業界では作業のことを“施術”などと呼ぶこともあるようですが
医療上の「手術」と同じ単語を使うのは
ちょっとオコガマシイのではないかと個人的には思います。
朝一番8時30分からの予約にして待たされることはなくなったのですが
マスターの自己満足に付き合わされている感じさえする
“勝手に固めるヘアスタイル”を変えてくれる気配はまったくありませんでした。
「ドライヤーで形を作らずサッと横に流してもらえば・・・」とわざわざお願いしても
約1カ月半後の次回にはまた“元の木阿弥”。
そして何年もの間、作業行程を注意深く観察しいろいろ試した結果
次のようなことが分かったのでした(価格は当時、最終的には3600円)。
〇床屋の作業は大まかには3行程①カット②顔剃り&シャンプー③セット
その時間配分は各々約20分ずつでこれをマスターと見習い女性1人が
タッグを組んで入れ替わりながらこなして行きます
単純には各々1200円ずつの計算になります
〇この行程と時間配分は予め勝手に出来上がっていて
その配分された時間のどこかを短縮もしくは削除することは
同時進行中の他のお客とのローテーションの関係上、原則的には出来ません
その証拠に「今日は急いでいるのでシャンプーしなくてよい」と言ってみてください
しぶしぶ応じてくれるとは思いますが
浮いてくるはずのシャンプー時間は多分、そのまま椅子で待たされるだけで
結局セットが終わって帰る時間はほとんど変わらないはずです
ちなみに、シャンプーなしにすると価格は500円引いてくれました
〇同時進行中の客との関係上、たまに顔剃りから始めることもあるが
もちろんシャンプーはカット後になるので、この時だけ
顔剃り10分→カット20分→シャンプー10分→セット20分の変則になります
〇セットの時、ドライヤーで髪を乾かすのに5分、後の15分は
ヘアブラシとドライヤー、整髪料でキッチリと形を作って
最後はヘアスプレーで固める念の入れよう
例えば「形を作らずサッと流してくれればよい」と希望しても
結果早く終わってしまうとその後の予約時間が全て前にずれてしまうので
出来るだけいつも通りに配分された時間を使って作り上げるのです。
「今、床屋に行って来たばかり」的なビフォー&アフター感は商売上
必要と思っているのかもしれませんし…。
かくして毎夜シャンプーしているのに翌朝またシャンプーされ
油脂系の整髪料は断っても普段と違うヘアトニックの匂いをプンプン漂わせ
その上、帰宅直後または途中の公園などでドライヤーの熱風を我慢して
カッチリ固められた別人のような頭を水で濡らして形を壊し
単に短くなっただけの普段のヘアスタイルに少しでも近い感じになるよう
本来不必要な努力を陰で繰り返すこと二十数年。
気持ち的には全然満足していないのに利用せざるを得ず
徐々にアップして最終的に3600円にもなった経済的負担も諦めていたのです。
そんな十数年前のある日、もしもヘンなヘアスタイルにされたらどうしようと
不安で一杯なのに、永年抱いて来た不満の例え一つでも解消するかもしれない期待を抱いて
新たに駅前にオープンした床屋「プラージュ」に飛び込んだのでした。