている歯周病では
すでに歯を支えている骨(歯槽骨)が溶かされてしまっていて
この骨を元通りにすることは現在の最先端技術を用いたとしても非常に難しく
ある程度以上進行してしまった歯周病に対しては成すすべがないというのが
今の歯科医療の現実だそうで、「健康だったときの状態に戻す」のではなく
「これ以上進行しないようにする」ことが治療の目的になるそうです。
そう言えば、変形性膝関節炎の治療の際にも
整形外科の I 先生から同じようなことを言われたことがありました。
一言で曰く、「歳は元に戻せない」
ところで、以前のかかりつけ医Uからは治療の説明など一切されたことがなく
一方、K先生はいわゆるインフォームドコンセプトを必ず行なうため
かなりの信頼感を持つようになっていたことは事実で
この失敗(と私には思える)についてもそれほど頭に来ていたことはありませんでした。
埋め込んだフィクスチャー本体は年に1、2回撮るX線画像と
1年くらい前に行なった打音検査でしっかり骨に接合していることは確認されていますので
フィクスチャーが抜けてしまうような重大な欠陥・失敗とは思えなかったですし
分割してからは外れてもテフロンテープを噛み込んでその場しのぎが出来たからです。
ただ、例えばインプラント周囲炎などを今後起こし、治療のため外す必要がある場合は
今のを破壊しなければならないというのが“完全固定”をしない理由だと
説明を受けていましたが、これほど何度も外れるのになぜ頑なに避けるのか
この部分は結局、よく理解できないままでした。
そして今回、9月の定期メンテナンスの直前に外れて
その時に接着したのに、多分、今まで最短の2カ月もしない11月にまた外れて
これまで“緊急用テープ”でしのいできたのを繁忙期の前に直してもらうべく訪れるに当り
「その時はその時、15万円の新たな出費もやむを得ないので今回は
カッチリとくっ付けてください」と強く申し出る覚悟を持って伺ったのでした。
(Sさんが予約・受付・会計担当)
予約の時点で受付のSさんに「また外れちゃった…」と告げていたので
K先生にも当然、伝わっていたのでしょうが
診察室に入るや否や、先生が開口一番、口にしたセリフに唖然。
「技工士とよ~く相談したら1万5千円で外れなくなる方法がありました。
義歯に穴を開けネジで固定するのです!」
(なんだ、それが出来るの?)
「型取りした後1回外して
1週間後に出来上がりますので2回の通院で終わります」
(そんな簡単なの! なら、なぜもっと早くそうしてくれなかったの !?)
接着剤ではなくネジで固定する方法が元々存在することは以前から
ネットで調べて知っていて、今まで一度もこれを提案されたことがなかったのは
私の場合、元々は連結していた2本を分割したため
それが出来る作りになっていないのだろうと勝手に思っていたのです。
実際、半年ほど前には「ネジ止めには出来ないのですか?」と
1度は尋ねてみようと思い、口から出かかったのを抑えたことすらあったのに…。
(今まで苦労したのはなんだったのか!?)
心の中でこれまでに培われた信頼感がちょっと揺らぐのを感じながらも
これでいつ外れるのか不安を持ちながら暮らすことから解放されると思うと
つい嬉しさがこみ上げて来てしまう気持ちを禁じ得ない私がいました。
(続く)