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九州交響楽団の「新版こうもり」

2021年11月26日 | 音楽

最初、ポスターを見た時「なんじゃこりゃ!?」と思っていた、第27回「名曲午後のオーケストラ」。

 

 

これが、蓋を開けてみると、ものすごーく良かった。オペラの喜劇を、電光掲示板による日本語字幕と博多弁による解説付で鑑賞するという試みで、その土台となる脚本の魅力が伝わってきて、音楽だけでなくストーリーでも楽しめました。劇が始まる前、幕間などに講談があり、作者の生い立ちなども語られ、作品への理解が深まりました。また、福岡出身の講談師・神田紅さんとは、日本講談協会の会長さんであるとともに「朝ドラのナレーション」でおなじみの声の方だと判りました。ご自身で勉強されて台本を書かれたらしく「さすがにプロだなぁ」と思いました。

また、本公演は「九響合唱団が戻ってくる」という事で注目された公演でもあったのですが、前の記事で書いた「第400回定期演奏会の出演を見送られた合唱団が、なぜ、その前の公演に出演出来るのか」という疑問… 合唱団の方々は、なんと! 全員がフェイスカバーを付け、イブニングドレスを着ての登場でした。そして、これが「仮面舞踏会」という舞台設定に見事に当てはまる。

この企画だからこそ合唱団が復帰出来たのであり、本公演は、合唱団を復帰させるために組まれた企画だったのかもしれない… こんな、マンガみたいにワクワクする展開、あっていいのでしょうか。そして、合唱団の方々が着ていたイブニングドレスは全員色が違っており、主催者からのプレゼントであるようにもみえました。また、合唱団が戻って来られる社会情勢になった事を祝う気持ちが感じられ、合唱団登場の瞬間が(個人的には)一番の盛り上がりポイントでした。

あと、ソリストの方々が、ぶっちぎりに上手かった。おそらくノーマイクで歌われていたと思います。ですが、何十人ものオーケストラの奏でる音楽に負けることなく、声が奥の席まで届いていました。テレビに出ているオペラ歌手は、いつもマイクで歌っているけれど、イタリアでオペラが作られていた時代には、マイクもスピーカーも無かったはず… 本来は生声で歌うものなのだ、これがオペラ歌手の凄さなのだ、と気付かされました。

そして、オペラには「ソリストの方々が主役で、オーケストラがバックバンド状態になってしまう…」という一面があるのですが、最初の「序曲」と最後の「終曲」では、歌の方々が幕から消え、オーケストラだけになります。なので、オーケストラにも見せ場があり、楽団を堪能する事も出来ました。今回は、優雅なワルツという事で、弦楽器が活躍する回になっていました。特定の誰かが目立っていたというより、大人数で奏でるワルツのリズムが、華々しくゴージャスでした。なので、弦楽器全員がVIPだったと思います。

 

いずれにせよ、この方法、大発明だったと思います。オペラがこんなに楽しめるとは思わなかった。神田紅さんには、これからも、色々なオペラ喜劇の台本を書いて頂きたいな、と思いました。


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