物忘れ---悪い事では無い
日一日といえば少し言い過ぎだが、物わすれが増えてきている。仕事での物忘れは問題が多
い。しかし、個人的な事での物忘れには、あまり気に留めないことにしている。人が時として物
忘れする時があるけれども、それが数多くなると悩ましくなってくる。
でも、物を忘れるということが、駄目で、悪い事かと考えてみるとき、私は忘れるという状
態は決して悪い事ばかりではないと思っている。もしも、人は自分が経験したこと、記憶してい
た事を全て忘れずにいたとしょう。そんなことになつたら人は平常心では生きていかれないだろ
うと思う。人は物を忘れるから精神状態を普通に保っているといってもいいのではないだろうか。
辛いことや悲しい事は長年の間に多くの機会をもたらされるだろう。その一つひとつを全て
記憶に明確であったなら、人生は地獄となりはしないか。忘れるからまた、明日から普通に生き
て行くことができるのだと思う。
大災害で大きな被害を受けられた身内の人も犠牲になったというニュ-スをよく聴く。そし
て、この大災害を決して忘れてはいけない。いつまでも語り継いでいかなければならないと、被
害者にあった人々はテレビの画面で訴えている。それは何の為だろうかと思うことがある。もち
ろん二度とそのような災害のために犠牲にならないようにするためだということは理解できるし、
その通りである。要は、二度と同じような被害を出さないためにね忘れてはならないのであって、
犠牲になった人自身がいつまでも、悲しみや、苦しみを忘れないということではないだろう。
こんなことをいうと非情なもののように思われるかもしれない。でも、非情だからではなく、
当人にとっては、災害をいつまでも引きづって悲しみの日々であってほしくはないという思いな
のです。災害を人の手で防げる可能性があるのであれば、それを考えて防ぐ努力をしなければな
らない。でも、人ではどうにもならない防ぎようのない災害については、いつしか忘れて新たな
一歩を踏み出すべきだと思います。念の為に付け加えますが、被害に遭われた人たちの悲しみや
苦しみを他の人、とくに身内や親しい人のことを思いやることはいつまでも忘れてはいけないと
思います。
また次の様な表現もあります。「取りこし苦労」「持ち越し苦労」が過ぎると、精神に異常
が生じることがあるでしよう。なるべくいつまでも苦労を引きずることや、まだお気てない苦労
を先手を打って悩まないようにしたいものです。しかし、それぞれいろいろな性格がありますの
で、このことに拘ってしまうのも別な苦労の種を作りかねない。
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