・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3000m超の御嶽山頂がいつ冠雪してもおかしくない季節になり
これまでの2倍、1000人を超す人数を投入して台風一過
残った7人の行方不明者の捜索を再開するそうです。
そんな折、不謹慎を承知で被害に遭われた方の
保険金が支払われる〇、支払われない× を探ってみます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
生命保険金は〇
自然災害のうち「台風」はOKなのに
大規模になる可能性が高い「地震・噴火・津波」による被害は
保険金を支払わない「免責」にされているのですが
生保各社は今回、これを適用しないことをすでに発表しています。
東日本大震災でも同様の対応が取られました。
通常、生命保険の死亡保険金には普通保険金と災害死亡保険金の2種類があります。
たとえば、死亡保険金が「病気死亡1000万円、災害死亡3000万円」となっている場合
1000万円が普通保険金、災害死亡時に加算される2000万円が災害死亡保険金です。
このうち普通保険金は被保険者が亡くなった原因に関係なく支払われますが
上乗せされる災害死亡保険金は「地震・噴火・津波の場合」は免責になったり
原因により減額の可能性があるなどと定められています。
これは災害の規模が甚大で保険会社の経営を揺るがしかねない場合に
限られていて今回はそれに該当しないということでしょう。
医療特約や医療保険についても、災害保険金と同様の扱いです。
傷害保険は×
損害保険の中で災害による死亡やケガを補償するものは
傷害保険や旅行保険、レジャー保険などです。
これらの保険には「地震・噴火・津波による損害は免責」と明記されていますので
今回の噴火で保険金を受け取ることは難しいとされます。
ただし、地震・噴火・津波による損害も補償する
「天災危険補償特約」を付けている場合には保険金が支払われます。
なお、「地震・噴火・津波」による損害が免責になるのは
これらのリスクの高い日本国内の話ですので海外での損害は補償されます。
自動車の被害は×
今回の噴火では、登山口に停めた自動車が被害を受けたといった
ケースがあったかもしれません。
こうした被害を補償するのは自動車保険のうち「車両保険」の役割ですが
これも噴火による損害は免責となり、保険金は支払われません。
ただし、保険会社によっては車両保険に
「地震・噴火・津波による損害に一時金を支払う」特約があり
これを付けていれば車両の全損時に限り、一時金が支払われますが
最高金額でも50万円ですし、保険料は年5000円と高目ですので
対象となる方は僅かと思われます。
家の被害は地震保険で〇
今回の噴火では、山梨県にまで火山灰が降ったそうです。
噴火では火山灰や噴石、火砕流などで住宅や家財に損害が出ることが考えられます。
災害による住宅や家財の損害を補償するのは「火災保険」の役割ですが
自動車保険と同様、地震・津波・噴火による損害には保険金は支払われません。
ただし、火災保険の50%までの保険金契約で
火災保険とセットで加入しなければならない「地震保険」に加入していると
この範囲で保険金を受け取ることができます。
東日本大震災をきっかけに注目を集めたこの地震保険は
地震等による住宅被害に備えるほぼ唯一の手段です。
山岳保険は△
山岳保険の加入目的は次の3点です。
1)自分自身がケガをしたり死亡することを補償
2)他人の物を壊したり、ケガや死亡させたりすることを補償
3)自分自身が遭難し捜索や救助を受けることの補償
今回は多分、直接関係がないと思いますが
通常はこのうちの2)と3)が山の事故特有の2大出費要因で
1)についてはオマケ程度と考えた方が良さそうです。
ベースは損害保険のうちの傷害保険や旅行保険であって
そこに山岳登はんのための運動危険補償特約や
捜索・救助関連の特約を付けたものが主流ですが、高額な負担になる
3)捜索・救助費だけの補償に特化して価格を抑えたレスキュー保険等もあります。
1)2)が補償される保険に加入していても保険金が支払われない主なケースとして
1.山で“病気”になった場合の治療費、救助費
2.登山届を提出していない
などとされていますので、今回の事故に対するケガや死亡補償に関しては
どんな特約が付いた契約だったか等を含めて
支払われるか否かは保険会社や加入団体に確認する必要があります。
以上、保険については頻雑、難解、上記はあくまで参考程度になさってください。