大阪発達支援センターぽぽろブログ ぽぽろ番

ぽぽろはNPO大阪障害者センターの子育て・教育支援部門です。
大阪市鶴見区今津北にあります。

ドラマがいっぱい(加筆)

2011年03月03日 | 児童デイサービス
 「Maくん、どこへ行くの?公園?お散歩?」と聞いてしまった。
 確か「こうえん」と応えたような…。多分、打ち合わせではUさんが付いていくことになっていたと思う。私は例によって実務の予定でした。うんざりするほどの年度がわりの仕事が待ち受けている。
 と…その時、何を考えたのかMaくんが私の顔をじっとのぞき込んで手を握りに来た。「しまった…」と思ったときには遅かった。Maくんのあのつぶらな瞳に見つめられて断ることのできる人は誰もいないだろう。

 かくして、今日も子どもたちに巻き込まれて3時間、学童に参加するハメになってしまった。

 Maくんの次にはFuくんと一緒の自転車散歩。そして、Fuくんが誕生日祝いにメダルを作って欲しいというので、Riちゃんを巻き込んだメダルづくり。そうすると、NaちゃんとHiちゃんに加え、珍しくK・Moちゃんも隣の相談室へやって来た。
 この中でちょっとしたドラマがいくつか生まれた。
 「気になる子」らへのはたらきかけで参考になればと思って書くことに。
 
 先ずは「最近、プレールーには入ろうとしないRiちゃん」。(学校でもそんな感じだそうだ。スタッフたちは大勢のところ・うるさいところが今は特に苦手のようだといっている…)ぽぽろでの公園のシャボン玉あそびは楽しんでいる様子。誘うとFuくんのお迎えにも一緒に出かけた。ただ、建物の中ではあっちウロウロこっちウロウロで落ち着いて遊んでいる様子が見られない。それで、今日はFuくんのメダル作りに誘うことにした。今日のRiちゃん担当?のYoさんも参加。メダルといっても短時間で出来上がる簡単なもので、色紙に絵を描いてラミネーターにかけて切り取る。パンチで穴をあけてヒモを通して出来上がり。
 色紙に○を書いてあげたらハサミで線に沿ってきれいに切れた。(Yoさんと「~しながら~する」という力が獲得されているよねなどと彼女の発達の話もした。)彼女はそれに字を書いたり顔を描いたり、何やら私にはよく分からないキャラクターも描いていた。家族一人一人にプレゼントするつもりなのか、おかあさんから始まって最後はお父上のことを何故か「はまちゃん」と呼んでいて、『釣りバカ日誌』を思い出して吹き出してしまったが、ずっと最後までたくさん作り上げた。
 プレールームには入れないかもしれないけど、横の部屋でお友だちと一緒に(並行して?)遊べたことを先ずは喜びにしよう。それは遊べる物があったからで、彼女の好きな物や好きなことを「教材」として準備してみたらどうだろうかということです。そして、メダルづくり(壁飾りでも)でもいいから何度か続けてみて、そこに興味のあるお友だちも誘い込み、頃合いを見てプレールームにラミネーターを持ち込むとかして少しずつ誘ってみたらいかがでしょう?「寄り添う」というけれど、子どもの発達状況によっては面と向かったり、絶えず横についていたり、お話するだけではしんどくなる子だっている。間に好きなあそびや物を入れてみてはいかがだろうか?
 Riちゃんはお迎えのお母さんの首にメダルを首にかけてあげて嬉しそうに帰っていった。お家に帰ってからお父さんの首にもかけてあげただろうか?どんな会話が交わされるのだろうか?という風に想像力をはたらかせることも楽しいことです。学校とは違う学童保育なのだから「また、ぽぽろに来たいな。ああ面白かった!」と終わればいいのです。(学校にも言えることですが…)きっとまたRiちゃんはぽぽろのプレールームに入ってくるでしょう。

 この時の写真はYoさんが送ってくれるでしょう。

 反省会の話を横で聞いていてへぇ~と感心したことがある。この日のお誕生会の主役であるFuくんが、今日参加していた子たち全員の名前を覚えていて、みんなからのプレゼントのメダルの絵を一人一人の前に行って「○○ちゃんも描いてな!」と頼んでいたそうな。今日は会話ができて落ち着いていたよなって話でした。その背景は何だろう?


 「てごわい子」と書いた小3のHiちゃん。「友だちと折り合いをつけながら遊べるようになってほしい」というのがお家のねがいです。大先輩の中1のK・Moちゃんにも全く臆せずに口げんかをしかけます。Moちゃんが切れて泣くほどです。この二人はケンカを引きずったままメダルづくりに参加し、向かい合ってメダルづくりをしていました。
 先ずはHiちゃんのこと。彼女は小2のYuちゃんの靴を勝手に履いてプレールームから会議室までやって来たのでした。好き好きコンビのダブルYuちゃんが公園まで捜しに行っても見つからなかったと言って会議室に入ってきて発見。更に2人で謝りや!と抗議にきました。Hiちゃんは謝ろうとせず、Yuちゃんの靴を放り出して自分の靴を履いて澄まし顔でまたメダルづくりに入りました。スタッフにも「謝りや!」と言われて小さな声で「ごめん」と言ったそうです。スタッフのHiさんにははっきり聞こえたようで、一生懸命に代弁していました。
 問題はそのあとです。お迎えのおばあちゃんにも優しくさとされていましたが口をつむったままでした。私はずっと黙って成り行きを見ていましたが、お迎えの時間なので、Fuくんにあげるということで始まったメダルづくりだったけど、彼女は欲しくて持って帰りたくてたまらないだろうと思って、一緒にラミネーターに通して一つだけ見本を作ってあげて「アトはお家に持って帰って、メダルをハサミで一つずつ切って、パンチで穴をあけ、ひもを通して首からかけたらいいよ」って渡しました。
 そのとたんに彼女のムッツリ顔はニコッと崩れて丁寧語で「ありがとうございました!」と頭をぺこりと下げました。その時にすかさず、「よかったね。それで、あのね、Yuちゃんにゴメンと言っときや。」と言うと、もう素直になって「ごめん」と言っている彼女がいました。彼女は嬉しそうにおばあちゃんとメダルの材料を持って帰りました。
 誰でも素直に謝れないときがあります。分かっていても(分かっているからこそ)謝れないときがあります。彼女にとっては他人の靴だということは分かっていても、それで相手の子がどれだけ困っていたかということまで思いが及ばなかったのでしょう。或いはそれぐらいのことで怒るなよという感じだったのでしょうか。悪かったと分かっていたら「ゴメン」となるのでしょうが、分からないままだったので友だちからいきなり怒られたことに先ずは反発したのでしょう。そうなると客観的には(周りの者には)Hiちゃんが悪いと分かっていても、水鰍ッ論になってしまって口バトルです。
 この日は落ち着いて更に機嫌が良くなったからお話しすると、フッと肩の力を抜いて折り合いをつけることができたのでした。「間」が大切なんでしょうね。


 Maくん、またまた写真だけでゴメン。公園遊び、おもろかったわ。その内に書きますので、Maくんとどのように遊んだのか(特に1枚目の写真にあるボールやゾウ、仮面ライダーの人形を使ってどんな遊びをしたのか)想像力を発揮してみてください。最後はブランコでした。写ってないのは写せなかったからです。なぜなら、私の膝の上に乗せろといつもスタッフのSaさんとやるように催促して乗ったからです。上着だけジャージででしたのでズボンと靴は砂だらけ。今朝、身体じゅうが痛かったのはそのためです。本日、事務所で2年前のMaくんの写真が棚から落ちてきてバイトのTaくんが「うっそ―!すご~い!」と感激していました。