ムスティエ・サント・マリー 全景
陶磁器の歴史は面白い
が
長くなる
そんなテーマでブログなどやりだしたら
えらいことになります
大雑把に単純に無責任にザックリ言えば
西暦751年
タラス河畔の戦いで「唐」からイスラム世界へ
中国の先進技術だった製紙法や高度な作陶技術が伝わった
その後
スンニ派とシーア派との分裂で敗れた「ウマイア王朝」が
イベリア半島まで逃げイベリアをイスラム化する
西欧より学問と技術が進んでいたイスラムは
多くの新しい技術をスペインに定着させ
鞣し革はコルドバが中心となり
針金銀細工はトレドに定着
バレンシアが作陶の中心となっていた
バレンシア焼の陶器をイタリアに輸出する中継地『マジョリカ島』にも
作陶の拠点ができ『マジョリカ焼』が起こる
その後
マジョリカからイタリア半島中央部『ファイエンツァ』に技術がもたらされて
『ファイエンツァ焼き』となり
陶器を表す英語の「ファイアンス」はそこから来た
あとは
アルプスの南を超えて南仏は『ムスティエ・サント・マリー』で作陶が始まる
『ムスティエ焼』
それからは
ブルターニュの『カンペール焼』
パリの『ヴァンセンヌ焼(その後セーヴルに移転)』
カンペールからノルマンディーの『ルーアン焼』
オランダの『デルフト焼』
などに次々と影響を与えて行ったのです
アルプス山脈の一番南の果て
峨々たる山並みの懐にへばりついて
『ムスティエ』の村がある
背後にそびえる
二つの突き出る峰の間を巨大な鎖で結んで
中ほどに金色に輝く星がある
巻頭の写真でお分かりだろうか
スイスとイタリアとの国境アルプス山脈の起伏が
遠ざかる毎に
少しずつ高度が下がり侵食で険しさが減り
一番南のはずれ地中海に迫る辺りまでくると
高山の雰囲気は最早なく
峨々たる山並みが奇観となって現われる所がある
『ムスティエ・サント・マリー』の村は
そんな山肌に抱かれて
下から上へと棚田の如くにへばりつく
上を見上げると
村の教会の鐘楼が目印になる
『Eglise Notre-Dame de l'Assomption 聖母被昇天教会』
鐘楼
さらに上にも別の教会が
こんな感じの階段を登って行く
『Notre-Dame de Beauvoir 眺望の聖母教会』
かなり高いことがわかる
改めて下に降りよう
小さな集落の中は曲がりくねった細い小径が迷路のよう
突き当りは村の「共同洗濯場」
そして
各窯元の直営店があちこちにある
『Boutique de Michèle Blanc 窯元ミッシェル・ブラン』の販売店
『Atelier Du Barri 窯元デュ・バリー』の作品
『Atelier Lalier 窯元ラリエ』の作品
『Atelier Mufaggi 窯元ミュファッジ』の展示室
陶器博物館もある
唐三彩から始まって
彩色陶器の歴史を語り
17世紀ルイ14世の御代に一斉を風靡した
『ムスティエ焼』
の五百年の歴史を展示
あらゆる部屋がこんな色彩照明というわけではありません
そして
19世紀から現代の作品も多数
18世紀のモチーフで現代に作った燭台
現代のレリーフ模様の白磁風角皿
現代のキャンドル・カップ
魚の文様が非常に面白い
村を離れる前に
カフェのテラスに座って
絶景を目にお茶することを
お忘れなく
因みに村の紋章は
岩山の間に掲げられた『星』です
※
郊外に素敵なホテルあり
『La Bastide de Moustier バスティッド・ド・ムスティエ』
真っ赤に咲き誇るジェラニウムに誘われるように
門を入る
もう一つアーチがあって
も終わったラヴェンダーの花壇を横目に進むと
見えてくる
糸杉に守られるように
典型的なプロヴァンスの田舎屋敷
レセプションはお約束通り机一つ
共用空間もこの程度
客室も
豪華さやこれ見よがしの高級感など拒否して
とにかく
田舎でくつろぐ為に選び抜かれた素朴なシンプルさ
浴室は
バスタブが薄い紗で覆われ
背後は当然『ムスティエ焼』の
彩色タイル貼り
それより
このホテルは「レストラン」として作られたのです
21世紀の最大のシェフの一人
『アラン・デュカス』
の手で
彼は
モナコで3つ星
パリで3星
その後
南仏各地のホテルやレストランの以来で監修し
何軒もの店に星を与えて大活躍
その『アラン・デュカス』が
田舎の自然の中で快適に休暇を過ごしたい人達の為に
この「オーベルジュ」を開いた
開店以来ずっと1つ星を守っている
プロヴァンスの典型的な家屋
背が低く
素焼きの瓦屋根
二重の繰り型の軒蛇腹
そして
お庭ですよ
お庭
やはり
何と言っても夏場はここでしょう
お食事も周囲の景色も
口福眼福
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