森にようこそ・・・シャングリラの森

森に入って、森林浴間をしながら、下草刈りをしていると、自然と一体感が沸いてきます。うぐいすなど小鳥たちと会話が楽しいです

研ぎたてたるた刀㉟・・・水雲問答

2024-11-02 09:01:58 | 森の施設

 

       研ぎたてたる刀㉟・・・水雲問答

 

雲     およそことを処するには、気合をかけてのち実行するのがよいと思います。たとえば

     研ぎたての刀を見るとみな驚くように、大上段から圧倒するようにかかるのがよろしい。

     しかしそうすると、ぼろも出易いものですから、ことをさっさと片付けることが大切で

     あります。何かしてやろうとするときは、破竹の勢いをもって、いかなる難しいことで

     もやっつける、ということが必要でありまして、神武不殺、すなわちすぐれた武道は殺

     さないという言葉に感心いたします。

 

 

水     この御意見も一見識でありますが、ちゃんと実力があって、その実力を含んで表現を

     先にするのであれば宜しい。実力もないのに偉そうなことを言うと、すぐ化けの皮が剥

     げて正体が露見します。ある人が驢馬(ろば)をつれて行ったところ、その辺には驢馬が

     いなかったので、虎も最初は恐れていましたが、ところが驢馬が虎を蹴ったので、その

     非力なことが知れて、ついに喰い殺されてしまった。という話があります。ちょうどこ

     れと同じであります。こういう御意見は大変明快でありますが、これは非凡な人物だけ

     ができることでありまして、元来聖賢の説くところは誰にも理解され、行われるという

     平凡な人物、非凡の表現法でありますから、これをやり得るだけの人物次第であると申

     せましょう。

 

 

 

    

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偏心より事を成す㉞・・・水雲問答

2024-10-26 13:23:52 | 森の施設

 

      偏心より事を成す㉞・・・水雲問答

 

雲    大事を成就するということは、わけもわからず、やみくもに一生を終ってしまう

    ことは残念である、という心構えから成就することができるのであります。その訳

    は戦国の大名など、大して学問もせず、あるいは政略戦略を研究したということも

    ないのに、大事を成し遂げておりますのは、何か特別の腕があるわけでもなく、俺

    はこの仕事のためには死んでもよいのだ、という意固地な精神・一途に思い込んだ

    心から大事を成就させたように思います。

 

水    偏心より大事を成就するという御意見はまことに面白いです。こういう意見は昔

    の人もしておりませぬので、ちょっとひとくせのある表現でありますが、殊のほか

    面白いところがあります。しかしながら偏心にて事を成すということは、本当に学

    んだのではないが、よく真髄を会得すれば、それは学んだに等しいという類であり

    まして、言葉に病、すなわち語弊があります。いくら学歴があっても、一つも学ん

    でおらぬのと等しい者があります。学校にはいかぬけれども、要領はちゃっんと掴

    んでおる人もあるわけであります。つまりこの偏心より事を成すというもは、人間

    の気質は、剛柔・清濁とさまざまですが、何してもやはり学ばないと駄目でありま

    す。

 

 

 

 

 

 

  

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百万の兵力も何ぞの気象㉝・・・水雲問答

2024-10-19 13:58:39 | 森の施設

  ナナカマドの実が赤く色づいてきました。

 

      百万の兵も何ぞの気象㉝・・・水雲問答

 

雲     天下の大事をなさんとする者は、百万の鎧武者も問題にせぬほどの元気がなくては

     なりません。「滞芥」の滞は小さな棘、芥はあくたです。それほどの気象をもって、

     大事も小事も死生一貫、生死を度外視して当るという気概が必要です。

      今の世は人の考え方も意気地がないと思います。危険だと感じると、すぐ逃げよう

     と算段するのは実になげかわしいことであります。

 

水     百万の兵が列をなして、われに向かってきても、毅然として動揺しないという気力

     があって、初めて大事に当れましよう。こういう精神・気概とうものが大切で、この

     元気がないと、いくら理屈を並べても、方法をたてても、うまくいくものではありま

     せん。

 

 

 

 

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公明正大㉜・・・水雲問答

2024-10-14 09:08:39 | 森の施設

       

           公明正大㉜・・・水雲問答

 

雲    およそ人間は公明正大の四文字を修養の御符とするがよろしい。悪事を働のは

    たいてい暗い処であって、日光のあたった明るい場所では必ず恥ずかしいという気

    持がおこる。酒を飲み、勝手気ままに振る舞うことも昼間ではなく夜であります。

    だから大儀をなそうとする者は、公明正大に心をもって、われからいじけた処のな 

    いようにして、一種の手段でうまくやって行きますと、古人のように成功すること

    ができましよう。

 

水    御意見ご尤もであります。ただ表現にまずいところがあります。術略をもってう

    まく世を渡る、というのはちょっとうけとれません。媚弱(びじゃく)の業などとい

    うこともよくわかりません。漢文体にしても。口語体にしても、そういう表現法は

    ないから、あなたのお考えと表現とが一致せず、したがって人も感じません。やは

    り問答書のように口語体にされた方がよくわかりましょう。

 

 

     

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事をなすに快活㉛・・・水運問答

2024-10-06 08:59:31 | 森の施設

 

       事をなすに快活㉛・・・水運問答

 

雲     およそ事をなさんとするときには、快活にしたいものであります。たとえば千金

     の褒美を与えても、けちけちして出したのでは人はその恩に感服しません。一毛を

     抜いてやるというような、ほんのわずかな品物でも、誠意があれば人はみな感動い

     たします。たとえば質素倹約の令を下すのに、とかく眉をしかめて、その上けちけ

     ちして経費を削減などするものですから、ほとんど成功した例はありません。こん

     な時にはさっぱりと、大掛かりにやると、疑いなく人心は服しましょう。人を使う

     のに、生かして使うか、殺して使うかは雲泥の相違で、たいへん大事なことであり

     ます。八代将軍吉宗公の上意に「困ったときにうつ向く者は役に立たず、困ったと

     きに仰ぐ者が役に立つのだ」と言われておりますが、まことに大切な御意見で感服

     しております。

 

水     これは自分の精神のできておるか、どうかの違いでありまして、快活でないのに

     無理に快活をよそおうのは誠ではありませぬから、人は服しません。誠意をつくし

     て、初めは人が服そうが服すまいが頓着なしにやると、そのうち人心は服するもの

     であります。額にしわをよせて仕事をするのは、自分でできるかできないかと心配

     してかかる証拠でありますから、成功する例は少ないのであります。古人は困難な

     仕事をやってのけておりますが、今の人はきわめて容易なことでも仕とげません。

     これは精神ばかりではなく、見識に欠けた所も原因であります。見識があってその

     上気力の充実した者は、どんな大事も成就しましよう。吉宗の教訓に、精神が旺盛

     でなければできない。たとえ見識があっても柔弱な人は何の用にも立たぬ、と申す

     のはこの点であります。

 

 

 

 

 

 

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