巻頭写真 : 『ロクロナンの大トロメディ祭』の際に黒い森の中を行く『Bannière 幟旗』
荒海と信仰とケルト文化と巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を訪れよう
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フランスにあってフランスではない異世界を訪れよう
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細長い三角形で東から西に伸びるクロゾン岬の根元の南側の付け根
あたりに
『Sainte-Anne-la-Palud サント・アンヌ・ラ・パリュー』
というほとんど人口もない様な集落があり
その村はこれから訪れる「ロクロナン」と並んで
ブルターニュの伝統的キリスト教のお祭り『パルドン祭』で名高いのです
「Pardon」
という言葉は「赦し」を意味します
自分の来し方生き方の上で犯す過ちを神様に赦しを請う「告解」や「懺悔」
を
特定の奇跡の場所や特定の場所の聖人のたどった道を
みなで辿りながら
出発点から解散まで参加する全員で行動を共にする
これが「パルドン祭」なのです
まず教会ですが
まず教会ですが
『Chapelle Sainte-Anne-la-Palud サント・アンヌ・ラ・パリュー礼拝堂』
当然「カルヴェール」もあります
この礼拝堂には15世紀の作になる
花崗岩に彩色された由緒ある聖母と聖アンナの像が伝わっています
我が子マリア様を従える聖アンナ像
『Grand Pardon 大パルドン祭』
は毎年8月の最後の週末
金曜日の15時のミサから始まって各種祭儀を続け
日暮れとともに
灯明行列があ行われます
夜を徹してのお祭りが続きます
翌日曜日の10時半の礼拝堂でのミサで始まり
件の聖母子(聖アンナと聖マリア)像が外にいる巡礼者たちに披露されます
その後
13時からの大ミサが野外の平原で執り行われ
礼拝堂に戻って
『聖母アンナと聖マリア』の像が近隣の主邑カンペールとレオンの大司教の手で
戴冠されます
『聖母アンナと聖マリア』の像が近隣の主邑カンペールとレオンの大司教の手で
戴冠されます
まず『聖処女マリアに戴冠
続いてマリアの母聖アンナに戴冠
そして
戴冠した聖母子像のお披露目
この戴冠された二人聖女の像は翌日の野外ミサでお披露目です
いよいよ大行進の出発
雨が降り出し
直前になって野外ミサの決行が決定
雨と強い風の中を行く各地方の高位聖職者たち
大群衆に迎えられた戴冠した聖アンナと聖マリア
今回のパルドン祭で洗礼を受けた子供も行列に参加
※ ※
この「サント・アンヌ・ラ・パリュー」から西南西に7〜8kmで
『ロクロナン』
『Place de l'Eglise 教会広場』
教会の側から逆向きに村の中心の広場
この村は
16世紀に麻の帆布の取引の中心地として賑わい財をなした
その当時のギルドハウスや商館及び裕福な町人の館が
教会とともに細長い斜面の広場の周りに立ち並んでいる
教会は二つあるように見える
『Eglise Saint-Roman 聖ロマン教会』
この教会は二つのようで実は一つの教会なのです
左が1435年から1480年にかけて建てられた『聖ロマヌス教会』の本体
右は1485年頃から付け加えた『Chapelle de Penity ペニティ礼拝堂』で
中は繋がっており
礼拝堂に教会が献堂された聖人「ロマヌス」の墓がある
『Tombeau de St-Roman』
この墓碑はあくまで後世に造った記念碑であり
聖人の遺骸などが入っているわけではないことは
他の諸聖人たちや王侯の墓碑と同じようなもの
まず村の中を一周りしてみようか
村の中にやや外れて礼拝堂がある
『Chapelle Notre-Dame de Bonnes Nouvelle 吉報の聖母礼拝堂』
内部は非常に整っている
ステンドグラスが現代の物であることだけがやや残念だが
こればかりは致し方ない
礼拝堂の裏に『ロクロナンの泉』と呼ばれる取水口がある
「サン・ロマン教会」に戻って
中を拝観してみよう
広場に引き返す途中に
苔むした(むしろ草の生えた)家の軒先に
「麻の機織り」
というのがあった
麻布の織物歴史博物館だった
教会の入り口は「ポルシュ」で
左右の壁の諸聖人の像はなく扉は二つに分かれる
『Portail de l'Eglise St-Roman 聖ロマヌス教会の扉口』
ちなみに
右隣に並ぶ「ペニティ礼拝堂」の入り口はポルシュ形式ではなく
いきなり「ポルタイユ」(扉口)で
『Portail de la Chapelle de Pénity』
こちらから入ると先ほどの『聖ロマヌスの墓』があり
そのまま左に教会本体につながる
その本体に入る曲がる角の壁になかなか良い群像がある
『Décente de la Croix イエスの十字架降架』
身廊部の奥を見ると立派なゴシックの大聖堂のように造られていて
当時の町の財力と文化の高さを忍ばせる
身廊の途中から内陣方向を見る
内陣の祭壇
聖遺物櫃
ところで
ここ「ロクロナン」のパルドン祭は
ブルターニュで何箇所か行われるパルドン祭の中でも
ひときわ名高い
この村では
「パルドン祭」を『Troménie トロメニィ』とよび
7月に毎年行われる
村の近郊に『Forêt Noire 黒い森』という名の
樹木の茂った一帯があり
初期キリスト教の時代は「屋外の聖堂」という位置付けで
近隣の信者が大勢集まって祭式を執り行ったらしい
森の一部の木々が苔むして神聖な雰囲気を醸し出している
いかにも初期キリスト教布教時代に
布教者たちが
地元のケルト民族のしきたりに合わせてキリスト教を導入した感覚が
理解できる気がします
そのあたりに
『Montagne de Locronan ロクロナン山』という山があって
と言っても平らな地形のブルターニュのことだから
せいぜい200mほどの高度差だと思うが
『聖人ロマヌス(サン・ロマン)』は毎朝朝食も取らずに山頂まで数キロ
裸足で歩いて修行にしていたという伝説があり
毎年順「トレミーン」の際に巡礼者たちがそのロクロナン山の頂から村まで歩く
『Grand Troménie 大パルドン祭』は6年に一度しか行われない
7月の最後の2回の日曜日を挟んで8日間にわたって
その際は「ロクロナン山」全体を取り囲む13kmに及ぶ山道は畑の中を
練り歩くのです
近隣の角村々から
それそれの教会の幟旗を持参して
ルート上の12箇所の街道の分岐点や村々に立つ「十字架」で
祈りを捧げながら
大人も子供も
男も女も
途中の札所には必ずお花がたくさん飾られます
数万人の見物客に見守られて
2万人の巡礼者たちとともに予定の行程を行進した聖遺物が
教会に帰還する
町中に順帝者たちがささげ持つ幟旗が翻ります
映画にもなった名高い「ロクロナンのパルドン祭」ですが
雰囲気を感じ取っていただけたでしょうか
最後になりますが
この町発祥の有名なお菓子が『Kouign Amann クイニィ・アマン』
お店は教会の並びにあります
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※
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初めて知りました
参加者が多いお祭りですね
お祭りに合わせて旅程を組むのも
楽しいですね
苔むした森 素敵ですね
写真からでもおいしい空気を想像できました。
平年は「パルドン祭(さい)」
数年に一回「大パルドン祭」
と言って、ブルターニュ名物です。
実際にその場に行くと、きらびやかな幟旗と民即衣装で素敵です。
ホテル取るのが大変ですけどね(汗