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未だに8名の方々が行方不明の折にお金のお話を持ちだすことに
少々気が引けることは確かではあるのですが
こうした情報を共有することでこれから迎える本格的な紅葉の季節に
ここ長野県を訪れる観光客の皆様の注意喚起に繋がればと願っています。
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こと山岳遭難に関しては、頻度が少ない割にひとたび起これば
大がかりな救助活動が必要なため、警察や消防では十分な設備や人員が
予め揃えられないのは止むを得ないというものです。
山で遭難した人の捜索には最低でも7~8人の人員が必要とされますが
捜索エリアが広く多くの人員が必要なのに確保できない場合は
山岳遭難対策協議会や山小屋の人など、山の知識・経験が豊富な
民間の人に協力を仰ぎ合同で救助に当たることになります。
せいぜい数日で打ち切られるという公的機関の捜索では救出できず
その後も続ける場合なども民間に依頼しなければなりません。
また、行政のヘリコプターが点検や別件での出動によって使えない場合や
負傷の状況などにより大事を取って
民間のヘリコプターをチャーターする場合も多くあると聞きます。
こうして民間に協力を求める場合、緊急時は例外があるとは言え
まず手続きとして原則、遭難者の家族に費用負担の了解を取ることになります。
その大まかな金額とは…。
【捜索隊(日額)】
出動手当:3万円(雪山は4~5万円)×人数
諸経費(食事、用具、交通、宿泊等):2~3万円×人数
つまり、夏山5~6万円・冬山6~8万円×人数
【救助ヘリ(東〇航空の一例)】
①チャーター料 511,500円/時間
(遭難現場での救助作業料金)
②空輸料 467,900円/時間
(遭難現場近くのヘリポートまでの回送料金)
③スタンバイ料 300,000円/件
(通常物輸業務を中断して遭難救助に向かうため
物輸依頼主への補償と調整費用、パイロット・整備士などの調整料)
④滞留料 297,000円/時間
(機体が現場近くのヘリポートへ入ったが、天候や
遭難現場での救助活動で待機が3時間を越えた場合
1日2時間分を限度として請求されます)
⑤夜間滞留料 71,700円/泊
(滞留が夜間に及び1泊あたりの料金)
・滞留、夜間滞留などを考慮しないで、とりあえず1時間
遭難救助や捜索活動をやってもらうと①+②+③=約128万円
・悪天候だったり、救助が困難な場所だと飛行時間が延びてしまいます
夏山、8人の捜索隊、ヘリ1時間の捜索の場合…
捜索隊:5万円×8人=40万円
ヘリ:128万円
つまり、発見・未発見の結果に関係なく
1日当たり合計168万円の捜索費用がかかります。
遭難者の救助では、一律に救助費用がかかるのに
公的な救助隊が出動したら国や地元自治体の税金でまかなわれ
民間救助隊の場合には当事者の負担になるというのは、なんとも不公平な話です。
また一方で、長野県では昨年の遭難者のうち83%が県外者でしたので
「いくら公務とは言え、普通に暮らしている一般市民の安全を守るならともかく
危険地域にわざわざ入り込んで勝手に遭難してる人々の面倒をみるため
なぜ地元の税金が使われるんだ!?」という声が上がるのも
財政が困窮する昨今では無理からぬところ。
この問題を初めて公に取り上げたのは以前の県知事、かのT氏で
行政ヘリコプターによる山岳遭難救助の有料化をぶち上げましたが
落選後いつの間にか立ち消えになってしまいました。
代わって、今度は富山県警が行政ヘリコプターの有料化を
示唆する見解を示しましたが、こちらも今のところ進展は見られないようです。
こうした外野の話はともかくとして、御嶽山ではすでに13日間
警察・消防・自衛隊による民間では到底対応できないであろう危険な捜索が
連日500~1000人規模で続いています。
あれほどの大型ヘリの費用は不明ですし
そもそも民間への依頼はあり得ないのであまり意味がないかもしれませんが
参考までに、敢えて小型ヘリ3機に置き換えて計算してみると
夏山・民間捜索隊500人・民間へり6時間での大体の捜索費用は
5万円×500人=2500万円
51万円×6時間×3機=918万円
つまり、捜索費だけで最低でも
1日当たり約3400万円、13日間では実に4億4200万円になるのです。