OVOS MOLES(ウオヴォス・モレシュ)
ポルトガル伝来といえば
火縄銃とカルタと
カステラ
原型は『Pao de Lo』(パン・デ・ロ)という
16世紀には既にできていたそうな
名前の意味は「絹のようなパン」
ポルトガル全域で作られており
地方によって多少異なる
しかし材料はどこも同じ
小麦粉と卵と砂糖だけ
バターなどの油類は一切使わない
北部地方では
素焼きの型にクッキングペーパーを敷いてバターを塗ってタネを入れ
蓋にもペーパーを敷いてバターを塗り
上下から均一に加熱する
焦げ目が均一
イーストも膨らし粉も入れないので
材料の攪拌によって混入された空気だけで膨らむ
従って作る時は必死で掻き混ぜる
家庭で作ったものは
それぞれ手でちぎって食べるそうです
中部以南では
蓋はぜず加熱する
表面は焼けて中は半熟の見切りが難しいらしい
切るとこうなる
スプーンで食べることもあるほど
中はトロトロ
もっと極端なものになると
オヴァール地方のパン・デ・ロともなると
ここまで卵が半熟となる
スプーン無くしては食べられない
これの
どこがパンなんだぁー
ところで
ポルトガルといえば海洋国
従って
魚介の消費量が非常に多い
しかも
誰も彼もエビが大好き
旅行中のある日曜日の昼過ぎ
山岳地の小さな村で昼食の時間になってしまい
レストランがどこにあるやら
聞いてみようにも人っ子一人歩いていない
周りじゅうの家は全部閉まってる
そこに
なにやら匂いが
そこで顔を上に向けて鼻をヒクヒクしてみたら
エビの焼ける匂いがしてきたではないか
その匂いをたどっていくと
無事にレストランにたどり着いた
冗談ではなく実体験です
さて
これは『カタプラーナ』という名の銅鍋
ポルトガル最南端
海に面した『アルガルベ地方』の独特の鍋
通りのお土産やさんの外壁に
何十ものこのカタプラーナが飾ってある
これで
エビを中心に
いろんな魚介を煮るのです
上下が同じ形だが
蓋の取っ手の一つをパチンと上に引っ掛けて密閉固定して
蒸し煮にする
エビだけで作れば「エビのカタプラーナ」
各種の魚介を入れると「海鮮カタプラーナ」
食材によって呼び分けることもあるが
料理名も『カタプラーナ』
中身は
こんな感じだったり
こんなだったり
味のベースは魚貝の旨みですが
土地々々によっては
蟹のミソを入れたり
ヒラメのキモを裏ごしして入れたり
いやはや
旨いのなんのって
旨いのなんのって
他の地方に行くと
カタプラーナ鍋がないこともある
そういう地方では「海鮮煮込み」等という料理名で
土鍋やアルミの鍋のまま出してくる事もあります
例えば
もしくは
ところで
ポルトガルは蛸をたくさん食べます
これは
蛸のリゾット『Arroz de Poulpo(アローシュ・デ・プールポ)』
アローシュがポルトガル語でお米
お米を使った料理をアローシュと言います
ツユダクのおじや風だったり
炊き込み御飯風だったり
北部の「鴨アローシュ」も大変に美味
蛸のロースト
ポルトガルの一部では
クリスマスに欠かせないのが「蛸のロースト」だと聞きました
蛸の炒め
ところで
ポルトガルというとタラ料理が世界的に有名です
何回か前に書いた通り
大航海時代のブラジル帰りに船を空で返したくなくて
南米沖で大量に採れたタラを塩鱈にして祖国へ運んだ
市場で必ず売ってます
アイスランド産と書いてある
塩加減や加工法で値段が違うらしい
キロあたり11ユーロ台から16ユーロ台
一枚60〜80㎝ほどもある
1キロから2キロ以上のものまで
何日間も水につけて完全に塩抜きすると
ぷるぷるの生みたいな状態にまで戻るのです
それを
茹でたり蒸したりして
オリーブオイルたっぷりかける
あるいは
ムニエルに
そこまで戻さずに
途中でほぐして
コロッケにしたりグラタンにしたり
ムサカ風にしたりラザニア風にしたり
これは
ほぐしたタラを
細切りのフライドポテトと玉ねぎとで炒める料理
タラのコロッケ風とピロシキ風
ついでに揚げ物の類のごく一部もご紹介
これらは
なんとお菓子屋さんのショーケースの
お菓子の隣に並んでいるのです
同じショーケースには
結構素朴な
あえて言えば昔風の
あるいは田舎風の
そんなお菓子がぎっしりと並んでいる
ところで
魚介をウリにしているレストランは
表にその日の仕入れが展示してある事も多い
言葉が通じなくても
指差して「アレ」といえば
一人前づつ料理してくれます
太刀魚は
ふた切れで一人前だった
お魚は
炭火で豪快に焼いてくる
レモンと塩だけで何もいらないほど旨い
ところで中央部よりやや北の海岸に
『ナザレ』という有名な漁師村があり
毎朝イワシを採りに行って帰ってきた船を
おかみさん達と牛とが総出で地引網のように浜に引き上げることが
かつては映画で有名になった
今では有名なリゾートになってしまっているが
未だに漁師たちは「干物」を作っている
なんと海水浴客のいる同じ海岸で
その日は
ハタハタみたいな白身の小型魚が多かった
さてさて
いよいよお菓子と参りましょう
カバーの写真にあるのは
中央部アヴェイロという街の名菓『ウエヴォシュ・モレシュ』
訳して「やわらか卵」
その名の通り
卵黄と砂糖だけで作られる
(ポルトガルのお菓子は卵黄の餡が多用されます)
卵黄のあま〜い餡をカリッカリサックサクの米粉の薄皮でくるむ
あえて言いますならば「卵黄最中」ですな
アヴェイロの修道院で作っていた
このお菓子は
非常に有名ながら普遍的に広がらないのです
日持ちがしないから
1日後には皮が湿気を含んでしんなりしてくるし
3日もすると
卵黄餡は痛み始める
EUが
『原産地保護法』で他所で同名の菓子を作れない保護対象にしています
では
ポルトガルの菓子の揃い踏み
CORNUCOPIA
直訳して「コーン・カップ」
クリームはお約束の卵黄
コーンはトウモロコシではありませんからね
ツノです
卵黄クリームとオレンジソースのクレープ
卵黄のクリーム餡が
オレンジのさっぱりしたシロップと相まって。。
TENTUGAL
コインブラの名菓
たまご春巻き?
TOCiNHO
コインブラ名菓『PASTEL SANTA CLARA 』
サンタ・クララ修道院で作っていた
最後に
スナックで閉めることにしよう
FRANCESINHA(フランセシーニャ)
「フランス女性」
実はこれ
フランスのカフェで気軽に食べるスナック
『Crock Madame(クロックマダム)』
のポルトガル流アレンジなのです
本家はというと
極めてシンプル
薄切りの四角い食パン二枚でハムを挟み
上にチーズを乗せてオーブンで焼くと『クロック・ムッシュー』
その上に
さらに目玉焼きを乗せると『クロック・マダム』
それをポルトガル人がアレンジすれば
間にハムと一緒に「非常に極めて厚切り」のチーズも挟み
甘辛いグレーヴィーソースを
これでもか!
とぶっかける
美味しそうでしょ
ポルトガルの食べ物は
極めて日本人によく合います
美味しくて
しかも
安い!
イザ行かむ! ポルトガルへ
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