命拾い

突然の大波がやって来てあっと思った瞬間には船から落ちて海の中だった。

必死で浮き上がり船側に摑まる。

１０年前だったら簡単に一人で船の中に戻れただろうが、歳とともに筋力は衰えこの肥満体である。しかも長袖、長ズボンに運動靴を履いていた。

海の中は陸上と違い足で蹴って飛び上がれないので、腕の力と足を引き上げる力だけが頼りだ。喩えるならば、足の届かない鉄棒にぶら下がって鉄棒の位置まで自分の身体を引き上げなければならない訳だ。

悪戦苦闘の結果、ようやく何とか足が船側にかかってくれたのでＨ船長がやっとのことで引き上げてくれた。

やれやれ、ふ～。

「盆に殺生をしちゃーいけんよ。」おばーちゃんがいつも言っていた。

言いつけを守らなかった罰があたったんだなこれは。運よく命拾いをして天国のおばーちゃんとの再会は少し延びたよーだ。

「Ｈ船長、ありがとう。お蔭様でご先祖様たちとともにあちらに行かずに済みました。」

さて、サンパラの済んだその後は釣った魚の七輪パーティー。盆で帰省していた妹一家６名も加わって飲めや唄えの大宴会。

「うまいんだな、これが！」





早朝採り入れた畑の収穫、こちらもうまかったー。





天国のおばーちゃん。「駄目だ、こりゃ。ぜんぜん反省しとらん。」


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