宮沢賢治の作品の一つである『猫の事務所』
これはいじめのお話なんだよねぇ。
軽便鉄道の停車場の近くにある猫の第六事務所。
ここは主に猫の歴史と地理をしらべるとこ。
事務長は大きな黒猫。
一番書記は白猫
二番書記は虎猫
三番書記は三毛猫
そして四番書記は竃猫(かまねこ)
いつも竈(かまど)の中で寝てるからかま猫なんだって。
このかま猫と呼ばれる落ちこぼれ的存在の設定の猫が、
他の猫から日常的にいじめの対象にされているというもの。
例えば
ある日、虎猫が弁当を食べようとしたが誤って床に落としてしまった。
虎猫は机から手を伸ばして弁当を拾おうとするが届かず拾えない。
それを見たかま猫が気をきかせて親切に拾ってあげたところ虎猫は怒りだし
『なんだ!ぼくにこの床に落ちた弁当を食べろというのか!』と怒鳴りだした。
・・理不尽極まりない話・・・
昭和時代の神奈川県の某高校ボクシング部かと思ったわ。
やつぱり僕が悪いんだ、仕方ないなあと、かま猫は考へて、
なみだをまん円な眼一杯にためました。
だが唯一、黒猫の事務長はいつもかま猫をかばってくれていた
が
ある日、三番書記の三毛猫が黒猫の事務長に
『かま猫が事務長の座を狙ってます』と告げ口をする。
もちろん大ウソ、まったくのデマ
だがこれに怒った事務官は
仕事がはじまりました。かま猫はだまつてうつむいてゐました。原簿がないのです。
(中略)
ああ、これはぼくの仕事だ、原簿、原簿、とかま猫はまるで泣くやうに思ひました。
かま猫からすべての仕事を取り上げてしまった。
さらに事務官を含む事務所の全員が、かま猫を無視しはじめる。
事務所の中は、だんだん忙しく湯の様になつて、仕事はずんずん進みました。
みんな、ほんの時々、ちらつとこつちを見るだけで、たゞ一ことも云ひません。
そしておひるになりました。
かま猫は、持つて来た弁当も喰べず、
じつと膝(ひざ)に手を置いてうつむいて居りました。
たうとうひるすぎの一時から、かま猫はしくしく泣きはじめました。
・・・・
(驚)
大正末期に書かれたこの作品が
現代社会で起きている問題を警鐘している。。。。。